Incubus.jpg 伊藤悠先生の『シュトヘル』第11巻を読みました。大ハンの「等しく暴き合い晒し合う未来」という言葉に現代の諸事情を鑑みてドキリとさせられましたが、ユルールの「どんな文字も焼かれてはいけない」の言葉をやはり人として信じたいものです。
あと、居酒屋あの世で明かされたサルヒさんのまさかの死因:カワイイにはコーヒー吹きました。一途系なのは間違いないですが。

  さて本日は、黒岩瑪瑙先生の『インキュバス』(コアマガジン)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『イクリプス』(同社刊)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
豊満ボディの黒髪美熟女とほっそりボディのショタ美少年との妖しくも幸福な性愛が描かれた作品集となっています。

Incubus1.jpg  収録作は、実の父親と再婚した義理の母親に対し、その父親を失ったことへの歪んだ復讐心から彼女と実の息子との性交によって過程を滅茶苦茶にしようと義理の娘であり姉でもある女性が画策するも・・・な中編「インキュバス」全5話+エピローグ(←参照 義母への辱めが始まる 同中編第2話より)、および読み切り形式の短編3作。
1話・作当りのページ数は18~26P(平均23P強)と標準的なボリューム。語り回しの良さもあってページ数以上にじっくり読ませるスタイルですが、エロシーンの尺的には抜きツールとして明確な構築を示していると評し得るでしょう。

【陰陽を受け止め幸福に導く“母性”の強さ】
  おとぼけコメディから倒錯的でウェットな作品まで引き出しの広い作家さんですが、今単行本でメインとなる中編「インキュバス」については、一人の女性キャラクターによる義理の母親への復讐劇というダークな趣向の作品となっています。
復讐の動機としてやや弱い印象はありますが、自らの喪失感から義理の過程を崩壊させたいという願望はウェットでダークなものであり、快楽に飲み込まれて息子との禁断の性愛に溺れていく義母の倒錯的な痴態には一種の破滅の美が漂っています。
Incubus2.jpgそういった禁忌や復讐の被害者としての面を強調する一方で、息子の性的欲望や義理の娘の負の感情などをその身に受け止め、既存の家庭を崩壊させられながらも三人で新たな秩序と幸福を形成する母の姿は(←参照 いずれの形でも息子を受け入れる 中編第4話より)、正しく包容力としての母性であり、その強さを示していると評し得るでしょう。
  メイド姿の女装少年を調教する女主人との淫靡な性愛を描く短編「メイドの心得」、悩みを抱える少年を優しく受け止め生の希望を与えるミステリアスな温泉女将を描く短編「癒しの温泉旅館 オモカゲ」とそれぞれ作劇の方向性は異なりますが、いずれにしても年上ヒロインの母性が時に優しい包容力、時に蠱惑的な支配力として機能しており、母性というものの聖性への信奉が根底にある作風と個人的には感じます。
その上で、お気楽風味のおねショタエロの短編「新春!姫はじめ」も含め、そういった母性を有するヒロインを、存在自体が儚くも一種妖しく超越的な存在であるショタ少年によって蕩けさせられ、変容させられるという構図も魅力的であり、“おね”一方でも“ショタ”一方でもない、相互補完的な関係性としての“おねショタ”となっていると言えるかもしれません。
  爛れた関係を描いたり、妖しい雰囲気を強く残して引いたり、おとぼけ風味でまとめたりと、作品毎の方向性に合わせた印象のラストになっていますが、いずれにしても男女の関係性が彼ら彼女らにとっての幸福をもたらすものとして描かれており、ハッピーエンドでまとまっていると言えるでしょう。

【ショタの華奢ボディを受け止めるアダルト美人の完熟ボディ】
  中編作の復讐者でありサブヒロインでもある女性キャラクターや、短編「新春!姫はじめ」のメインヒロインは女子大生級の年齢層ですが、その他の女性キャラクターは30代半ば~後半程度と思しき美熟女さん達。
中編作では、息子に対しては実の母親の立場ですが、母子相姦に特化した単行本ではなく、女子大生とその友人の弟、女主人と使用人の少年、温泉宿の宿泊客と美人女将といった関係性も描かれています。
  単行本タイトルとなっている“インキュバス”は男性型の淫魔のことを示しますが、各作品に登場するショタ少年たちは、意図的に女性を快楽の虜にしようという邪心を持っているわけではなく、むしろその性的な未成熟さも含めた存在そのものが女性の心を乱すという扱いになっているのが非常に興味深いところ。
Incubus3.jpg艶やかな黒髪や美しい金髪などを清楚にまとめた髪形、しっとりとした美肌、たっぷりサイズでほんのり重力に屈しつつある巨乳や巨尻を中心に熟した柔肉がたっぷりとまとう豊満な美熟女ボディは非常に官能的であり、対照的に細い四肢に肋骨等もかすかに透けて見える華奢ボディの美少年との対比が鮮烈(←参照 女装メイド少年×美人奥様 短編「メイドの心得」より)。
  グレースケール等でしっとり感と陰影をつけたグラマラスな女体の妖艶な肌や、整えられながらも黒く茂った陰毛や腋毛のむせ返る様な淫猥さ、襦袢や喪服、唇を彩る鮮やかなリップ、レースのストッキングにハイヒールなどのアダルトな色香を高める体パーツ・着衣・アイテムの選択もエロシーンの煽情性に直結しています。
  ショタキャラクターの可愛らしさなども含め、漫画チックなキャッチーさはありコミカルな描写では軽さ・明るさも生きる絵柄ですが、割合にくっきりとした描線でありつつ艶や情緒がしっかりと乗る濃厚さが身上とも言えるタイプ。過剰に濃い訳ではなく、あっさりとした素朴さとの塩梅が効いた漫画絵柄であると感じます。

【穏やかな抱擁感と激しい抽挿感との緩急が効いた濡れ場】
  年上美人とショタの絡みにおける会話や心情描写等にも存在感があるため、ストーリー性が貫いている濡れ場となっており、その流れこそが官能小説的なリズムで十分な尺を有するエロシーンの体感的なボリュームを押し上げていると感じます。
美熟女ママンを卑劣な罠を用いつつ、拘束凌辱やアナル開発などの調教を加えていく中編作や、女装少年の奥様へのご奉仕や射精管理、そこからのご褒美セックスといった(男性にとっての)被虐的なシチュエーションな短編「メイドの心得」といった倒錯的な要素を加えつつ、おねショタエロがメインなのは上述の通り。
近親相姦を含め、行為の倒錯性・禁忌性はエロシチュエーションのスパイスとして機能していますが、それよりもショタ少年を肉体的にも精神的にも、また性的なものも含めて包み込み、受容する母性の発揮に重点が置かれた描き方と言えるため、ネガティブさやダークさは最終的には少なくまとまっています。
  抽挿パートに至るまでの前戯等の描写に十二分の尺を設けるエロシーンの構築であり、舌の絡み合うねっとりとしたキス、年上女性による愛撫や手コキ、フェラなどのサービス、オナニーや貝合わせレズセックスなどの行為でエロシーンを盛り上げると共に、いわば男女双方にとって挿入への“オアズケ”を設けることで挿入時の快感・感情の爆発的な高まりを強調することにつながっています。
Incubus4.jpg特にエロシーン終盤では、歯止めが効かなくなった少年側ががむしゃらに女体を攻め立てる状況も目立ちますが、柔らかい完熟ボディに抱きとめられながら騎乗位等でヒロインの積極的なリードに身を任せ、火照り蕩けた表情と男性側を勇気付ける台詞を示す美熟女の艶姿にショタ側も陶酔していく流れが甘美(←参照 短編「癒しの温泉旅館 オモカゲ」より)。
  行為の勢いなのか、最終盤でややアクロバティックな体位となることも多いものの、股間を大きく割り開かれ、ねっとりとした愛液を分泌する完熟大人ま○こにたっぷり白濁液を注ぎ込まれながら絶頂の潮吹きで更に股間を濡らす様をがっつり見せつけるフィニッシュを叩き込んでおり、比較的穏やかな動きから、男女双方が激しく絡み合い急激に快楽の高みに昇りつめていく緩急の効いたエロの組み立てになっていると感じます。

  性的な存在でありつつ男性を受け止める母性を強く有するヒロインを据えており、快楽に乱れつつも各ヒロインが芯を見失わないのも面白いところ。カジュアルな、形式だけに則った“おねショタ”とは一線を隔す趣のある作品群と言えるのではないでしょうか?
個人的には、ドSお姉ちゃんと聖母めいたママさんと何のかんので新たな幸福を掴む中編「インキュバス」がお気に入りでございます。