VanillaEssence.jpg 羽海野チカ先生の『3月のライオン』第11巻(白泉社)を読みました。いやー、見ているだけで胸糞悪くなる誠二郎にすっぱりと引導を渡してくれてスッキリしました。それにしても色々と背負わなければいけないあかりさんは不憫です。
今回、雷堂さんが清涼剤的なキャラクターというか、色々とハチャメチャで楽しい人物で笑わせて貰いました。

  さて本日は、大和川先生の『ヴァニラエッセンス』(茜新社)のへたレビューです。3年ぶりの新刊ということで楽しみにしておりました。なお、先生の前単行本『Powerプレイ!』(同社刊)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
穏やかで快い雰囲気の中で描かれる、すべすべ美肌の柔らか巨乳ガールズとの青春ラブ&エロが詰まった作品集となっています。

  収録作はいずれも読み切り形式の短編・掌編9作+イラストギャラリー(8P)。フルカラー作品である掌編「はつもうで」(4P)を除き、1作当りのページ数は16~30P(平均25P弱)と中の上クラスのボリューム。軽過ぎず重過ぎずな読書感のシナリオワークと、これまた程好い濃厚感のあるエロシーンとでバランスよく組み立てられた作品構築と評し得るでしょう。

【開放的でありつつ等身大の抒情感を持つ青春ラブエロ模様】
  前単行本のようにファンタジー作品も得意とする作家さんですが、今回はもう一つの十八番である健康的で心地よい快活さのある青春ラブコメディをメインとする作品集となっています。
校内でのセックス盗撮&オナニーにハマってしまった女の子を描くほんのりアブノーマルな短編「イケナイアソビ」、高嶺の花な美少女に告白したらすんなり受け入れて貰って!?な棚ボタ系の幸福感がある短編「マル・ゲーム」、ヒロイの亡父への想いと主人公への少年への想いを重ね合わせて繊細に描くしっとりとした状情感のあるラブストーリーな短編「ユー・ガッタ・スター」などなど、青春恋愛模様を基調としつつ味付けは割合に多彩であると感じます。
a497f53c.jpg登場人物、特にヒロインが有する“性欲”はごく素直に発揮されるものとして描かれており、エロ漫画的には王道的な魅力を有する“大らかな性の在り方”を余分な要素をそぎ落としつつ情感を込めて(←参照 夏の青空の下で素直に盛る 短編「ただいまプール清掃中」より)、前向きな快活さや瑞々しい生命感、幸福を得るためのある種の手段として描かれていることがこの作家さんの大きな特徴でしょう。
  その一方で、例えば洋ピンAV的な、スポーティな快活さを以てセックスを描いているわけでは全くなく、性行為のモチベーションである一途な恋愛感情や性的探究心などを等身大のものとして、また丁寧な感情描写を伴って瑞々しく描いている点が漫画としての魅力を高めていると言えるでしょう。
コメディとしての笑いの勢いや、心情描写を更に深めての重厚なドラマ性といった要素とはむしろ縁遠い作劇ではあり、明確なフックや展開そのものの面白みにも欠けると言えば欠けるのですが、それでも登場人物達のやり取りに日常のドラマとしての面白みや感情の豊かさがあるのが大きな魅力でしょう。
  ストーリーを緩やかにフェードアウトし、彼ら彼女らの青春がそのまま続いてゆくことを示唆しつつ、朗らかで優しい余韻を残すハッピーエンドでまとめており、祝福を呼び込む読後感の心地よさも評価を高める要因と考えます。

【スベスベ美肌のスレンダー巨乳ガールズ】
  前述した様に青春ラブエロストーリーで統一されているため、ヒロインの年齢層は女子高生級の思春期ガールズで統一されており、男性主人公もヒロインと同年齢の思春期ボーイズ達で占められています
真面目なメガネっ子やクールで天然系の美少女、明るく元気なスポーツガールなど、一定の属性やそれに付随する印象を織り込んだキャラクター造形ではあるのですが、コテコテのキャラクター属性に依存するのではなく、青春期の少女の伸びやかさ・奔放さを善徳の面から等身大に捉えて表現するキャラクターとなっています。
6d74370a.jpgこの印象を強めるのが、この作家さんの真骨頂とも言える丁寧な心情描写であり、喜怒哀楽の感情表現に加え、性愛への素直な欲求や幸福感をビビットに物語る表情変化がヒロイン達のキャラクターとしての魅力を大きく高めていると評したい所存(←参照 主人公の股間に気付いて 短編「はやく提出してね」より)。
  キャラデザインにおいては、さっぱりとしたショートヘアや野暮ったい(褒め言葉)メガネ、太眉など、比較的地味寄りの要素を用いたヒロインが多く、華やかさのあるキャラデザインを求めるのは避けるべきという印象はありますが、地味系として敢えて狙っている印象は薄く、それでいて健康的な色香や整った美しさがあるのが特長でしょう。
VanillaEssence3.jpg適度に肉感はありつつ締まったウェストの体幹からすらっとした四肢が伸びるスレンダーボディは、白磁のようなスベスベとした質感の柔肌に包まれており、ふにゅんふにゅんと柔らかな質感を誇るたっぷりおっぱい(←参照 このむにゅむにゅ柔らかおっぱい! 短編「マル・ゲーム」より)、程好い量感の桃尻および鏡面仕様で一本筋が走る無垢な股間を装備しています。
  アニメ/エロゲー絵柄に共通する現代的なキャッチーネスを有する絵柄であり、漫画チックにコミカルさを含めて適度なポップさもあるのですが、過度にならないゴシカルなオサレ感や艶っぽさもある、なかなかカテゴライズの難しいタイプ。これがクセとして減点材料に感じる方もおられると思いますが、この作家さんのユニークな魅力であるのも確かでしょう。

【巧みな画面構成と適度な濃厚感のエロ描写】
  明確にエロメインの作品構築でありながら、そこに至る流れと行為中の会話で情感を生み出していくスタイルであるため、エロシーンのボリュームは十分に用意された抜きツールとして優秀な構築でありつつ、行為の進展などにシナリオ展開における意味もあるタイプ。がっつり抜きだけに集中したい場合には評価を下げる可能性もありますが、行為の中で吐露される感情がエロシーンを駆動する情動を高める要因ともなっているため、長所として認識する方が自然かと個人的には感じます。
  短編「イケナイアソビ」では盗撮・ハメ撮り的なアブノーマル要素のあるエロシチュエーションが描かれていますが、これはヒロイン自身が望んだ状況であり、また青姦や校内でのセックスといった羞恥系シチュエーションを含む作品でも、倒錯性に踏み込んでいくのではなく、“交わりたい時に交わる”という素直な欲求が彼ら彼女らの日常のシーンで営まれていると見るべきであり、和姦エロでまとまっていると総括して良いでしょう。
  各作品のページ数の長短によって、エロシーンの構成は多少変化していますが、ヒロインの柔らかボディの感触を揉んで楽しんだり、お口いっぱいにちんこを頬張ってのフェラシーンであったりの前戯パートは比較的短めに畳まれており、それよりも互いの体を密着させ、相手をより深く感じる抽挿パートを長めに設けて快楽や感情のシンクロを求めあう傾向が明確
VanillaEssence4.jpg汗や精液などでたっぷりの液汁描写をヒロインのエロ美しい女体に加えて煽情性を増したり、結合部アップ構図や断面図などで挿入感を強調したりと十二分にアタックの強いエロ演出を施していますが(←参照 汁ダクボディ&アクメ絶叫 短編「ユー・ガッタ・スター」より)、それら演出単体の強力さに依存するのではなく、例えば表情を強調する描写と結合部アップの描写をカットインなどで同時並行的に描写するなど、技巧的な描写や画面構成で魅せるスタイルと言えるでしょう。
効果的なコマ配置は、アタックの強い大ゴマやコマぶち抜き絵で快感に激しく反応する女体の躍動感を前面に出しつつ、小ゴマでの情報量担保や動きの連続性の強調を果たしており、演出面などの比較的なシンプルさを補って余りある飽和感を打ち出すことで、ヒロイン達の陶酔感の強さを無理なく押し出すことを可能にしています。
  じっくり1回戦仕様でまとめることもあるものの、ヒロインの綺麗な女体を白濁液でドロドロにするパターンも多いこともあって前戯パートでの射精も含めて複数ラウンド制とすることが基本。抽挿パートも含めキュッと目を閉じて昂ぶる快感を堪えようとするヒロインの表情描写も秀逸で、そんな表情を浮かべながら思わず絶頂のハートマーク付きエロ台詞を浮かべる彼女達にがっつり中出しを決め込んで、ぶっかけも追加するフィニッシュシーンは十分なタメも功を奏して強力な抜き所となっています。

  久しぶりの単行本ということで大変嬉しいのですが、青春ラブエロ系としての魅力を十全に備えた、これまで通りの美点が光る最新刊と評し得るでしょう。
個人的には、真面目系メガネっ子ヒロインがエロ主人公から渡されたエロ下着に実は興味津々で~な短編「難易度設定 very easy」と、満点の星空の下の少年少女を描くラストが素敵でかつ大層抜ける短編「ユー・ガッタ・スター」が特にお気に入り。