時が経つのは速いもので、00年代最後の年・2009年も残すところ僅かですが、大晦日に発表予定の年間ベスト20作を選ぶためにも、上半期に引き続いて下半期のベスト10選出となります。
本年7月から12月に発売された(アマゾンの発売日に準拠)大好きな作品達の中から特にお勧めする作品を10作選びました。
エロ漫画の評価とはいうのは様々なカタチがありますが、今回も“エロ漫画として”面白い作品を選びましたので、年末年始の読書(実用的読書含む)のご参考になればへたレビュアーとして嬉しく思います。

なお、12月29日現在で2009年下半期の新刊購入・読了数は145冊(内、未レビュー8作)。今年も、年間ベスト20の方では順位を付ける予定ですが、現段階ではまだ順位付けをしていません。
加えて、各作品の詳しいへたレビューは短評内のリンク先をご参照下さい。
それでは下半期に輝いていた作品達をご紹介!

鮭『サリーによろしく』(ジーウォーク)
SayHelloToSurrey.jpg魔法少女モノのパロディに大量の社会風刺ネタを詰め込んだ笑えるエロ漫画。
個々のネタのインパクトが大きい分、小さくまとまらないダイナミックなギャグに勢いがあるのが最大の美点。
触手やらレズやら集団レイプやらと多彩なアブノーマルテイストのエロが笑いとしての側面もありつつ、密度の高い作画でしっかり使えるエロになっているのも嬉しいところ。→単行本レビュー

青木幹治『さよなら、おっぱい』(コアマガジン)
GoodByeBigBust.jpg非ロリなぺたんこ美少女に特化した、茶目っ気とリリシズムを兼ね備えた青春ラブストーリーの伸びやかさが強い魅力。
貧乳さんにしても巨乳さんにしても、彼女達のコンプレックスが恋愛を通じて解消されていく流れが実に清々しく映ります。
エロ表現にはやや硬さが残っているものの、温かい雰囲気が漂っており居心地の良いエロシーンとなっており、今後への期待も含めてランクイン。→単行本レビュー

おおたたけし『ナイショのりとるえくすたしー』(茜新社)
SecretLittleEcstasy.jpgキュートなロリっ子達との激甘恋模様と激烈ハード&カオティックなエロシーンの奇跡の融合が楽しめる1冊。
小さな女の子の尿道とアナル(と時々前穴)を凶悪なフォルムも小道具で徹底的にほじくりまくるストロングスタイルに全くブレがなく、それでいて最後は平和なハッピーエンドに至るという妙な安心感があるのも面白いです。
ロリエロ漫画界のゴアグラインダーの威容をまざまざと見せつけるいつも通りの怪作。→単行本レビュー

池上竜矢『おねえちゃんであそぼう』(ワニマガジン社)
PlayNotWithButOnSis.jpgちょっぴり垂れ気味な巨乳お姉ちゃん達が勢揃い。10代の小娘にはない、女盛りの色香がキャッチーな絵柄の中に香り立っています。
お馬鹿コメディのテンションの高さも素敵ですが、シリアス系の作品にも独創的な魅力のある作家さんであり、短編「在りし日の歌」は2009年屈指の傑作短編。
もっちりバディが蕩けまくる実用性の高いエロと魅力的な話づくりの両立という点で、正に“エロ漫画”として面白い作りになっている実力派の良いお仕事と言えます。→単行本レビュー

Ash横島『3ANGELS SHORT Full Passion』(コアマガジン)
3angelsShortFullPassion.jpg管理人を含むファンが待ちに待った4年半ぶりの単行本。作品タイトルを変更していますが、実質的に前単行本『3ANGELS SHORT』(同社刊)からの続編となっています。
1巻目のお気楽エロコメ風味から一気にシリアス群像劇へとストーリーを切り返し、明暗に冴えわたる感情表現によってストーリーを躍動的に駆動させる手腕が実に見事。
ヒロインの全身を正に蹂躙するという表現が相応しい圧倒的な快楽陶酔の表現も凄まじく、淫液に塗れながら光悦の表情を浮かべる天使達の姿が実にエロティックです。→単行本レビュー

まぐろ帝國『あいらんど』(茜新社)
IslandChapterOne.jpg『淫悦の章』と『淫虐の章』の2巻構成を取る長編ダークファンタジー。記憶喪失の主人公の周りに蠢く様々な謎と妖しいのヒロイン達を描いています。
メタ構造やループ展開など、ファンタジー作品の作劇に多用される手法を大量に用いながら、最後の最後で計算された破綻を作品にたたき込み、全てを放棄することで御都合的ファンタジーに喧嘩を売る不条理ファンタジーという、この作家本来の批判精神が強く発揮された意欲作。
官能性の構築が綿密に意図された作画も上質であり、強烈な快楽を前面に押し出す淫靡な濡れ場を形成しています。→1巻単行本レビュー2巻単行本レビュー

高津『それは歴史にカかないでっ!』(コアマガジン)
DontRecordItAsHistory.jpg古代エジプトの眠りから目覚めた褐色肌母娘の押し掛けラブコメディ。キュートなむっちりママンに定評のある作家さんですが、美少女キャラを描いても上手いことを改めて証明。
コアマガジン的な明るく楽しいラブコメ模様をテンポ良く描けており、定番の良さをきっちり出せているのが◎。展開が安定している分、魅力的なキャラ達に焦点が当り易いのも上手い構成と言えます。
十分にハードコアながら、決して重すぎたり濃すぎたりしないちょうど良いエロのパワフルさも美点。艶やかな褐色肌と白濁液とのコントラストが何とも言えませんな。→単行本レビュー

町田ひらく『たんぽぽのまつり』(茜新社)
FestivalOfDandelion.jpg前々単行本『黄泉のマチ』(茜新社)から続く長編作の完結編であり、今単行本でさらに鋭さを増したストーリーテリングに痺れます。
読み手に強烈な印象を残すドス黒い世界の業の深さに圧倒されつつも、その中に響き渡るこの作家の少女達への愛の叫びがさらに深い味わいを生み出しています。
正直、使いやすいエロシーンとは言えませんが、写実的な絵柄はベテランらしい安定感を見せており、退廃のエロスを味わいたいならむしろ好適。→単行本レビュー

まよねーず。『少女型性処理用肉便器』(ティーアイネット)
MeatToiletShapedAsGirls.jpg肉便器モノという危険な題材を描くことに執念を燃やすこの作家さんの2冊目。
“モノ”扱いされる肉便器の少女達の“人間”としての感情とその成長を丹念に描き出し、“社会と個”“勤労の苦労と尊さ”“友人と家族の大切さ”といった普遍的なテーマを練り込める作家性は他に類を見ません。
人間としての彼女達の苦痛を、苦痛として描くことから決して逃げない故に、凌辱エロとしての踏み込みも十分強力です。→単行本レビュー

MARUTA『彼女が恋人を好きになった理由』(富士美出版)
ReasonForTheLover.jpg夏の田舎で繰り広げられる少年少女の瑞々しく甘酸っぱい恋愛模様を絶妙な雰囲気作りで魅せる1冊。
不全なコミュニケーションとしてセックスを描きながら、単純に理解しがたいからこそ、一層少年少女達の感情をビビットなものにすることを可能にしています。
互いの素直な欲望と感情が交錯する性行為は、上品でありながら若さゆえの熱情が溢れており、“生の快楽”としてのエロティシズムが大変味わい豊かです。→単行本レビュー

と、以上が下半期ベスト10です。
ギャグエロ作品もあれば、陰鬱で重厚なシリアス作品があったりと相変わらず雑多な選出ですが、たぶんその多様さこそが、僕の好みであり、またレビュアーとしての個性なのかなぁと思っています。

上半期ベスト10と今回の下半期ベスト10の作品、および双方の惜しくも選外な作品を含めて、現在33作を年間ベスト20選出にノミネートしております。
どれも大好きですし、順位を付けるのが相変わらず苦手なこともあって選出が大変なんですが、これはこれで楽しい作業です。
該当作品をちゃんと再読して(あと出来るだけ再び“使って”(笑))順位付けをしますので、大晦日の年間ベスト20作まで、もうちょっとお待ち下さい。

下半期に紹介した全ての作品達とその作者様方、そして読者諸氏に心よりの感謝を込めて
一エロ漫画愛好家 へどばん拝