MySisterInLow.jpg 水薙竜先生の『ウィッチクラフトワーク』第8巻(講談社)を読みました。火々里さんの多華宮君への愛情が重過ぎるというか、今回明らかになったアレ、法的に大丈夫なのか怪しくなるレベルのですが、色々と大丈夫なんでしょうか???
新登場の栞ママンも悪い人ではないんでしょうが、これまた一途と言えば一途なんですが、愛が重いトンデモキャラクターでしたなぁ。

  さて本日は、楓牙先生の『俺の義姉さん』(ティーアイネット)の遅延気味へたレビューです。なお、先生の前単行本『兄と妹の事情』(同社刊)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
“家族”をテーマにした恋愛ドラマと健康的な肉感ボディとの心の通う恋愛セックスが描かれた1冊となっています。

MySisterInLow1.jpg  収録作は、嫁ぎ先の家族から奴隷の様に扱われ、実家にも帰ることのできない状態ながら頑張っている兄嫁は、ある事情でヒキコモリになっている主人公と子供を作る様に家族から命じられて~な中編「幸せな時間」全4話(←参照 実はものすごく出来た女性です 同中編第1話より)+描き下ろしエピローグ3P、祖父からの莫大な遺産を相続したと信じられ両親からも不信に思われる従妹と同棲生活を始めることになり~な中編「だいすきな人」全4話。
描き下ろし部分を除き、1話当りのページ数は24~34P(平均30P弱)と標準を上回る水準で安定。ストーリーとしての読み応えをしっかり有する作風であり、お話優先の作りでもありますが、エロも標準並みのボリュームを用意して、バランスのよい作品構築になっています。

【“家族”の破綻の苦しみとそこからの“家族”の再生】
  エロ漫画ジャンル屈指のストーリーテラーが今回お届けするのは、共に“家族の在り方”を重要なテーマに据える作品であり、中編「だいすきな人」は主人公の性格もあって比較的明るく穏やかな作風、中編「幸せな時間」は事態の重さもあってよりシリアスで重い作風となっています。
  両作品ともに、祖父からの遺産を主人公またはヒロインが引き継いでいること、それを狙う“家族”達の悪行故に狂ってしまった関係性が共通しており、それ故に生じる孤独と後悔が主人公とヒロインを苛んでいます
中編「幸せな時間」における、健気で優しいお姉さんヒロインへの非道な扱いや、中編「だいすきな人」における歪んでしまった親子の信頼関係など、欲望のために悪行が跋扈する家族関係は重苦しさを生んでいますが、むしろそこからの新たな家族の再生と救済こそがストーリーにおける核と言えるでしょう。
MySisterInLow2.jpg  悪意が生み出す苦しみの中で自らの善良さを失わず、後悔や自責の念に囚われることなく、信じる人と寄り添い合い(←参照 ただ傍に居るだけで 中編「幸せな時間」第3話より)、“遺産”に象徴される故人の思い出や意志を引き継ぎ、そして自らが幸福な家族を形成していくことで主人公たちが救済されるという描き方は、純粋な信仰にも似た清らかさと力強さを備えていると評し得るでしょう。ドラマチックな逆転劇が待ち受ける短編「だいすきな人」と、主人公がヒロインを解き放つために罪科を背負う短編「幸せな時間」とでは読後感はやや異なりますが、共に心温まるハッピーエンドへ至ることは共通しています。
テーマ性の重厚さに比して、淡々とした筆致でストーリーを紡ぎ出していくのがこの作家さんの大きな特徴であり、それ故に登場人物の悪徳も善徳も、一種の普遍性を以て自然かつ饒舌に語り出されているのも特筆すべき美点。
  ストーリーとしての起承転結、ラストのカタルシス、そして会話劇を通しての登場人物の魅力的な描き方と、高い作劇力によって生み出されるストーリーには十二分な読み応えを有していると評し得ます。

【飾らない魅力が素敵なヒロインと主人公】
  主人公の従妹である芯の強いしっかり者であるミドル~ハイティーン級の妹キャラクターである中編「だいすきな人」と、20代半ばくらいと思われる優しく頑張り屋の兄嫁(義姉)が登場する中編「幸せな時間」とで、ハイローミックス(誤用)なヒロイン2名が登場。
なお、中編「だいすきな人」では(合法であることもあって)近親愛に関する背徳感や禁忌感は弱く、明確に愛し合う同士の物語として描かれていますし、中編「幸せな時間」でもヒロインの夫は彼女に愛情を全く注がず搾取することしか考えていないので、寝取り/ネトラレ的なウェットさはほぼありません
  家族から冷たく扱われながら主人公と共に歩み出そうとする中編「だいすきな人」の従妹ちゃん、他者に苦しめなられ、自己評価が低いながら前向きな努力家で、献身的な慈しみを失わない男性にとって理想的なお嫁さんキャラクターである中編「幸せな時間」の兄嫁さんは共に魅力的なヒロイン。
主人公キャラクターは、お馬鹿で変態ながらも明るく優しい中編「だいすきな人」と、家族を失った悲しみと今度こそ大切な人を守ろうと勇気を振り絞る中編「幸せな時間」で人物像は異なりますが、共に存在感と魅力のあるキャラクターであり、彼らとヒロインが共に救済されていく流れがシナリオの誠実さを生み出しています。
ad22fa21.jpg ロリっぽい可愛らしさのある従妹ヒロインと、成熟した色香の兄嫁ヒロインではキャラデザが明瞭に異なりますが、共に健康的な肉付きの柔らかボディであることは共通しており、適度な弾力感のたわわな球形おっぱいと、肉付きの良いお尻、締まったウェストに黒い茂みが生える股間といった体パーツを備えています(←参照 ある程度ロリっぽさのある美少女 中編「だいすきな人」第1話より)。
  十分なキャリアを持つ作家さんであり、繊細な心情描写をシンプルでありながら味わい深さのある描写で紡ぐことや、キャラクターにふんわりと上品な可愛らしさや色気があることなどが大きな武器。派手なキャッチーネスや濃厚な煽情性、ポップな萌え要素などとは無縁ですが、表紙絵のカラー絵と中身のモノクロ絵の雰囲気はよく共通しており、勿論、単行本を通して絵柄は安定しています。

【適度な熱量と上品なエロスに包まれた和姦エロ】
  明確にストーリー重視のスタイルであり、男女のドラマを紡ぐことに十分なページ数を割くため、相対的にエロシーンの割合は低く抑えられていますが、ページ数が多めなこともあって、コンビニ誌作品程度の濡れ場の分量は確保されています。
ストーリー展開は重くなることこそあれ、主人公とヒロインの性行為は互いの恋愛感情や慈愛の心、信頼関係としての行為として描かれており、ストーリーの進展にも大きな役割を果たしている和姦シチュエーションで統一。
  お互いにエッチに励んでいる内に変態主人公がアナルセックスにも突入したり(中編「たいせつな人」)、野外での羞恥系セックスに発展したり(中編「幸せな時間」)と、多少アブノーマルなプレイ・シチュエーションが絡むこともありますが、あくまで味付けの変化を付ける程度のものでしょう。
また、“子作りセックス”という要素が両作品に共通しており、それに関してエロ台詞の語り回しも特徴になっていますが、それは“孕ませ”的な攻撃的なエロの味付けではなく、子供を為すということ自体の意味がストーリーの中で家族の新生という点において重要な意味を持っていることにポイントがあります。
MySisterInLow4.jpg  ヒロインの健康的なエロボディと、羞恥と快楽に色っぽく染まる官能の表情を中核としたエロ作画であり(←参照 中編「幸せな時間」第4話より)、エロ演出においては量的・質的に抑制を効かせたタイプ。結合部の明確な見せつけ構図などで、視覚的なアタックを確保していますが、即効性のある演出で攻めるよりも心身の重なりによる充足感を重んじたエロ描写と言えるでしょう。
前戯パートと抽挿パートにバランスよくページを割り振りつつ、フェラからの口内射精や抽挿パートでの前穴中出し→アナル中出しの組み合わせなどで複数の射精シーンを設ける複数ラウンドのエロシーンを構築しており、比較的コマの詰まったページが多いながらフィニッシュでは、1Pフルの分量で主人公の精を喜びと快感の内に膣内で受け止める痴態を描き出しています。

  ストーリーとヒロインのキャラクターの魅力的な描き方は変わらぬ美点であり、またそれらの美点がエロシーンの実用性を高めると共に、エロとストーリーの有機的な結合を可能にしていると評し得るでしょう。
個人的には、優しくて働き者な美人さんである義姉ヒロイン・花穂さんの魅力にぞっこんで、彼女と主人公が苦しみから解放される中編「幸せな時間」の方をより称賛したいと思います。