SomethingLikeThis.jpg 太田垣康男先生の『機動戦士ガンダム サンダーボルト』第5巻(小学館)を読みました。混迷と策謀が渦巻く緊張感がある本編も変わらず良いですが、今回収録の外伝「砂鼠ショーン」がお話としてもメカとしても大変良かったです。
それにしても、やはり、グフシリーズは砂漠が似合いますねぇ。そして必殺のヒートロッドが決まるシーンのカッコよさと言ったら!!

  さて本日は、三巷文先生の初単行本『こんなこと』(ワニマガジン社)のへたレビューです。期待の大型新人といえる作家さんですね。
等身大の可愛らしさを有する美少女・美女ヒロインのピュアな恋愛感情が光るラブ&エロな作品集となっています。

c493e805.jpg  収録作は、お気に入りのクマのぬいぐるみでオナニーするのが大好きなヒロインがその姿を同級生の男の子に見つかってしまい~な短編「ちいさなくま」(←参照 クマショック!)+後日談のフルカラー掌編「おおきなくま」(4P)、および読み切り形式の短編15作。
フルカラー掌編および描き下ろし短編「ライラックの頃」(10P)を除き、1作当りのページ数は16~18P(平均17P弱)とコンビニ誌としては標準的ながらやや控えめなボリュームで安定。ただし、収録本数が多いこともあって単行本としての厚みはかなりあります。短編メインということもあって各作品をコンパクトにまとめつつ、シナリオとエロの双方に適度な存在感をバランスよく持たせた構成となっています。

【恋愛感情を軸として紡ぐ多彩なストーリー】
  作風としては、若い男女、特にヒロイン側のピュアな恋愛感情をベースに据えた王道的な青春ラブストーリーに強みを見せつつ、様々な作劇スタイルで男女の恋を紡ぐ引き出しの多さも示しています。
b399e885.jpgほのぼのとした優しい雰囲気と、恋する魅力的なヒロイン達の大胆な告白や恥ずかしがりながらのセックスへの参加を描く青春ラブエロ話については、ヒロイン側が積極性を示すことで棚ボタ・据え膳的な状況を形成していますが(←参照 大人しい娘さんの本心が 短編「ふたりの部屋」より)、この展開に陳腐さがなく、ヒロイン達の直向きさや忌憚のない恋心が素直に発揮されている様に感じられるのが大きな美点
コミカルな要素も含んでおり、読みのリズムも良好ですが、当たり前の日常的な関係から性愛関係へと登場人物達が移行していくシナリオ展開の滑らかさと甘酸っぱく微笑ましい適度な抒情感があり、ちゃんと読ませる作劇になっているのは高く評価したいポイントです。
  この誠実な青春ラブストーリー群に加え、年上の女性に優しく弄ばれながら彼女への変わらぬ恋心と嫉妬に心を乱される少年を描くアモラルで寂寥感のある短編「ハナアザミ」、幼い頃から慕っていた少女の姿の土地神様に最期の再会を果たすことになる優しくも悲しい和風ファンタジーの短編「月蛍抄」、のほほんと穏やかなヒロインの独白から徐々に狂気が沁み出してくるサイコホラー的な短編「あにかん!?」などなど、恋愛感情を話の軸としつつ作劇の方向性は多彩に取り揃えられています。
後述する様に、登場人物のキャラクターを変にカリカチュアすることなく、ありふれた情動を持つ人物として動かしていることもあり、嫉妬や不器用さ、歯がゆさなどの負の感情に悩みつつ、セックスを通じた肉体と精神の結び付きがそれらを解決するラブストーリーと、時に快楽が行き過ぎて関係者の心を乱すお話とに読者を惹きつける魅力を持たせています。
  決して新味のある尖ったストーリーテラーではなく、短編作としてのコンパクトなシナリオであるため話の重厚さもありませんが、滑らかな読書感を安定的に供給しつつ、陰陽様々なエッセンスを作劇に織り込めるセンスは非常に頼もしいと感じます。

【性格的にも女体描写的にも健康的で素朴な魅力があるタイプ】
  少女の姿を保ち続ける産土神である短編「月蛍抄」のヒロインは年齢不詳ですが、20代半ば程度の成人女性を少数名含みつつ、女子高生級の美少女さんがメインとなったヒロイン陣となっています。
大人しく無口なオドオド系ガールや男勝りの従姉キャラクターなど、ある程度ポピュラーなキャラクター属性を持たせたヒロインも存在しますが、そういったキャラクターの“型”にはむしろはめ込まないスタイルであり、性欲なども含めて素直で等身大の感情の持ち主として描いているのが大きなポイント。
場合によっては男性主人公もそうなのですが、そういった素直な感情や欲望が思い切って明らかにされることで男女の関係性を推し進める微笑ましさや幸福感は青春ラブストーリーとしての妙味とも評し得ます。
  また、キャラデザとしてもいかにも華やかな二次元美少女として仕上げるよりも、比較的地味で飾らない可愛らしさ・美しさがあるタイプのキャラクターデザインが得意な様に感じられ、この点も前述のキャラクターの魅力に直結しています。
bc857726.jpg  ボディデザインについては、控えめサイズの乳輪&乳首を先端に備える美巨乳と桃尻を有する肉感的なボディもあれば、ぺたんこ気味の微乳に肋骨がうっすら窺える肉付きの弱いボディも存在(←参照 並乳さん 短編「家出イトコ」より)。乳尻の肉感を漫画的に前面に押し出すというよりかは、並乳~程好い巨乳の範疇に収めており、標準装備の股間の黒い茂みなども含めて一定の現実感のある女体描写となっています。
  絵柄に関しても、華美な印象やあざとさのない、健康的でふわっと穏やかなタッチであり、作劇の明暗いずれのトーンに対してもしっくりとくるもの。クドさこそないながらも描き込みの密度は十分に高く、ヒロインの魅力を十全に引き出す技量は初単行本らしからぬ安定的な良質さを示しており、遅かれ早かれ一般向けジャンルからの引き合いがあるだろうと感じます。

【基本的な演出手法を高質で織り込むエネルギッシュな和姦エロ】
  シナリオ要素にも相応の存在感と魅力を持たせていますが、ページ数の関係もあって導入パートをたっぷりと設けるタイプでもなく、サクサクとエロシーンへと誘導。これにより適度なボリュームを濡れ場に確保していますが、性行為の中で詳らかになっていく心情を丁寧に紡ぐことで、作品全体にストーリー性を持たせることに成功しています。
  S気味の彼氏君にツンデレ彼女さんがやっぱり圧倒されてハードなプレイによがり狂わされるシチュエーションや(短編「ONE PLAY」)、思慕する女性が主人公以外の男性とも乱交するエロシチュ(短編「ハナアザミ」)、心の何かが壊れたヒロインが思い出すレイプや痴漢エロ(短編「あにかん!?」)などのエロシチュエーションも存在しますが、基本的には男女双方合意の上での和姦エロであり、激しい情動が行為の激しさに直結することもありますが、肉体と精神を充足させる行為として描かれています。
普段は勝ち気な女の子がすっかりしおらしくなって、男性にリードを奪われるケースもあれば、普段は大人しい女の子が積極的に行為を主導するケースもあり、男女いずれが主導権を握っているかは作品によって異なりますが、いずれの場合でも双方が望んでいたことに互いが気付いていくことで恋愛セックスとしての幸福感を喚起。
SomethingLikeThis4.jpg  特殊なプレイは、せいぜいアナル関連が多少描かれる程度で、ほとんど投入しておらず、性欲や恋心に駆動され、相手の肢体との接触を強く求めると共に、相手を気持ち良くしようと腰を振ったり愛撫したりしていきます。野郎のツラや体躯を観たくない諸氏にはマイナス要素かもしれませんが、抱擁や結合部以外の重なり合いなど、男女の体の接触を重視した描写が多いのも和姦エロとしてのポイントでしょう(←参照 短編「プライベートスタンダード」より)。
激しいピストンを表現する効果線や、結合部からスプラッシュする淫液、子宮口を突き上げる様を強調する断面図に、声にならない叫びの嬌声など、十分にアタックの強いエロ演出を適度な密度で添加しており、感情が駆動する行為とそれに伴う快感の激しさを活写していますが、同時にアへ顔や露骨な結合部見せつけ構図の連発など、ヒロイン達の素朴な可愛らしさや美しさを阻害する様な演出や、過剰な演出密度は強く避けているのも特徴。
  特に恋愛セックスではエロシーン終盤における正常位描写を強く企図しており、単にエロ台詞を叫ぶのではなく、衝き動かされるように恋心を自らの言葉で出張し、熱い抱擁を交わしながらフィニッシュシーンへと投入します。これまたページ数の都合か、フィニッシュは中ゴマ程度に収めることが多く、そこまでの流れから自然に入ることもあってややインパクトには欠けますが、抜き所としては十分な盛り上がりとタメを備えていると評し得るでしょう。

  ヒロインの心情描写の良さを引き出しつつ多彩な作劇、素朴な美しさ・可愛らしさを活かしつつ、感情の迸りが行為の熱量を担保するエロ描写は共に非常に魅力的。個人的な評にはなりますが、大いなる先達Cuvie先生の美点と共通する良さを持った作家さんと感じました。
強いて選ぶのであれば、日焼け肌と白い肌のコントラストが魅力の従姉ヒロインとのラブラブハードHな短編「家出イトコ」と、最初と最後の対比が素晴らしくストーリーテラーとしての魅力も示した短編「月蛍抄」がお気に入り。お勧め!