GirlsDefloweration.jpg 山田参助先生の『あれよ星屑』第3巻(エンターブレイン)を読みました。帯にある“終わっちゃないんですねェなんにも」の言葉通り、今回も戦争の傷跡を残す人々を描きながら、人情の優しさ・温かさに救われる作品でした。
焼野原の様に“まっさら”になろうとしている班長殿の姉との再会は彼に何をもたらすのでしょうか。お姉さんはお姉さんで何か問題を抱えている様ですし・・・。

  さて本日は、藤味先生の初単行本『少女惨華』(エンジェル出版)の遅延へたレビューです。初単行本まで結構時間がかかったようですが、満を持しての初単行本と言うべきでしょうか。
痛さを伴う重苦しいストーリーの中で無慈悲な快楽に蹂躙される美少女・美女の姿が描かれる作品集となっています。

 GirlsDefloweration1.jpg 収録作は、兄妹で性的関係を結んでしまったせいで兄と引き離された少女が心を病んでしまい不特定多数の男性を“兄”と思い込んでセックスしていたことに再会した兄は気付き~な短編「白濁の夢」(←参照 再開した妹にこびりつく他人の精液 同短編より)+ヒロインに追い打ちをかける描き下ろし後日談(4P)、および読み切り形式の短編8作。
描き下ろし作品を除き、1作当りのページ数は18~20P(平均20P弱)と中の下クラスのボリュームで安定。シナリオパートの比重が高いわけではないですが、内容の性質故に重い読書感を備えており、標準的な分量のエロシーンについても質的な重さを有しています。

【凌辱劇の重苦しさを増強するストーリー】
  表紙絵の雰囲気からも察せられる通り、凌辱系の作劇がメインであり、一部の作品では凌辱される側の女性に一定の責がある場合もありますが、そのケースでも重過ぎる代償を負うことになりますし、大半のケースでは罪のないヒロインが男性の黒い欲望の犠牲になるストーリーとなっています。
後述する様に凌辱エロとしてのハードさや嗜虐性の強さ自体も凌辱エロとしての重苦しさに直結していますが、イジメを受けていた少女が加害者側の少女二人を襲わせ薬物なども使用して肉便器まで落とす苛烈な復讐劇(短編「犯り返し」)や、付き合っていた彼氏や愛する旦那からの裏切り行為によって凌辱に晒される話(短編「処女輪姦カラオケパーティー」「末路」)、弱みを握られ彼氏や旦那への愛情を踏み躙られる寝取られ要素のあるストーリー(短編「NTR通信」「不妊治療」)などなど、凌辱に至る状況に悲惨さや絶望感があることが大きな特徴でしょう。
ストーリー展開において、ヒロイン側が男性の剥き出しの欲望に晒されることになる最初の衝撃をヒロインに与えて恐怖や混乱を引き起こすことに加え、ヒロインに対して交際相手との関係を強調したり、裏切り行為等を暴露したりと彼女達を精神的に更に追い込む展開を中盤で織り込んでおり、彼女達の心の逃げ場を潰すことで絶望感を高めていきます。
GirlsDefloweration2.jpg  精神的な絶望感や拒否感に苦しむと共に、肉体的な性的快感は生じてしまうことを下衆な言動で意識させられ、望まぬ中出しを強行される凌辱エロは破滅的な官能性に満ちており、汚される体だけでなく、大切な“何か”を喪失してしまった心を表現する無残なバットエンドは痛々しさや重苦しさのある読後感を残します(←参照 壊れた彼女達に投げかけられる一方的な侮蔑の台詞 短編「犯り返し」より)。
  一部の作品では、ヒロインと合意の上で和姦エロに至るケースもあるのですが、本当の兄とセックスをしたことにより、自分が今までセックスしてきた“兄”の正体に気付き、壊れかけていた精神に追い打ちがかかることになる短編「白濁の夢」、家出少女を自宅に招いて和姦エロに至るも彼女が何故家出に至って一人で居たかが示唆されることで幸福な関係が長続きしないであろうことを感じさせる短編「壊れた鳥籠」と、結末はやはりバットエンドに近くなっています。

【やや粗さはあるも丁寧な絵柄とキュートなキャラ造形】
  3作品には20代半ば~後半程度と思しき人妻美女さんが登場すると共に、他の作品ではミドル~ハイティーン級の女子高生ヒロインが登場しており、人数的には後者が主力。アダルトヒロインも若々しさのあるタイプで、年齢による描き分けは明瞭には為されていません。
  短編「犯り返し」では、イジメを受けていた少女が自らの体を使って買収した男性達にいじめっ子の少女コンビが凶悪な復讐を受けることになりますが、その他のヒロインはその純粋さや優しさなどを、悪漢やストーカーなど狂気を孕んだ人物に付け込まれており、純粋さ故の脆さが露呈することも含めて、悲劇性に寄与するキャラクター描写と言えるでしょう。
ヒロインのキャラクター性などを強調するスタイルではないですし、そもそもあまり重要性が高くないタイプの作劇ではありますが、前述した様な畳み掛ける凌辱展開の中で、ヒロインの恐怖や混乱、絶望に諦観が丹念に描かれているのは評価を高める要因。
GirlsDefloweration3.jpg  ヒロイン達のボディデザインについては、健康的な肉付きのある体幹にふんわりと柔らかそうな巨乳&桃尻、ツルツル仕様の股間を備えたタイプで統一(←参照 ネット喫茶で襲われ 短編「NTR通信」より)。グレースケールなどでお肌のスベスベ感や、丸みのある輪郭で女体の柔らかそうな質感を打ち出すことに成功している一方、全体のバランスがやや安定しなかったり、粘膜描写の質が高くなかったりな点は今後改善するべき要素かもしれません。
  ふわっとウェーブがかった可愛らしい髪形や、逆に艶のある黒髪ロング、各種衣装なども含め丁寧な描線を密度高く織り込む絵柄は、キャッチーな可愛らしさを追求しつつも絵として適度な重さ・濃さのあるスタイルで、凌辱エロとの親和性が高く、また独自の魅力もあるタイプ。初出時期によって絵柄の濃淡や描線の強弱に振れ幅があることや、デジタルツールで綺麗にまとめた表紙絵に対し、良くも悪くもアナログ的な乱れや荒れが魅力にもつながっている中身の絵柄との印象の差異があることについては、購入前に留意して頂きたいところ。

【強烈な性的陶酔感と精神的な絶望感のブレンドの妙】
  ページ数は標準か少々それを下回る程度のボリュームですが、序盤から不穏な雰囲気を漂わせながら凌辱中心のエロシーンへと流れ込んでいくため、濡れ場の尺は標準的な分量を確保しており、エロ展開と同時に形成される前述の追い込むようなシナリオ展開の効果もあって体感的なボリュームを高めています。
  上述した様に、ヒロインの柔らかボディを一方的に蹂躙する凌辱エロがメインであり、そこに薬物を用いて強制的に快感を覚えさせる輪姦や(短編「犯り返し」)、彼氏に対して敢えてセックスシーンを見せ付ける行為(短編「NTR通信」)、強制的な孕ませ(短編「強制中出し 孕ませたいあの子」)など、エロとしての攻撃性・嗜虐性を増す要素を加えています。
エロシーン序盤では突然巻き込まれることになった凌辱の惨禍に対し、混乱や恐怖、逆に純粋さ故の無自覚などの感情を抱く様子と、男性達の悪意が徐々に沁みだしていく行為や言動を重ねており、嫌がるヒロインに対してのイラマチオや奉仕強制、各所性感帯を含めて女体を一方的に弄ぶ愛撫などのプレイを投入。
GirlsDefloweration4.jpg  脅迫や薬物などの効果もあって心身共に抵抗力を剥ぎ取られた結果至る抽挿パートでは、一方的な凌辱にも関わらず肉体は快感を覚えてしまうという心身の齟齬によってヒロイン達は更に屈辱と絶望を味合わされており、白目を剥く様な表情付けや絶叫される台詞回しなど強烈な快感描写を投入しつつ(←参照 短編「不妊治療」より)、そこに充足感や幸福感は無く、男性の欲望に都合のよい存在に改変されるという絶望感、男性にとっては征服感を形成する描写であると言えるでしょう。
前述した絵柄の適度な乱れや荒れは、攻撃的なエロシーンにおいてはむしろ魅力となっており、中~大ゴマメインに小ゴマやカットインをぎっちり詰め込んだ画面構成に加え、飛びかう各種擬音やヒロイン達の絶叫ボイスなど、密度の高いエロ演出の情報量の多さとそれらが入り乱れる様子に淫猥さがあります。
  ガンガンと一方的なピストンを重ねていくことで、ヒロインに不本意な快楽を重ねさせ、強制的にアクメへと追い込んでいく中盤以降の勢いは強く、最後の理性の砦として膣内射精を拒絶する彼女達に対し、その体をホールドして嘲りながら中出しを決め込んでトドメの絶頂を迎えさせるフィニッシュも相応の凶悪さを有していると評し得ます。

  凌辱エロとして性表現の過激さや攻撃性も十分にありつつ、シナリオパートでウェットさや重苦しさを付与することに成功しており、暗い話が苦手な諸氏には勧めがたい一方、適度にヘビィな凌辱エロを読みたい諸氏にはお勧めできる1冊。
個人的には、男性教師と交際している事実を不良に握られて清純な乙女が~な短編「奪われた純愛」に愚息がお世話になりました。