HouseOfBeastsF.jpgHouseOfBeastsS.jpg TVアニメ版『SHOW BY ROCK!!』第2話「俺たちは深紅色の心眼で(以下略)」を観ました。男性キャラも女性キャラも個々に魅力的で、いい意味でサンリオらしい混沌さが賑やかで楽しい作品ですね。
褐色金髪ツインテメガネでイヌ族なツンデレ美少女・レトリーちゃんの可愛さたるや!

  さて本日は、墓場先生の『けだものの家』上下巻(ティーアイネット)の遅延へたレビューです。先生の前単行本『公開便所』(同社刊)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
禍々しい欲望と憎悪が渦巻く陰惨な凌辱地獄の中で紡がれる人の善悪の情と特殊でハードなプレイの数々がヘビィな長編ストーリーとなっています。

HouseOfBeasts1.jpg  収録作は、亡き父の借金を肩代わりしてくれた高丘家に母と共に身を寄せた主人公の少女は新たな生活を始めるが、高丘家は女性を贄として調教・売春をさせる家であり、毒牙にかかった母を守ろうとするヒロインにも高丘家の魔の手が迫り~というタイトル長編「けだまのの家」全12話(←参照 愛する母親に犯されることに 長編第3話より)、公開便所のシステムを持つ学校で指定された女生徒を逃がした女生徒への過酷な懲罰を描く連作「非公開便所~陰ノ幕~」前後編、および短編「秘密の鼻園」。
上巻には長編第1話~第6話と短編「秘密の鼻園」、下巻には長編第7話~最終第12話と連作「非公開便所~陰ノ幕~」前後編を収録。なお、連作は前単行本の長編「公開便所」シリーズのスピンオフ的な作品となっています。
  1話・作当りのページ数は24~32P(平均28P弱)と中の上クラスのボリュームで推移。長編作として十二分な読み応えのある作劇であり、ひりつく様な緊張感の中で快楽の凶悪さを剥き出しにするエロ描写にも迫力・存在感があります

【狂気と憎悪が渦巻く世界に貫かれる人の愛】
  その渦に飲み込まれてゆく人間を無慈悲に圧殺していく凶悪なシステムと、その中で必死に足掻き苦しむ人間の在り様を強い情念を込めて描く作風に大きな魅力のある作家さんであり、今単行本でもメインとなる長編作も重苦しい雰囲気と痛切な叫びが木霊する重厚な凌辱劇であり、悲劇となっています。
母だけでなく自身にも襲い掛かる凌辱の嵐、快楽に精神を壊してゆく母親への思慕と現実に希望を残す自身との剥離、新たな生活で得た想い人との恋愛関係すら引き裂かれてゆく絶望の中、自らの心すら壊して暴力と快楽の地獄の中で母と共に生きていくことを決意するヒロインの慟哭と決意は読み手の胸を打つものがあります。
HouseOfBeasts2.jpgこの作品のすさまじいところは、様々の人間の愛憎が渦巻く中で、凌辱・調教に蹂躙され続けたヒロインが、ある事件をキッカケとして被害者から復讐の鬼として“加害者”の立場へと急変することであり(←参照 彼女の全てを奪ったものへ復讐を 長編第11話より)、憎悪や強欲の連鎖が止まらずに悪しきシステムが継続されてしまうことの無慈悲さもまた作品に凄味を与える要素。
  その一方で、前作「公開便所」で示したのと同じく、この負の連鎖を続けてしまうものが憎悪という人の情であると同時に、その悪しき連鎖を打ち破り、飲み込まれた人間を救済するのもまた愛であり友情である人の情であるというテーマ性は長編終盤の確たる骨子となっており、青臭さはやや過剰ではありつつも、人の善徳が被害者であり加害者ともなったヒロインを地獄から救済します。
凌辱劇としての重み・凄みを有し、悲痛に沈み込んでいくストーリーテリングの重厚さは高く評価できると共に、終盤の息をのむような緊迫感とそこからの救済も見事であり、「けだものの家」というタイトルに反し、獣ではなく善悪両面の意味で“人間”こそが描かれていると評しても過言ではないでしょう。
  麗しの女学園で女生徒たちが鼻フックを装着して秘密のレズセックスに耽溺する短編「秘密の鼻園」、懲罰対象の五感を奪い精神を狂わせて快楽を貪る肉の塊へと破壊する狂気の調教を描く連作「非公開便所~陰ノ幕~」も共にかなり異色の作品であり、長編と併せて2冊分の物理的ボリュームを優に上回る読み応えを叩き出しています。

【肉感的なボディを彩る各種拘束衣】
  長編作では、女子高生級の少女であるヒロインとその母親がストーリー的にもエロ的にもメインですが、ヒロインの義理の従姉妹である少女や高丘家の狂気のシステムを主導する義理の叔母などもエロに絡みます。連作や短編でも登場ヒロイン達は女子高生級なので、ここらの年齢層が主力と言ってもよいでしょう。
  後述する様に、エロシーンでは目前の快楽を貪り食って理性を殺していく獣の様な狂乱の性行為が描かれていますが、その一方で登場人物達の人間らしい感情こそが善徳であれ悪徳であれストーリーを力強く駆動しているのも大きな特長であり、大仰に言えば長編作はそれぞれの登場人物達の“愛”の物語であるとも評し得ます。
これに対し、ヒロインの想い人である少年や、高丘家の業に呑まれていく従姉妹を心配する使用人の男性など、ストーリー展開に大きく寄与する男性キャラクターもいるものの、狂気の因習に積極的に参加し、その利益を分配される多数の男性キャラクターは単なる暴力装置として描かれており、それを自明のものとする故に歪んだシステムが延々と回っていくという薄ら寒さを生み出しています。
  バストサイズが多少控えめな女の子もいますが、基本的には健康的な肉付きで適度にむっちりとした質感の巨乳&桃尻のエロボディで統一。これといって特徴のある女体描写ではありませんが、ストレートなセックスアピールを十分に備えていると言えるでしょう。
HouseOfBeasts3.jpgむしろ、その肉感的なボディや端正な表情を歪めたり、覆い隠したりな装束に大きな特色があり、体を締め付けるボンテージや縄、目隠しやギャグボール、顔全体を覆うラバーマスク、肢体を快感で攻め立てる各種性玩具などと合わさることで退廃的なエロスを生み出しています(←参照 長編第4話より)。
  内容の重さと呼応するように、黒ベタの暗さや重さが印象的であり、十分な密度を感じさせる作画なのですが、絵柄自体はシンプルですっきりとした描線をシンプルに組み上げるタイプ。カラー絵では滑らかで艶やかさのある絵柄に対し、モノクロ絵では尖った印象の絵であるため、表紙と中身で印象の差を感じる可能性があることには要留意。

【過激な行為が連発させるゴアめいた快楽地獄】
  各エピソードにおいて十分な長さの尺を有するエロシーンは、憎悪や欲望、嫉妬や絶望など様々な感情が入り混じる営みとしてストーリーラインを確かに形成すると共に、行為の強烈さも相まってショッキングなレベルでインパクトの強い抜きツールとしても機能しています。
  一部に和姦エロが存在するものの、題材の方向性の関係から、調教エロ・凌辱エロがメインとなっており、ヒロインの人間性を快楽と絶望で塗りつぶし、人ならざるものへと転落させていく狂気性は圧倒的な攻撃性を有しており、心の空白を塗りつぶすかのように快感をひたすらに貪り続ける女性キャラクター達の痴態も破滅のエロスを湛えています。
体中を犯される輪姦や拘束してのバイブ・ローター責めなども多数搭載しつつ、フィストファックや肛門と口の連結、鼻フック責めや監禁調教、浣腸などのスカトロ要素など、ハードなプレイが非常に多いのも特徴。これらはヒロインの心身を蝕むものとして描かれており、女性同士の性的な絡みが多いことも精神的な責めの一環として描かれていることが多いです。
HouseOfBeasts4.jpg  比較的シンプルな絵柄と同様に、行為の猛烈さに反して過激なエロ演出を連発するスタイルではないのですが、朦朧とした表情や身を焼く感覚に目を見開く絶望的な表情を浮かべ、肉感的な肢体を噴き出す汗や漏れ出す涙や涎、愛液などの液汁描写でぐしゃぐしゃに濡らす、快楽と苦悶が綯い交ぜになった呻き声や声にならない絶叫を響き渡らせる描写は手法論としてはシンプルでありながら非常に強烈なもの(←参照 獣じみた叫び声 長編第8話より)。
女性同士の器具を用いたセックスが多いことに加え、柔らかな肢体が男たちの体と肉棒にもみくちゃにされる様など、コマをヒロインの肉感ボディを中心に体の描写で埋め尽くすこともあって、濃く重いエロ作画が連発していることも体感的なボリューム感を底上げしています。
  各種淫液に塗れながら強制的なアクメを連発させられ、中出しを含めて全身に白濁液を浴びせられると共に、様々な体液を噴き出して茫然としたアクメ顔を曝け出すフィニッシュは複数ラウンド制の〆として十二分なインパクトを有しており、正しく地獄絵図を最初から最後まで貫徹していると感じます。

  エロにしてもストーリーにしても墓場先生の魅力が存分に発揮された作品と言え、重苦しくも骨太なストーリーもエクスリームなエロ描写でゴリゴリと爆走するエロ描写がしっかりと噛み合っているのが素晴らしいところ。
今は亡き雑誌『フラミンゴ』を思い出させる異色の名作と言えるでしょう。凌辱エロ耐性は必須ですが、強烈な作品を読みたいエロ漫画ファンには広くお勧めしたい所存。