TheArkFileG.jpg 篠房六郎先生の『百舌谷さん逆上する』第4巻(講談社)を読みました。やたらと女装少年の登場頻度が高い感でしたな。まさかの“パンツじゃないから(以下略”まで登場します。
オチはともかくとして、運動会のエピソードは普通に中学生日記的というか、性善説なよいお話だったという印象です。ドラマ性は前巻の方が圧倒的に強かったですが。

 さて本日は、田沼雄一郎先生の『THE ARK FILE G』(コアマガジン)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『PARTICIPET~古奈賀くん奔走する~』のへたレビューもよろしければご参照下さい。
魅力的な造形が施された女怪人さん達の肉感的なセクシーボディと淫臭にむせ返る濃厚エロが楽しめる作品集になっています。

TheArkFileG1.jpg  収録作は、一流企業の表の顔の裏で政財界と強く結びつく(株)アークコーポレーションの女性怪人達のエロ活劇なタイトル長編「THE ARK FILE G」全7話(←参照 カマキリ型怪人 同作第4話より)、『G街奇譚 魔織青蛾の事件簿』(コアマガジン, 2000年)に未収録となっていた魔織青蛾シリーズ作3本、および『PARTICIPET~古奈賀くん奔走する~』と長編「THE ARK FILE G」の世界観が交わるおまけ掌編2P。
長編作の各話は16~24P(平均20P)と中の下クラスのボリュームになっていますが、広がりのある世界観の面白さが読み手を強く引き付け、エロの濃厚さもあってなかなかにこってりした読書感を満喫できます。

【元ネタの十分な咀嚼に基づく特撮パロディ】
  長編作は、裏の汚れ仕事を華麗に片付けつつ、逃亡した実験体(おそらくバッタ型怪人)には拘束を意図するも毎度撃破され、変態趣味のスポンサーに酷い仕打ちを受けたりする女性怪人達のハードな日常を描いています。
TheArkFileG2.jpg女怪人達は、逃亡者のライダーキック強力な蹴りを食らえば、纏っている装甲や体組織は破壊されてしまいますし、展翅マニアだったり獣姦マニアだったりのお得意様達のキワモノ趣味にお付き合いしなければいけなかったりと、作品には昭和特撮的なバイオレンスも漂っています(←参照 薬液注入&展翅マニアな社長と蝙蝠怪人 長編第2話より)。
  とは言え、作品に陰惨な雰囲気はほとんどなく、相当ハードな責めを受けながら身体頑健な女怪人さん達は、女子寮の部屋で愚痴を言いつつDSやったりコタツで蜜柑を食べていたりするので、最終的に雰囲気は平和にまとめられています。
端的に言って仮面ライダーシリーズのパロディ的な作品なのですが、単にスポット的な小ネタとして用いるではなく、例えば第1話にクモ型怪人を持ってくるなど、元の作品の雰囲気や構成までよく咀嚼した上でパロディに用いる姿勢はベテラン作家としての上手さであり、また矜持でもあるのでしょう。
金に汚いでお馴染みな某政党の幹事長や某飛翔体騒動、大学の体育会系サークルの不祥事など、作品への時事ネタの絡め方も上手く、またそういった手法を用いることでこの秘密結社ARKを、さも現実にあるかのように感じさせる、いい意味でのハッタリ感も実に特撮的。
各怪人達の活躍をオムニバス形式で描いて、ラストに作品背景をちょっとだけ説明する構成は、作品としてまとまってはいるものの、あっさりし過ぎている感があり、勿体ない感があります。奇しくも今単行本で絡みがあった『PARTICIPET』や『魔織青蛾の事件簿』でも示した、面白い要素が沢山残っているのに思い切りよく投げ放しという悪癖が出た感が個人的にはあります。

【意匠を凝らした女性怪人達のキャラデザイン】
  悪の組織の女幹部的な立ち位置に相当するムチムチバディの美人キャリアウーマンさん(自身も怪人、なおショタコン)を長として、6人の女性怪人が登場。
  怪人としてのデザインの秀逸さも本作の強い魅力であり、原型となる動物や昆虫の形態的・生態的特徴をよく捉えた上での造形には拍手。とは言え、カマキリ型怪人に触手やホース状接続器具が絡むエロが(おそらく)カマキリとハリガネムシの関係を踏まえているとか、相当マニアックなものもありますが(笑)。
TheArkFileG3.jpg戦闘のプロフェッショナルでもある彼女達のボディデザインは、女性的な柔らかさもありつつ、しなやかな筋肉が躍動するマッシブなタイプになっており、美しさと同時に頼もしさがあります(←参照 左からサメ型・ネコ型・タカ型怪人 長編第5話より)。よって、可憐でキュートな人外美少女をお求めな方は要回避。
ずっしりとした重量感のある乳尻と引き締まったウェストを備えるダイナマイトボディでほぼ統一されており、近年強烈な生々しさを獲得した絵柄と相まって、視覚的なインパクトの強さを生み出しています。
  なお、滝の様に流れ出る汗や大量の放出される精液の臭気まで漂ってきそうな液汁描写や、各種行為によって巡れ上がった肛門や女性器の皺の一つ一つまで精緻に描き込む様な表現、行為の激しさを物語る嘔吐や出血などの要素など、性行為とそれを担う肉体の生々しさはかなり強いアクも有しているため、好みは確実に分かれるタイプ。
  長編作を通じて絵柄は高質で安定しています。同時収録された魔織青蛾シリーズ作にしても、10年前の作品であるのに今より端麗であることを除けば、画風そのものにはほとんど変遷がなく、この絵柄が完成されたものであることを物語っています。

【濃厚で攻撃的なエロ演出と過激な行為】
  話数によって尺には幅があるものの、エロシーンは実用的読書に耐えうる分量があり、女怪人さん達の悶絶痴態を十分量鑑賞可能。
  また、ネコ型怪人さんなら、マタタビベースの香りで酔わせてから輪姦+ネコ耳の外耳道ファック、クモ型怪人さんなら拘束して分泌腺ファックなど、エロの趣向に関しても個々の設定とよくマッチするように設計されているのが好印象。
長編序盤では、怪人さん相手ということもあってか、ニプルファックや耳道挿入、触手エロに巨大な異物挿入、果ては釘打ちなど、過激な行為を大量投入していましたが、長編後半では割合普通の性行為にシフトしており、両者で雰囲気は異なっています。
5bd6bbc0.jpg しかしながら、エロの強烈なアグレッシブさや女体の重量感といった基盤は共通しており、美女達が凶悪な攻めによって与えられる未曾有の快楽によって悶絶し、絶叫する様子を常に攻撃的に描出(←参照 長編第4話より)。熱狂的なアヘ顔や性器を拡張する構図、日本語にならない悶絶の嬌声など、エロ演出には嗜虐的な要素が強めです。
スカトロ的な要素も混じったり、頻繁に白濁液や小便でヒロインの体の内と外を汚すことが多かったりと、綺麗で美しいだけのセックスを描く気が全くなく、ヘビィなエロ演出も含めて粘膜と血肉の白兵戦として快楽をエネルギッシュに叩き出してきます。
  複数人プレイが多いこともあって中出し・外出し混交型のフィニッシュが多く、既に充血しまくった秘裂としなやかな肢体に精液を大量にぶちまける様子には一種のトリップ感さえ覚えます。

シナリオ・キャラ造形・エロシチュ全てにおいて特殊なタイプの作品ですが、エロ漫画というジャンルが今以上に“何でもアリ”だった時代からの大ベテランな作家さんというこもあって、描きぶりが堂に入っている感があります。
個人的には怪人さん達の造形がどれも大好きなので大変楽しめました。特殊性故、読み手を多少選びますが、マニアックなモノをお求めな諸兄には是非チェックして欲しい作品です。