EroComedy.jpg 袁藤沖人先生の『ジャグリ』第1巻(電撃コミックス)を読みました。中世中東(イメージ的にはオスマン帝国?あたり)を舞台とした大道芸人達+ランプの精の物語です。
非常に華やかな絵がまた実に魅力的な作品で、非常に緻密な作画になってますなぁ。背景とか衣装とかまで逐一見つめてしまう濃い1冊です。褐色肌美人さんの登場率が高いのも管理人的にはグッと来る要素でございます(笑。

  さて本日は、田沼雄一郎先生の『エロコメ』(ワニマガジン社)のへたレビューです。つい先日紹介しました、先生の前単行本『THE ARK FILE G』(コアマガジン)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
肉感的な美女・美少女と軽やかに繰り広げるエロ小噺が楽しめる作品集となっています。

EroComedy1.jpg 収録作は、我儘ドSなちんまい少年とそんな彼に虐げられるのが悦びな大娘さんの奇妙な関係を描く連作「Angler in the Bus」「Angler in the Room」(←参照 事終わって 連作後編「Angler in the Room」より)、他短編10作。
1作当りのページ数は全て16Pと、コンビニ誌(快楽天)らしい控えめボリュームで固定。視覚的な重厚感のある絵柄はエロのボリューム感を支えていますが、お話的な読み応えはさっぱりしているこれまたコンビニ誌的な作品構築になっています。

【驚くほどオーソドックスなエロコメ・ラブコメ】
  田沼先生がわざわざ単行本に“ラブコメ”というタイトルを冠したことに、何らからの“仕掛け”を期待される方もおられるかもしれませんが、看板に嘘偽りなくラブコメ・エロコメで固められた1冊になっています。
ループ系の和風インモラル劇的な構成を有する短編「ハレノマロウド」や、美人ピアノ教師の過去への拘泥をほんのりダークに香らせる短編「MELODY in the TRAP」などの様に、多少凝った要素を盛り込んで作品に奥行きを付与するケースもあるものの、男と女が出会って恋をしたり体を重ねたりな艶話をライトタッチで描く作品があくまでメイン。
EroComedy2.jpgお姉さん誘惑エッチ等も含め、細やかな恋愛感情へ踏み込む展開をあまり示してきませんが、何よりも雄弁に感情と欲望を語る(とされる)セックスをメインに据えつつそれぞれの人間模様をスムーズに描き出す手法の安定感はさすがベテラン(←参照 元教え子・現人妻 短編「WISH GAME」より)。
また、傍目からすれば“不幸”にも見える歪んだ男女の関係を描く上記連作のラストにおいて、常識の埒外の部分においてそれぞれに“幸福”を得ている二人の姿を示す通り、性愛というものを介して登場人物達がそれなりに幸せになっていく流れには、エロというものへの意外に真っ直ぐな肯定感があって心地よさを感じます。
ストレートでいてロープレッシャーな性愛讃歌は、小気味よい展開に(特に恋愛話において)存外しっとりとした雰囲気も加えており、読み易いお話になっています。反面、コメディとしてのテンションの高さは抑えられているため、アッパーに突き抜けたエロコメ・ラブコメ系の作品を望むのはやや厳しい印象。
作劇に関してこれといって斬新な要素は見当たりませんが、正統派のエロコメ・ラブコメとしてよくまとまっており、奇抜な作品を魅力的に描ける実力をまた異なるカタチで強く示していると言えるでしょう。

【肢体の生々しさが強みのアダルト美女軍団】
  女子高生ヒロインの作品もある程度存在するものの、年齢層的には比較的高めで社会人・人妻なアダルト美人がメイン。
  決してプランパー的造形ではないものの、豊満というフレーズがよく似合うボディデザインであり、柔肉がたっぷりと詰まったことによる重量感が圧巻な乳尻描写は大変な強み。
EroComedy3.jpg絵柄としてのオールドスクールさはありながら、体臭や皮脂、体液といった物の生々しさをたっぷりと内包する女体の描き方は、飾った色気というよりも生物としての根源的な性欲を喚起する強烈さは相変わらず頑健です(←参照 友達のママン 短編「ダチママ」より)。
前屈姿勢で背中に浮き上がる背骨、濃い目に茂る陰毛、使い込まれた年季を感じさせる乳首周りや陰唇のはみ出た女性器、体脂肪の柔らかさと対をなす筋肉のしなやかな逞しさなど、好みを強く分ける要素を含むボディデザインですが、それらこそが肉体のリアルな生々しさとエロティシズムを生み出しています。
また、キャラクターによって程度の差はありますが、性格や容姿、衣装等にどことなく野暮ったさを感じさせるデザインが多い印象で、普通の人物達のエロ小噺としての雰囲気によくマッチ。
  表紙絵はこの作家さんの絵の良さを十分伝えているとは言い難いですが、ベースは共通しており、また単行本通して力強い描線が売りの絵柄は高質で安定してます。

【熱っぽさに溢れた濃厚エロシーン】
  各作品のページ数の関係上、濡れ場の尺は長いとは言い難いものの、絵柄が持つ濃さとエロ絵をきっちり紙面に詰め込む盤石の構成が抜きツールとしての信頼性を確固たるものにしています。
  前戯パートと抽送パートの量的な配分も適切で、前者においては熱情的な口淫描写と、口から白濁液を漏らしながら不敵な艶笑を浮かべるヒロインの姿が何ともエロティック。
EroComedy4.jpgそこからピストン運動に突入すれば、結合部を的確に見せつけながら、汗に濡れる肢体を視覚的に舐めまわすかのようにポージングを変化させてゆく作画を作り上げており、擬音や効果線などの演出によってエロのアグレッシブさで畳みかけてきます(←参照 短編「OPEN SESAME」より)。
加えて、エロシーンにおける動きのダイナミズムは非常に素晴らしく、身を焼く快楽に仰け反り、悶え、跳ねまわる肢体に適度な重力感としなやかさが兼ね備わっているのが強い魅力。
  なお、エロ作画において男性の肢体の存在感をきっちり残すタイプであり、肌の重なりあいが生み出す熱や躍動感を強調。男性側の率直な快楽の言葉も、好みを分ける要素でしょうが、エロのパワフルさとハピネスを増強しています。
フィニッシュは感極まったヒロインが中出しをストレートな言葉で要求し、それにお応えして白濁液を注ぎ込む様をねちっこく描いてくるスタイルであり、断面図や透過図を用いずともその勢いや力強さを演出しきる表現も◎。

  前単行本と打って変わって訴求層の広い正調コンビニ誌作品であり、ティーンガール至上主義な方以外にはお勧めし易い1冊。勿論、この作家さんらしい“生々しさの濃厚感”の好悪は嗜好によって割れるとは思いますが。
管理人は、弁当屋のおばちゃんが割烹着を脱いだら皆滅茶苦茶エロ美人で~な短編「ハードワークキッチン」とふんわり美人な友母とがっつり不貞を重ねる短編「ダチハハ」に、掲載時に引き続いて搾り取られました。