MyHoneyIsTallReticentAndErotic.jpg ヨシノサツキ先生の『はんだくん』第4巻(スクウェア・エニックス)を読みました。HHHの面々もまぁいつも通りのトンデモストーカーぶりを示していますが、美画部部長氏の踏み外しっぷりに色々と心配になりました(笑
今回初登場な図書委員のかすみちゃん、ヤンデレ気味ですが、前髪を上げたら美少女という王道キャラで結構お気に入りでございます。

  さて本日は、MARUTA先生の『長身で無口の彼女が発情してきたらエロいよね?』(富士美出版)のへたレビューです。なお、先生の前々単行本『柏崎美紀はいろんな場所で全裸散歩してみた。』(ワニマガジン社)のへたレビュー等のレビューも併せてご参照下さい。
繊細な情感の漂う青春ラブストーリーと柔らかく熱っぽい陶酔感に包まれる性描写が魅力の作品集となっています。

MyHoneyIsTallReticentAndErotic1.jpg  収録作は、同性から人気のある無口でクールな長身美少女と友達以上恋人未満の関係にある主人公であったが彼女は百合漫画が大好きで!?な中編「百合好き彼女は百合彼女ができない」全5話(←参照 可愛い系男子&長身クール美少女 同中編第1話より)、夏の暑い日、主人公はミステリアスな同学年女子がオナニーをしている姿を目撃し、徐々に彼女の妖しい魅力に惹かれていき~な中編「色は匂へど散らざるを」全4話。
1話当りのページ数は全て20Pとコンビニ誌初出としては中の上クラスで固定。余韻も含めて味わい深さのあるストーリーにはじっくりと読ませる存在感があり、その上でエロシーンの分量も標準的な水準を確保しています。

【心情描写の切れ味の良さが魅力の青春模様】
  風景などの情感描写も含め、登場人物達の感情の機微を細やかに、かつストレートにではなく余韻や想像を呼び込む様に描く青春ラブストーリーを得意とする作家さんであり、今単行本も変わらぬ作風を示しています。
  クールな美少女キャラクターが自分の前だけではエッチな部分も含めてその“素”を曝け出してくれるという状況の中編「百合好き彼女は百合彼女ができない」、ミステリアスな少女と幼馴染の元気ガールとの三角関係となる中編「色は匂へど散らざるを」とは共にラブコメ的に定番の設定・状況を投入していますが、テンプレ的な展開に陥ることはないのもこの作家さんの特長と言えるでしょう。
中編「百合好き彼女は百合彼女ができない」では、ショタ的可愛らしさのある男性主人公を長身美少女に“愛玩”される存在として描くのではなく、百合好きである彼女さんに異性として意識されていないのではないかという不安、そして無口な彼女の“真意”に近づこうと努力する成長劇としての側面もあり、双方が歩み寄っていき本音を明らかにし合うことでハッピーエンドへと至ります。
これに対し、中編「色は匂へど散らざるを」は、ミステリアスな美少女と元気なスポーツ少女という対照的なヒロインを擁して三角関係を形成し、“花”としての寿命を意識して生き急ぐミステリアスな少女と、三角関係に焦り健気な姿を見せる少女とをそれぞれ異なる情感で描きつつ、最終的には三者三様に結ばれない悲恋として終わらせています。とはいっても、悲恋のセンチメンタリズムに浸ることなく、各人の成長と何処か希望を示すラストエピソードにまとめているのも味わい深さがあります。
d6f725d7.jpg  どちらの作品においても、喜怒哀楽、嫉妬や興奮といった感情をビビットに描き出すことに加え、要所要所でも恋や性に関する登場人物の心情の吐露が印象的に描かれており(←参照 募る想いは叶うのか 中編「色は匂へど散らざるを」後編(第3話)より)、時に切ないシーンを鋭く、時にハートフルなシーンを温かく描き出す心情描写の巧さは特筆すべき美点でしょう。
中編「百合好き彼女は百合彼女ができない」の微笑ましく新たな希望に満ち溢れたハッピーエンド、中編「色は匂へど散らざるを」の“青春期の終わり”の寂しさを漂わせつつも“大人”としての成長を感じさせるラスト、共に作品の流れを綺麗にまとめた〆方と評し得ます。

【しなやかなスレンダーボディの黒髪巨乳ヒロイン】
  青春ストーリーということもあって、登場人物達が“大人”な20歳となった中編「色は匂へど散らざるを」完結編を除き、男性・女性とも思春期後半の高校生で統一。
  百合漫画が大好きで無口で、同性に好かれるクール系黒髪ロング美少女という中編「百合好き彼女は百合彼女ができない」は、属性の塊の様で健康的な色香とイケメンっぽさもある中性的な美しさがあるヒロインと、逆に女の子っぽい可愛らしさのある低身長ボーイの主人公との組み合わせで、おねショタ・疑似百合カップル的な趣向もありますが、ストーリーの本質はあくまで思春期の男性と女性の対等な関係性として描かれているのは前述の通り。
7eeeafb2.jpgまた、中編「色は匂へど散らざるを」では、妖しい色気を漂わせ、“花”としての自分を意識しながらセックスに溺れる黒髪ロングの美少女と(←参照 散る前に急ぐ中編「色は匂へど散らざるを」中編(第2話)より)、主人公と気軽に話せる幼馴染的ポジションで健康的な色気のあるボサボサヘアのスポーツ少女とで、妖しく退廃的な色香と素直で健康的な色香を対照的に描いているのが特徴的です。
  女体のデザインとしては、スレンダーさのあるボディが特徴的であり、適度に柔らかなお肉で包み込みつつ、腰骨や肋骨、大腿骨などの骨の存在感を適度に感じさせており、何処か華奢な印象があるのは、思春期という限られた期間の失われやすさを表現している様にも感じます。
とは言え、痩せて弱々しい印象は女体描写になく、繊細さと同じく健康的な印象も十分にあり、豊かなバストや締まりながらも適度な肉付きのあるヒップなどにストレートなセックスアピールはあります。全体的なスレンダーさもあって、端正で綺麗な肢体という印象が先行しています。
  畳の香りや夏草の草いきれ、鳴り響く蝉の声など、性と生の躍動を感じさせる夏の風景描写も魅力的であり、アナログ作画的な濃淡の付け方や描線の強弱が高い表現力を持つ絵柄は、この作家さん独自の魅力と感じます。

【瑞々しい精気に溢れた貪欲さのあるセックス描写】
  ストーリー重視の作風と言えますが、エロとシナリオの量的バランスがよく、またストーリー展開とセックスシーンの投入の調和がよく取れていることもあって、話の展開を楽しみつつ実用的読書もエンジョイできる作品構築。
  中編「百合好き彼女は百合彼女ができない」では長身ガールと低身長ボーイの和姦エロを基調としつつ、青姦プレイやショタボーイが女装しての疑似百合セックスなどのシチュエーション変化、中編「色は匂へど散らざるを」ではミステリアスな少女に誘われるままにセックスをする倒錯的な性行為や、幼馴染ヒロインが健気に自らの処女を捧げる和姦エロなどのシチュエーションを用意。
いずれにしても、性行為を通して相手により惹きつけられていくという描き方となっており、ヒロイン達のキャラクターとしての魅力もあって情感と熱気がこもる作中の空気へと読み手が引き込まれていく描き方となっているのは、和姦エロとしての醍醐味を備えていると感じます。
  場面場面の雰囲気については、倒錯的であったり退廃的であったりな味付けをすることはありつつ、多少アブノーマルなプレイも絡めていますが、惹きつけられた相手の肉体を強く求めていくという描き方は共通しているため、肌の触れ合いや直向きなピストン運動などごくオーソドックスな行為を若さのエネルギー豊かに紡ぎ出すスタイルと言えます。
MyHoneyIsTallReticentAndErotic4.jpg  エロシーンにおいて決して台詞表現が多い訳ではないものの、性行為や相手に対する感情が滲み出す表情付けや台詞回しを特徴としつつ、じっとりと濡れた柔肌や乱れる黒髪、お互いに余裕を失った表情と台詞で腰を振り合うピストンの描写などは、思春期ガールズ&ボーイズらしい瑞々しい性欲の直向きさを備えており、同時にむせ返る様な熱気や精気を感じさせるのが◎(←参照 女装して青姦中 中編「百合好き彼女は百合彼女ができない」第2話より)。
  ぬちゃぬちゃと滑った水音を奏でる結合部を見せ付け、各種液汁描写なども含めて精気を伴う生々しさを感じさせるピストン運動は、駆け抜ける絶頂に感極まった嬌声を上げ、体をしならせて反応するヒロインに中出しをきめて両者KOな様子を大ゴマ~1Pフルで描いており、殊更な派手さ・過激さは排する一方で、等身大の力強さとでも言うべき盛り上がりを感じさせています。

  片方は微笑ましくも双方が頑張る青春ラブストーリー、片方はミステリアスで思春期の儚さを感じさせる悲恋系と趣向が異なりますが、共に繊細な心情描写で思春期の男女の魅力を描き上げた作品と言えるでしょう。
個人的には、完結編にて通常のトライアングル・ラブな作品とは異なるユニークなまとめ方をした中編「色は匂へど散らざるを」が大変印象的でした。