BestPictureQuality.jpg独自路線まっしぐらな萌え系ミリタリー雑誌『MC☆あくしず』第14巻(イカロス出版)を買いました。相変わらずエロエロですが、戦史や兵器の解説がちゃんとしているのは個人的には嬉しいですなぁ。
ミリクラプレビューの巻田佳春先生の擬人化イラスト(今回は双胴の悪魔ことP38ライトニング)と速水螺旋人先生のイラストコラムが購入動機の半分くらいを占めていますが、今巻でも両方とも面白かったです。

さて本日は、七瀬真琴先生の『最高画質』(富士美出版)のへたレビューです。前単行本『JC』(同社刊)のへたレビューもよろしければご一読下さい。
少女達の“幼さ”における負の側面を抉りだす陰湿な凌辱エロが残す後味の悪さをたっぷりと味わえる作品集です。

BestPictureQuality1.jpg収録作は、エッチに興味心身な3人娘が眠った男子の股間を襲撃&計画通りに(性的な意味で)逆襲される「Sleeping wolves」前後編(←参照 前編より)、および独立短編9作。前作に続いておまけ4コマ漫画「編集王N野」も収録されています。
1作当りのページ数は短編「SLEEPING BEAUTIES」(18P)を除いて全て16P。シナリオ・エロ共にボリューム感には乏しいですが、密度の高い作劇が為されているため、読み応えは相応にある印象です。

【淡々と描かれる愚者と悪人の歪んだ性愛】
メイド服娘がにっこりほほ笑む、この作家さんらしからぬキュートな表紙に、「今回はラブラブモノ中心か?」と推察される方もいるでしょうが、今単行本もダーク系の作品がメイン。
強要的要素がないわけではないものの平和でコミカルなラストを迎える上述の連作や、酔った彼氏によるコンビニのバイト娘さんのエロ的受難を描く短編「コンビニ」といった比較的明るい作品も混在しつつ、人情と良心が全て凍結乾燥されたかのような世界を紡ぐスタイルは健在です。
BestPictureQuality2.jpgホームレスの住居に爆竹を投げ込む遊びに興じ、手酷い逆襲を受けることになる少女を描く短編「ホームレスと○学生」(←参照)、女の子グループによる陰湿なイジメの結果クラスの男子達に輪姦される少女の苦悩と絶望を描く短編「校内感染」、昔憧れていた年上男性の虚飾に満ちた“愛の言葉”に騙され性的に喰い物にされる少女を描く短編「fuck in the family restaurant」など、若さゆえの愚かしさを持つ少女とそれに付け込む現実的な悪人達の殺伐とした交錯を描く作品群の、何とも言えない後味の悪さは強烈です。
現代社会に生きる人間の薄汚い側面を浮き彫りにする作劇にはドラマ性がほとんど付与されておらず、変態趣味の男性に使用済み下着を売る商売をする少女がその男性に更なる性的サービスを要求され、金銭と引き換えにそれに応じる短編「1/365」のタイトルが示すように、それが単なる日常の一コマとして埋没されていくという作品を覆う一種の冷淡さが大きな特徴と言えるでしょう。
直接的な暴力性や悲劇性には乏しいですが、少女の心に深く残る傷跡を想起させるようなラストや精神的に相手を誘導し追い込んでいく展開などの陰湿さは読み手を結構選ぶと思われます。
睡眠薬を用いた睡姦によって肉体的な結合を果たしながらも、少女と恋愛関係としては結ばれることのない少年の怨嗟を描き出す短編「SLEEPING BEAUTIES」など、セックスのコミュニケーションとしての不全性を前面に押し出す作品も多く、暗い気持ちになれること請け合いな単行本と言えるでしょう。

【精神的な弱さを描き出される思春期ガールズ】
短編「コンビニ」に登場する女の子は女子高生クラスと思われますが、その他の作品ではいつも通りに女子中○生のみでヒロイン陣を構成。
あどけなさを残す表情やほっそりとした手足に薄い胸、無毛~小さな茂みの股間と未発達で小さな性器と、この年頃の少女らしい肢体描写は煽情性の構築における強みの一つ。
BestPictureQuality3.jpg個人的にはあまり詳しくありませんが、ティーン向けのファッションをよく研究されている作家さんであり、お洒落な私服姿も少女達の可愛らしさと何処とない軽薄さを上手く引き出しています(←参照 短編「SLEEPING BEAUTIES」より)。
また、黒い欲望を剥き出しにする男性達にも存在感があり、割合スタイリッシュな造形から顔をのぞかせる精神的な醜悪さが、描かれる歪んだ性愛のカタチをより痛々しいものにしています。
神経質な感もある細い描線を用いる絵柄は、少女の“脆さ”をよく表現できており、これといった強いアピールポイントを持つタイプではないですが、ベテランらしい安定感があります。

【即効性には欠けるも十分な痛烈さを有する凌辱エロ】
ページ数の都合上、エロシーンは分量的に多いとは言えず、また描画の密度の低さやエロ展開の単調さは少なからぬ減点材料。
個人的にはまったく構わないですし、話の流れにもよく適合していると思いますが、本番行為(挿入)が描かれない短編が少数存在することもご嗜好によってはマイナス要因となるでしょう。
BestPictureQuality4.jpgとは言え、退廃的な倒錯性が色濃く出されたセックス描写の切れ味は十二分に鋭く、心身の苦痛による絶望と諦観に心を塗り潰されてゆく少女の姿はドSな貴兄の嗜虐欲を強く刺激(←参照 短編「校内感染」より)。勿論、凌辱系は苦手ですと、嫌な気持ちにしかなれないエロシーンなので要注意。
アップ描写用の小ゴマを上手く組み合わせるコマ割りのテクニックの巧さや修正の緩やかな性器描写の丁寧さなどは長所。逆に変化に乏しく硬さの残る表情や擬音や台詞等をかなり控えめにしたエロ演出などは場合によっては短所でしょう。
一部外出しもありつつ、結合部を見せ付けながらの中出しフィニッシュがメインであり、性の快楽と精神的苦痛に絶叫をあげる少女の最奥へと汚れた欲望の象徴として白濁液を注ぎ込む様は陰惨な行為の閉め方として実に好適。

今単行本も内容的に幅広い層にお勧めしやすいとは言い難いのではありますが、持ち味は存分に出ている1冊と言えるでしょう。いい意味での過激性はやや薄れている印象があるのはちょっと残念ではありますが。
個人的には、健気な少女の頑張りがクラスメイト達の手によって最悪の結果を迎える短編「校内感染」の猛烈な読後感の悪さが特に気に入っています。