GetWetToSkin.jpg「MC☆あくしず」Vol.16をパラパラと読み進めています。今号は帝国海軍の潜水艦特集でしたが、相変わらず無駄にエロイページ満載となっております。
個人的にはMAS魚雷艇(イタリア軍)の擬人化がとってもキュートな「少女艦艇学入門」とロシアのお風呂事情についての速水螺旋人先生の蘊蓄が炸裂な「ロシア妄想主義概論」が特にお気に入り。後者に登場のボロボロきちゃないガールはマニアな諸兄は必見の価値ありですよ!

さて本日は、滝沢ナイア先生の初単行本『濡れるんです・・・』(ジーウォーク)のげたレビューです。雨に濡れる美少女と思わせて上側を良く見ると小便小僧という、何ともこの作家さんらしい表紙絵です。
ほんわかとした絵柄と変にテンションの高いキャラの言動との奇妙なケミストリーが魅力の1冊になっています。

収録作は全て短編で9作。1作当りのページ数は16~24P(平均20P弱)と中の下クラスのボリューム。
エロ・ストーリーは共にライトな仕上がりになっているものの、話がどう転ぶか分からない不安定感が一定の読み応えを生んでいます。

【不条理感のコントロールの巧拙に振れ幅】
GetWetToSkin1.jpg帯に“不条理エロス”との売り文句がある通り、突飛な行動を示す人物やトンデモな設定を盛り込んだ作品が多め(←参照 何処からツッコミを入れればいいのやら 短編「夜警」より)。
普通に兄妹のラブコメ系近親相姦の形式を取る短編「うっかりお兄ちゃん」「ぷりしす」といった作品もありますが、前者は兄貴が妹の部屋に隠しカメラを設置する冒頭から始まり、後者は妹がネコミミ少女化したりと、“普通”の作品にまとめる気を感じさせないのは面白いところ。
その他の作品も、メイド喫茶の店員と客のエロ模様(短編「天使のメイド」)や、カップルさんのお化け屋敷デート(短編「驚かせてすいません」)など、ありふれた題材をチョイスしながら、標準的な展開からズルズルと逸脱していく構成もユニークです。
GetWetToSkin2.jpg恋やエッチにあまりに懸命でその情動が空回りしがちな女性キャラと、性的なコトに対して妙に冷静な男性キャラの不均衡さが作品の不条理性の源泉の一つ(←参照 短編「体育係」より)。ただし、双方の感情のミスマッチはエロの濃度を薄めることにもつながっており、評価を分ける要因の一つでもあります。
また、作品のベースとなる何処かほのぼのとした空気感が各種不条理ギャグ要素の勢いの良さを殺している感が強くあり、作品の方向性を読み手に掴み難くする中途半端さは小さくない減点材料。オチの弱さが目立つ作品が多いのも少し残念です。
紳士な警備員なのに完璧な変質者という男性が抜群の存在感を放つ短編「夜警」や、就活中の娘さんが牧場で働こうと乳牛コスプレで押し掛ける短編「牧場へ行こう!」など、一発ネタで押し通せている作品には強い魅力があるので、作品のテンションをより高めればより面白くなるのではと思います。

【ふんわりと柔らかい絵柄の可愛らしさ】
登場するヒロイン達は、ミドル~ハイティーンの美少女さんに20代前半程度と思しきお姉さんが少数加わる布陣。
GetWetToSkin3.jpg母乳を出して牧場で雇ってもらおうと頑張るレディや(←参照 短編「牧場へ行こう!」より)、妄想ゆんゆんなメイドカフェ店員さん(短編「天使のメイド」)、何故か性的サービスをたっぷりしつつ宅配先でピザを作りだす宅配ビザ屋ガール(短編「ピザお届けします」)など、一風変わったキャラ造形のヒロインが多め。なお、男性陣の思考・行動はさらに変だったりで、作品の楽しさを生んでいます。
適度にふっくらとした体幹に並~巨乳クラスのおっぱいを備える体型設定をメインとしており、ぷるぷる震える乳房の先端に慎ましい大きさ・色彩のニップルが存在する様がなかなかエロ可愛らしいです。
細目で丸みの強い描線を用いることでふわっと柔らかい印象のある絵柄は、少女漫画のそれに近いタイプであり、作品の内容とのいい意味でのギャップは大変魅力的。
絵柄が生み出すガーリッシュな可愛らしさと、ブルマ体操服やフリルの多いメイド服、可愛いパジャマなどの衣装の組み合わせも視覚的に華やかです。
逆に言えば、男性向けストレートなエロさには欠けるタイプであり、描写として簡素で淫靡さに乏しい性器描写など、課題もそれなりに多めと言えます。

【エロとしてのアタックにやや乏しい濡れ場】

拙速な印象もあるものの、性に対して妙にあっけらかんとした雰囲気でサクサクとエロシーンへと導入されていくため、各作品中で濡れ場の占める割合は十分に高め。
登場人物のそれぞれの思惑がすれ違いながら進展していく性行為は、上述した通り官能性の密度が低く、また不条理展開の一要素としての側面が強いため、実用的読書に供し易いタイプとは言えません。
話の展開上、強姦寄りのエロシチュになっている作品もあり、総じてラブラブ感はあまりないのですが、陰惨な雰囲気もなく、当事者が困惑してしまうようなトンデモエロ展開として描かれているので、嗜虐性はそれ程ないでしょう。
GetWetToSkin4.jpg小さな乳首や結合部のお豆さんをツンと指で刺激すると、敏感に感じてしまう女の子達の姿は各作品に散りばめられており、インパクトの強い行為をせずとも性の快楽を感じ合う様は存外にハッピーで悪くない点(←参照 短編「天使のメイド」より)。その分、エロとしてのアタックの強さを作画・演出面に求めるのは避けるべきでしょう。
トロンと蕩けた瞳と涙で紅潮した頬を濡らす官能の表情は地の可愛らしさを損なわずに、エロティックさを醸成していますが、表情のバリエーションという面ではやや弱め。
両者ノックダウンの中出しフィニッシュへの流れは堅実に作ってる一方で、ここぞの盛り上がりに欠けているのも実用性を高められていない要因の一つでしょう。

文句なしに「これは面白い!」と感じる作品と、「結局何がやりたかったのだろう・・・」というモヤモヤ感が残ってしまう作品が両方あるという印象が個人的にはあり、作家性に対する評価は2冊目以降に保留したいところ。
それでも、短編「夜警」の思い切った馬鹿馬鹿しさと短編「牧場へ行こう!」のちょっとお馬鹿だけど一生懸命な女の子の可愛らしさが個人的には大好きです。