本年最後の更新、2009年マイベスト20作発表となります。お待たせを致しました。
なお、管理人が2009年に発売された成人向け新刊単行本(発売日はアマゾン準拠)の中で購入・読了した作品数は286作(内未レビュー10作)。今年発売されたエロ漫画新刊が通常版などの重複を除いて570冊前後ですので、おおよそ半分は読んでいる計算になります。
上半期ベスト10下半期ベスト10を踏まえた上で、惜しくも選外となった作品も加えて33作品(上半期15冊・下半期18冊)を候補とし、その中から選考を致しました。
年間ベストに限って順位を付けていますが、これは管理人の主観がバリバリ入ったもので、あくまで目安とお考え下さい。
判断基準は、いつも通りに、“笑える”“インパクトがある”“泣ける”“抜ける”など、様々な要素を含んだ“エロ漫画としての面白さ”です。

各作品の詳細なレビューはそれぞれのリンク先の個別記事、または上半期ベスト・下半期ベストの短評をご参照下さい。
当記事内では、雑感やランクインの理由等を記しておきます。
さて、前置きが長くなりましたが、00年代ラストの本年を代表するに相応しい作品達を、第20位から発表です。

20位 にびなも凸面体『ネコキノと雨の町』(富士美出版)
CatMushroomGirls.jpg澤野明先生、大友卓二先生、浦辺克斗先生など、優れた新人作家を輩出した今年のペンクラ勢の好調ぶりを代表する新人作家。
長編シナリオの構築に詰めの甘さを残すものの、独創的なキャラ造形を可能にするオリジナリティー豊かな世界観を持っているのが大きな強み。
現代的なエロ作画・演出のレベルの高さも好印象。→単行本レビュー

19位 広輪凪『エロきゅん・実験室』(オークス)
EroKyunLaboratory.jpgキュートな絵柄とカオティックなアブノーマルプレイの乱舞、そしてほのぼのとしたギャグコメディが不思議に調和する著者初単行本。
雰囲気としては、例えばメガストアにおける「ゲノム」の様な、エロ漫画雑誌によく見られるエッチなギャグ漫画の発展系とも言え、それでいてエロは十分ハードコアなのが嬉しいです。
“何でもアリ”が売りであるコミックXOの面白みがよく出ていました。→単行本レビュー

18位 Rico『はちゅえち』(コアマガジン)
TheirFirstTime.jpgみやもとゆう先生、井ノ本リカ子先生を擁する萌えエロの本丸・ポプリクラブ勢を抑え、漫画ばんがいちの新エースが見事ランクイン。
少年少女の甘く蕩ける恋模様という初単行本における美点を維持しつつ、ヒロインの心身がさらに蕩けるエロへの踏み込みが爆発的に強まったのが見事。
萌え系エロ漫画の何たるかを堂々と示した1冊と言えるでしょう。→単行本レビュー

17位 青木幹治『さよなら、おっぱい』(コアマガジン)
GoodByeBigBust.jpgこちらも漫画ばんがいち勢からランクイン。“YES貧乳!! NOロリータ!!”な著者処女単行本。
“膝おっぱい”に代表される、茶目っ気のあるコメディセンスと、ばんがいち勢らしいリリカルな恋模様の描き方の調和が素敵。
エロの表現に関して未だ硬さが残っていますが、シナリオとの齟齬が少ない雰囲気の良いセックス描写になっており、絵の表現力が増すであろう今後に強く期待。→単行本レビュー

16位 フエタキシ『チューべろーず』(コアマガジン)
ChuBerozu.jpg帰ってきた乳神・琴義弓介先生、若手筆頭格・歌麿先生らをかわして2009年ベスト・オブ・おっぱいエロ漫画の栄冠を獲得した新鋭の初単行本。
濃く・激しく演出されるピストン運動も十分にパワフルながら、柔らかい質感とずっしりとした重量感のある乳房を指と舌とち○こで存分に堪能するパートがおっぱい星人のハートを直撃。
派手さはなくともユニークなヒロイン造形も◎。→単行本レビュー

15位 鮭『サリーによろしく』(ジーウォーク)
SayHelloToSurrey.jpg様々なパロディを得意とするこの作家さんの強みが十二分に出た、破天荒ギャグと変態チックプレイで押しまくる3冊目。
小さくまとまらず、インパクトの大きいネタを核とした作劇ができており、かつ実用性との折り合いがしっかり付いているのが勝利要因。
原画で忙しいとは思いますが、もっと漫画を描いてほしいものです。→単行本レビュー

14位 しなま『ふぇてぃっしゅサークル』(ティーアイネット)
FetishCircle.jpgコアマガジン、キルタイムコミュニケーション、ティーアイネットと、それぞれ毛色が異なる出版社で活躍する実力派の3冊目。
変態チックなエロと王道のラブコメディとの組み合わせという形式はエロ漫画における定番の一つですが、双方の良さを十分に引き出している快作です。
TI系らしい濃密な作画が光るボリューミィなエロシーンも喜ばしい限り。→単行本レビュー

13位 まぐろ帝國『あいらんど』(茜新社)
IslandChapterTwo.jpg2巻構成ながら続きものなので1作品としてランクイン。なお、この表紙絵は2巻「~淫虐の章~」のものです。
コンビニ誌のシグマで“普通の”エロ漫画を描いている内に溜まったフラストレーションが終に爆発したかのような怪作であり、著者らしい批判精神が鋭い1冊。
ダークファンタジーの本質たる不条理性、不安感を露骨に強調するあまり、思い切りよく話を破綻させているので評価はかなり割れる作品でしょう。→単行本レビュー(1巻 2巻

12位 池上竜矢『おねえちゃんであそぼう』(ワニマガジン社)
PlayNotWithButOnSis.jpg頭のネジがちょっと緩んだ年上キャラを描かせると天下一品なこの作家さんの4冊目(新装版含む)。
もちもちバディがトロトロに蕩ける濡れ場の陶酔感の表現、テンションの高いコメディパートの魅力は短編・中編を選ばない武器になっています。
シリアス作品も上手く、幸福への慎ましやかな願いをしっとりと描き切った短編「在りし日の歌」は短編作として2009年最高傑作に推したいところ。→単行本レビュー

11位 岡田コウ『恋するぱんつ』(ヒット出版社)
PantsFallingInLove.jpg若手~ベテランまで堅調であったヒットのロリエロ漫画部門が送り出した驚異の新人の処女単行本。
犬星先生のヒロインのキュートネス、関谷あさみ先生の叙情性とエロの陶酔感、神寺千寿先生の熱っぽさなどをオールラウンドに兼ね備える作家性が心憎いです。
inoのアンソロ化に伴う阿吽本誌への移行により、描くヒロインの年齢層が上がってしまっているので、この作家のランドセル少女を楽しみたいならば押さえるべき物件。→単行本レビュー

10位 高津『それは歴史にカかないでっ!』(コアマガジン)
DontRecordItAsHistory.jpgコアマガ系らしい、定番のヒロイン押し掛け型コメディのテンポの良さと、個々に魅力的なヒロイン造形を評価してこの順位な著者2冊目。
ほんわかママンに定評のある作家さんですが、美少女キャラ描いてもやっぱり上手いなと再認識しました。
取り合えず、褐色肌好きならマストバイな1冊。→単行本レビュー


9位 おおたたけし『ナイショのりとるえくすたしー』(茜新社)
SecretLittleEcstasy.jpgロリエロ漫画の牙城・コミックLOが生んだ奇才にして尿道ドリラーの3冊目。
キュートなロリプニ美少女達との甘々恋模様から繰り出される、これでもかと言わんばかりの激烈ハードプレイで読み手を圧殺してきます。
これまでの積み重ねによって、この強烈なギャップのある世界観に何となく整合性と信頼感が生まれてきてしまったのが実にヤクイですなぁ。→単行本レビュー

8位 内々けやき『戻れない彼女』(富士美出版)
GirlWhoCannotReturn.jpg能天気コメディ、しっとりとしたシリアス系、素朴なラブストーリーと新路線に挑戦するたびに、どれもピタッとはまる作品が描ける実力派の4冊目。2008年に引き続いてのランクインとなります。
表現としては穏やかながら、そこに込められた狂気に思わず背筋がゾクっとするラストなど、ダーク&インモラル系としての鋭さが今単行本の高評価の要因。
着実な成長を示しながら、作家としての伸びしろをまだまだ感じさせるのが嬉しくこの順位に。→単行本レビュー

7位 天竺浪人『凌鬼の刻』(マガジン・マガジン)
ArchaicAngel.jpgエロ漫画界の大ベテランが送る、暗く淀んだ凌辱長編。
ヒロインに生きるための希望の光を与えながら、その光の筋が憎悪の闇に飲み込まれ、徐々に狭まっていくストーリーの流れに有無を言わさぬ凄みがあります。
モノトーンの何たるかを知り尽くしたアナログ作画の表現力の高さも見事。年内に完結編が出るはずだったんですが・・・。→単行本レビュー

6位 町田ひらく『たんぽぽのまつり』(茜新社)
FestivalOfDandelion.jpgロリエロ漫画の重鎮による渾身の1冊。なお、『黄泉のマチ』に収録された長編作の完結までを描くため、該当単行本は事前購読が必須。
作品世界中の“この国”の中枢までにその鋭い筆先を伸ばした胆力には衝撃を受けました。
抜きツールとしての利便性は高くないものの、暗く淀んだ“死のエロス”に宿る退廃感が大変素晴らしい濡れ場になっています。→単行本レビュー

5位 まよねーず。『少女型性処理用肉便器』(ティーアイネット)

MeatToiletShapedAsGirls.jpg肉便器モノを描き続けるこの作家特有のニヒリズムとヒューマニズムが存分に発揮された2冊目。
“人間”が“モノ”化される現代社会において、個が周囲の人間と共に逞しく生きていくことを描いており、極端な題材を用いながら極めて普遍的な人生讃歌・人間讃歌になっているのがユニーク。
作画に残るやや垢抜けない感じとエロシーンが小刻みな構成さえ改善されれば、さらに上位を位置したであろう傑作。→単行本レビュー

4位 オイスター『美徳乃不幸』(一水社)
MalchanceDeLaVertu.jpg凌辱エロの帝王と称されるオイちゃん先生の12冊目。業界トップクラスをひた走る苛烈な凌辱エロは相変わらず凄まじいです。
激痛描写やスカトロ成分などの尖った要素を抑え気味にし、快楽洗脳的なエロに徐々にシフトしていますが、地獄絵図の中で人間存在の美醜を描き切る豪腕は健在。
今回収録された中編「神隠し」はこの作家さん屈指の傑作だと思っています。→単行本レビュー

3位 MARUTA『彼女が恋人を好きになった理由』(富士美出版)
ReasonForTheLover.jpg繊細で丹念な作画と趣きのあるストーリーテリング、情熱的なエロシーンが魅力な作家さんの6冊目。
奥行きのある雰囲気の良さをしっかりと保ちながら、話の要点がより絞られることでより心に響く作品になっています。
少女のふとした微笑み、ある日のセックスがそのまま日常のドラマとしての魅力に直結する作品構築が実にすばらしいです。→単行本レビュー

2位 F4U『今夜のシコルスキー』(コアマガジン)
SikorskyTonight.jpgインパクトのある台詞回しやポージング、蠢く断面図・内臓描写を含めた狂気的なエロ表現など、徹底した非現実さをさも現実であるかのように魅せるハッタリ力が痛快な初単行本。
アッパーなキャラ造形や阿呆な展開に練り込められた、独特のシュール感やドス黒い性愛と情念などに、個人的には道満清明先生のミームを感じます。
凌辱系にしろ和姦系にしろ圧倒的なドライブ感で抜かせるタイプ。全くコアマガらしからぬ作風なのに単行本まで出してくれたコアマガジンにも感謝。→単行本レビュー

1位 Ash横島『3ANGELS SHORT Full Passion』(コアマガジン)
3angelsShortFullPassion.jpg4年半もの間、管理人を含むファンが待ちに待った著者2冊目であり、前単行本から続く長編作品を収録。
甘く優しい恋心に暗く燃え上がる嫉妬など、明暗に冴えわたる感情描写と圧倒的な快楽陶酔感を誇るエロシーンが壮烈の一言。
話の続きとなる3冊目の発売が何時になるかだけが悩みの種ではありますが、読んで面白くかつガッツリ使える秀逸なエロ漫画作品として本年No.1を獲得。→単行本レビュー

と、このような順位になりました。やはり、20作に絞るというのは難しいもので、他にもお勧めしたい作品はいっぱいあるのですが、選んだ20作品はどれも大変なお気に入りです。
個々の単行本レビューも参考にして、是非チェックしてみて下さいな。

まずは、今年読んだ全ての作品達とその作者さん、関係する編集・出版者の皆様に心よりの感謝を。
いつも良い作品を楽しませて頂いております。

このブログや記事を紹介して下さる全てのサイト様にも厚く御礼申し上げます。相変わらずコツコツと単行本レビューを積み重ねる以外に能がないのですが、今年は考察系の記事等を御紹介頂く機会が増えまして有難く思っております。
これからもソースサイトとして精進して参ります。

そして、当ブログの読者諸氏にも敬意と感謝を。皆さまのエロ漫画への愛情に支えられて本年も頑張ることができました。
来年も読者諸氏の期待に少しでも応えられますよう、へたレビューの質を上げるための努力をしたいと思っております。

エロ漫画の世界においても、様々な変化があった2000年代でしたが、その最後の2年間にレビューという形式で微力ながらもエロ漫画の盛り上げに寄与できたことは、一人のエロ漫画ファンとして大きな喜びです。

2010年も素敵な作品に沢山出会えることと、エロ漫画を愛する全ての人に幸せな一年であることを願って、
一エロ漫画愛好家 へどばん拝