ApledgeOfAbnomalLove.jpg 平田弘史先生の『薩摩義士伝』中巻(リイド社)を読みました。圧倒的な画力と野太い筆致で描かれる薩摩武士達の物語ですが、今巻では薩摩武士達は勿論のこと、河川工事を頼みに願う農民達や、河川で生きる船頭、工事を監督する役人の武士など、周辺の人物達の侠気や強さを感じさせるエピソードが多かったですね。
彦四朗の人間的な成長も感じさせますが、斯波左近との対決は果たして為されるのでしょうか。

  さて本日は、駄菓子先生の『契りの家』(ワニマガジン社)のへたレビューです。なお、先生の前単行本(初単行本)『純潔の終わる日々・・・』(同社刊)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
豊満ボディがじっとりと濡れて絡み合う非常に濃密な官能性を放つエロ描写が圧倒的な魅力を誇る作品集となっています。

ApledgeOfAbnomalLove1.jpg  収録作は、彼氏君とのセックスにすっかり中毒になってしまったヒロインが自宅で濃厚メイドプレイを繰り広げ、今度はそれを目にしてしまったママさんが・・・な連作「青い契りの家」「熟れた契りの家」(←参照 メイドさんプレイ中 同連作前編「青い契りの家」より)、バスケ部エースの男勝りで凛々しい美少女さんが助平と見込んだ少年に自らの性処理をお願いしてきて~な連作「HIJK」前後編、および読み切り形式の短編7作。
1話・作当りのページ数は18~22P(平均20P弱)とコンビニ誌初出としては中の上クラスのボリュームで推移。ストーリーそのものの読み応えはさほど強くないですが、醸成された濃密な雰囲気は十分なコクがあり、これまた濃厚極まるエロ描写と合わさって強力な満腹感を叩き出しています。

【日常が性愛の非日常へと変化する瞬間の圧倒的な高揚】
  アモラルな雰囲気の打ち出しが上手い作家さんであり、本作でも強引に性の快楽に絡め取られていく少女や(短編「誘う図書館」)、不倫関係(短編「微睡みのなかで」)といった背徳性を感じさせる作品もありますが、棚ボタ展開のラブ&エロエピソード(連作「HIJK」)や、愛し合う夫婦の子作りラブラブH(短編「甘婚」)といった明るく軽めの雰囲気の作品も存在。
その一方で各作品を共通して貫く要素は、憧れのお姉さんや可愛い美少女といった男性にとっての理想的なヒロインが、読み手の意識を代行する主人公“だけ”に対して性的な在り方を曝け出し、男性の性的欲望を全て受け止め、その官能的な肢体を独占させ、圧倒的な快楽を感じて濡れて蕩けるという、極めてストレートな願望を充足させることでしょう。
この実にシンプルな欲求の充足は、エロ漫画的には王道であり、それを作劇面で包み隠すことなく、棚ボタ展開やら強引なエロ突入やらで話を展開させるにも関わらず、話に退屈さや陳腐さが全く感じられないことこそがこの作家さんの凄いところ。
ApledgeOfAbnomalLove2.jpg  シナリオ展開において、ヒロインとの日常における関係性から、何らかをキッカケとして性愛の非日常へと移る瞬間の鮮烈さは見事であり(←参照 左手で少年の手を取り右手で奥の寝室の扉を開く 短編「擦れあい」より)、綺麗なお姉さんや可愛い美少女が、その瞬間に一気に性的な存在へと変化することで、濃厚な性描写が開始されます。
インモラル系の作品でも日常からの逸脱が開始される瞬間というものの鮮やかさはもちろん効果的ですし、恋愛系の作品でもヒロインの立場の質的な変化が明確になるという点で強力に実用性を押し上げており、火の粉が一瞬にして紅蓮の炎に燃え盛る様な高揚感、固く閉じた蕾が開き、美しい花弁と甘い芳香を曝け出すその瞬間を独占する至福があると評し得ます。
  作中で描かれる圧倒的に強烈な快楽とそれへの耽溺そのものが関係性の分かり易い幸福・不幸の判別を拒む水準にはありますが、陶酔の余韻を残しつつハッピーエンドに属するまとめ方で柔らかくまとめるタイプが今回は中心と言えるでしょう。

【ふにゅふにゅと柔らかなバスト&ヒップのだらしなエロボディ】
  連作「契りの家」の母娘ヒロインの娘さんの方や、連作「HIJK」のヒロインの様に女子高生ヒロインも複数名投入しつつ、20代前半~半ば程度の綺麗なお姉さんや30歳オーバー程度であろう美熟女さんも登場しており、比較的年齢層は高め。
大人ヒロインに関しても若々しい美貌を有しており、キャラデザイン面において年齢的な描き分けが強固というわけではありませんが、ハイティーン級のヒロインには未熟さや性的な好奇心を付随させているのに対し、年上ヒロインについては男性を受け入れる母性や熟成された性的欲望を持たせており、年齢による立場・男性に対する受け止め方には年齢による差異が形成されています。
  ラブラブ奥さんや清楚な憧れのお姉さん、気弱な文学美少女、欲求不満に火が付いてしまった未亡人ママンに男勝りだけど主人公の前ではドエロ&甘えがちなスポーツ美少女と、ある程度キャッチーな属性で修飾しつつ、いずれのキャラクターも主人公に対して性的な魅力を独占させることを許容するという意味で男性にとっての理想的なヒロイン像を形成しています。
  年齢等の設定で多少のバリエーションはあるものの、しなやかで等身高めのボディと綺麗な黒髪の組み合わせ、健康的な肉付きにたっぷりと柔らかなお肉を内包する巨乳~爆乳にこれまたたっぷりの肉感を誇る安産型ヒップと太腿を完備するドストレートなエロボディは共通。
ApledgeOfAbnomalLove3.jpg艶やかな黒髪や端正な顔つき、肢体全体の肉感のバランスで美しさを女体描写に込めつつ、たっぷりの柔肉で柔らかく、また重たげにたゆむ乳房や、ぷっくりといやらしく膨らむ乳首、一本一本丹念に描き込む陰毛にじゅくじゅくと淫蜜を溢れ出させる女性器描写など、淫靡さやだらしのない下品さを存分に打ち出しており、美しさと淫猥さの危うい均衡を保たせる技巧は実に見事(←参照 短編「甘婚」より)。
  カラー表紙に敢えてせず、敢えてモノクロ絵の表紙を選択するように、ずば抜けたモノクロ絵の魅力は圧倒されるものがあり、丹念に描き込まれる絵柄はキャッチーさも有しつつ、黒と白のコントラストの鮮やかさ、場を包む陰翳の美しさを性描写の濃厚さを下支えしているのは疑いないところでしょう。

【耽美な美しさと下品でさえある猛烈な陶酔感の両立】
  前述した通り、日常が性愛の非日常へと移り変わり、性欲や恋心の炎が一気に燃え盛るシナリオ展開であるため、序盤に火種さえ放り込んでしまえば後は必然的にエロシーンへと雪崩込む作品構築になっており、エロシーンの尺は十分に用意されています。
  メイド衣装でのコスプレH&なり切りプレイや、隠れながらのセックスといった羞恥系のシチュエーションといった味付けを加えることもありますが、そういったシチュエーションの魅力を武器にするタイプではなく、むしろあらゆる修飾を振りほどき、目前の豊満ボディを貪ること、男女双方が瞬間瞬間の圧倒的な快楽に耽溺することという原始的とも言える強烈な欲望と情動を前面に押し出して猛然と突き進むことに魅力があると評したい所存。
  前戯パートでは、ヒロインの柔らかボディを揉んだり吸ったりしてその至福の感触を満喫するプレイや、雄々しく起立した男根にヒロインが陶酔の表情を浮かべながら柔らか巨乳でのパイズリや、端正な顔を下品なフェラ顔に変容させてのフェラなどのご奉仕プレイなども投入しつつ、より印象的なのは互いの唾液に濡れた舌をねっとり絡ませての濃密なキス描写。
前戯パートの段階で既に陶酔に包まれたヒロイン達の、たっぷり濡れた秘所に挿入して抽挿パートに突入すれば、肉感ボディを汗やら精液やら愛液やらでじっとりと濡らし、紅潮した表情を浮かべて自らも腰を振る姿に、男性キャラクター達も快楽の毒に充てられて目前の肉感ボディにしがみつき、両者の肌が体液を介して溶け合うかのような濃密で淫靡な痴態描写を連続させていきます。
ApledgeOfAbnomalLove4.jpg男女の肢体の密着感、それに由来する体温の熱や体液のぬめり、臭気といった生々しさを丹念に練り込みつつ、下品に蕩けきった表情付け、明確な結合部見せつけ構図に、様々な動きや感覚をダイレクトに伝達させる擬音表現の豊富な添付、肺腑と脳髄から絞り出されるような嬌声といったアタックの強いエロ演出をふんだんに使用しており(←参照 連作「HIJK」後編より)、量的だけでなく質的な高密さを誇る濃厚なエロ描写を形成。
  そういった濃厚で、凶悪な水準の淫靡さは、ヒロインの美しさを敢えて損壊させることでも成立しているのですが、それと同時に陶酔に浸り貪欲に快楽を貪るその痴態にまた次元の異なる美しさがあるのも確かであり、トドメとばかりの膣内射精によって強烈なアクメに襲われたフィニッシュシーンの痴態も強力な上、汁塗れで弛緩しきった肢体と表情を浮かべるヒロインにすら背筋を震わせるような魔性の色香を感じさせるのも凄まじいという他ありません。

  作品として指向しているものは、極めてシンプルでもあるのですが、その作劇における提示の仕方の巧さ、強力無比で圧倒的な密度を誇りつつ美しさを感じさせる画力とテクニックの見事さは、相変わらず素晴らしいと感じる点。
個人的には、エロシーンへの導入の技巧に度肝を抜かれ、エロシーンの甘く濃厚な幸福感にも痺れた短編「擦れあい」と、未亡人ママさんのエロボディに包み込まれ蕩けさせられる連作後編「熟れた契りの家」が特にお気に入り。今回も大変お勧めな1冊です。