JCsEX.jpg 九井諒子先生の『ダンジョン飯』第2巻(エンターブレイン)を読みました。オークの一団がエルフのマルシルさんを“ブサイク”扱いしているのが種族の違いによる美醜の概念、文化的な価値観の違いを如実に物語っていて面白かったです。オークと言えばエルフ凌辱なのに
お料理ネタで楽しませつつ、城の謎やダンジョンの探索を着実に語っているのも流石の構成力と感じます。

  さて本日は、鈴木狂太郎先生の『JC’S EX』(ヒット出版社)の遅延気味へたレビューです。私の多忙と遅筆により、前単行本・前々単行本が未レビューで申し訳ないのですが、3冊目の成人向け単行本『魔法教えました!!』(同社刊)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
快楽に身悶えする華奢ボディな思春期ガールズ達の、生としての性が生き生きと描かれる作品集となっています。

JCsEX1.jpg  収録作は、病により若くして死期を迎えた少女が霊体となった時に自殺しようとしていたクラスメイトの少年の霊魂に遭遇し、彼を救うために一時的に甦ったものの~な連作「この広い青空の中でSEX」前後編+フルカラー幕間劇4P(←参照 死に向かう少年と少女は 同連作後編より)、および読み切り形式の短編・掌編7作。
前単行本『戦車コレ』の宣伝漫画である掌編(4P)、およびフルカラー幕間劇を除き、1話・作当りのページ数は16~34P(平均25P弱)と幅はありつつ平均値としては標準を多少上回る水準のボリューム。短編メインですが、話としての読み応えはしっかりとあり、情感のこもったエロシーンを抜きツールとして十分のボリュームで織り込んでいます。

【少年少女達の“死”と“生”および“性”】
  これまでの単行本では長編メインであり、今回は落穂拾い的な短編集ではあるのですが、登場人物の情動をビビットに描き出すドラマ性は不変であり、またコンパクトにまとまっている故の読みのリズムの良さや、凝縮されたからこその味わい深さがあるドラマツルギーが大きな魅力。
今単行本の特徴は、自身が病死の瀬戸際にありながら自殺しようとする少年を救おうとする少女を描く連作「この広い青空の中でSEX」、駅で飛び込み自殺を試みた少女と彼女をある理由から救うことになったサラリーマンの青年の出会いを描く短編「痴漢とSEX」の様に、登場人物の“死”をテーマ、もしくはメタファーに据えた作品が過半数を占めることでしょう。
ぞれぞれの作品においては、生きることに苦しんで選択する自殺、若くしての病と死期など、仏教概念における四苦(生老病死)のうち“老い”を除く苦を描き出しつつ、その中で浮かび上がってくるのは“死”の対称としての“生”と“性”の価値と評して良いでしょう。
3d9ab58e.jpg  例え若者であっても、生きることの苦しみ・死に至る絶望があることを淡々と描き出しつつも、それを乗り越え、登場人物の彼ら彼女らを、彼ら彼女らとして生かし続けるのは“性愛”であるという描き方は(←参照 私は私として生きていい 短編「痴漢とSEX」より)、迸る様な活力の可能性を有している思春期の性愛だからこそしっくりと来ると感じます。
短編「カラテガールがSEX」「fortissimo」の様に、直接的もしくは間接的に“死”を描かない作品においても、思春期のエネジェティックかつ繊細な心に“性愛”というものが与える影響の大きさを、時に活力豊かに、時に淫靡に描き出しており、雰囲気の陰陽を超越して、“性”というものの豊かさと多様性を描き出していると評し得るでしょう。
  時に切なく、時に温かく、時にダークな余韻を残す各作品のラストでありつつ、それぞれの登場人物達が性愛を通して得たものを糧として自らの道を歩み続けることを強く印象付ける描き方であり、大半の作品において爽やかで頼もしさのある、読み手の応援を呼び込むようなまとめ方となっているのも非常に好印象です。

【華奢ボディ&膨らみかけバストの思春期ガールズ】
  単行本タイトルにある通り、ヒロインの年齢層はローティーン級の女子中○生であり、思春期入りたての女の子達。
思春期故の繊細さや衝動、無謀さを描き出しているのは少女でも少年でも同様であり、例えば自殺であったりセックスであったりと、それ故の“愚行”を描き出しているのですが、それを単に“愚か”と断罪するのではなく、その苦しみを受け止めつつ、生の希望を、性を通して描き出しているのは本作の最たる美点と感じます。
元気娘やお嬢様ヒロインなど、ある程度のキャラクター属性は付与していますが、その属性に依存することは全くなく、突き詰めれば彼らの行動理念は“私は私として生きたい”、そして“他者を生かしたい”という根源的であり、またそれ故に高潔な欲求であることが濁りなく読み手の胸を打ちます。
  短編「fortissimo」の瀟洒なお嬢様ヒロインにも魅力がありますが、その他の作品は如何にも地味で普通の女の子として描かれているのも特徴的であり、であるがこそ、彼女達の普通の欲求としての生と性が端的に描かれているとも評し得るでしょう。
JCsEX3.jpgごく一部のサブヒロインを除けば、華奢な思春期ボディとしてヒロインは描かれており、ほっそりとした四肢を含めて繊細さを感じさせるスレンダーボディに、二次性徴期特有の膨らみを魅せる膨らみかけおぱーいや肉付きの弱いお尻、ツルツル仕様の未成熟な股間を組み合わせた女体が勢揃い(←参照 短編「ランチタイムSEX」より)。
  筆は早い作家さんで精力的に活躍されていますが、これまでの単行本は長編メインということもあって、これまで収録から漏れてきた短編・連作を集めた本単行本は必然的に初出時期が広めであり、絵柄の統一感はやや弱め。古めの作品でも繊細な描線を丁寧に重ねるスタイルは共通していますが、近作ではより素朴な可愛らしさが丁寧に表現されるスタイルになったと感じます。

【エネルギッシュな筆致で描く華奢ボディへのピストン】
  ストーリー性を重視した作風ではありますが、十分なページ数があることもあってエロシーンの分量は抜きツールとして標準的な分量が確保されており、少女達の華奢ボディが激しい感情や感覚に揺さぶられていく様子を活写。
男女双方が合意してセックスという展開が多く、一応は和姦エロに該当する作品がメインとは言えますが、場合によっては捨て鉢であったり、強引さがあったり、単に性的快楽を欲求していたりという描き方も多く、甘いラブラブHをお望みの諸氏は留意されたし。
とは言え、ストレートに性的快楽を望むことは、無味乾燥なものとして描かれておらず、つながる相手を求めること、もっと言えば、“生きる”ことを強く望む行為として描かれており、がむしゃらに腰を振り、快楽を貪り、愛の言葉を叫ぶ登場人物達の描写は性行為の描写と等しくエネルギッシュです。
4af6fd4c.jpgヒロイン側の喜怒哀楽の情も強く出るエロシーンでありつつ、男性側の情念も強く出る描き方であり、そのためセックス描写の際に男性側の表情や体が描かれることも多く(←参照 短編「校舎の窓から愛を叫んでSEX」より)、彼らの直向きな欲望や感情をヒロイン側が心身で受け止める印象を強めています。必要性のある描写ですが、ヒロインのキュートな痴態のみを鑑賞したい諸氏には一定の減点材料かもしれません。
  ヒロインの可愛らしさ、特に表情等についてはそれを減衰させるような演出手法を用いませんが、激しいピストン運動の躍動感や、大きく開かれる結合部、動きに合わせて柔肌から飛び散る汗や擬音、ここぞの場面で用いる2Pまたぎの大ゴマといったパワフルな演出・構図を多用しています。
少女の狭いパ○パンまんこを剛直が押し上げ、子宮口まで擦り上げる強烈な抽挿を結合部見せつけ構図や断面図等でアピールしつつ、精液が迸ると共に、双方が精神的な“何か”を解き放つかの様なカタルシスを合わせ持つフィニッシュシーンへと突入しており、エロ可愛くも激しいヒロインのアクメフェイスと懸命さを感じさせる野郎のいきみ顔もまた実にパワフルでございます。

  短編集ということもあって、ファンタジーもあれば青春ドタバタラブもあり、深刻な話からの救済もあれば、逆に少女の純真を利用する凌辱系もありと多彩な作劇ですが、前述した様に、生としての性、それが思春期の少年少女に与える糧というテーマ性は共通していると感じます。
個人的には、お話・エロ共にアイディア力が光り、かつラストの切なくも温かい雰囲気が素晴らしい連作「この広い青空の中でSEX」が最愛。お勧め!