恒例となりました年最後の更新、2011年マイベスト20作発表となります。お待たせを致しました。
なお、管理人が2011年に発売された成人向け新刊単行本(発売日はアマゾン準拠、新装版・アンソロジーは除く)の中で購入・読了した作品数は287作(内、未レビュー9作)。今年発売されたエロ漫画新刊がアンソロジー本を除いて575冊(えろまんがけんきゅう(仮)さん調べ)ですので、今年も概ね半数の単行本を読んでおります。
今回のランキングに当っては、上半期ベスト10と下半期ベスト10の結果を踏まえた上で、それらで“惜しくも選外”となった作品も加えた34作品(上半期16冊・下半期18冊)をノミネートし、その中から再び選考を致しました。
毎年々々繰り返しておりますが、年間ベストに限って付けている順位は、僕の主観が強く働いたものですので、あくまで目安とお考え下さい。
また、順位の判断基準は、いつも通りに、“抜ける”“熱い”“インパクトがある”“泣ける”“笑える”“コダワリが光る”等々、様々な要素を含んだ僕にとっての“エロ漫画としての面白さ”です。

各作品の詳細なレビューはそれぞれのリンク先の個別記事、または上半期ベスト下半期ベストの短評をご参照下さい。
当記事内では、雑感やランクインの理由等を記しておきます。
前置きが長くなりましたが、今年輝いていた素晴らしい作品達を、第20位から発表です。

20位 蒟吉人『Bitch Trap』(富士美出版)
BitchTrap.jpg上半期では“惜しくも選外”の5作にも入らなかったものの、この作品の持つ90年代チックな郷愁がどうしても忘れられずにランクイン。
女性の肢体のエロティックさなどを十分な魅力としながらも、実に泥臭いコミカルさのある作風は独特で、実はエロ漫画のオールドファンにこそ進めたい1冊。
こういった作風がまだまだ商業でイケるってのは嬉しいことだと思いますね。→単行本レビュー

19位 JUN『純愛メロウ』(茜新社)
PureLoveMellow.jpg今年はやたらと勢いを感じた天魔レーベルの初単行本組の中で、特に輝いていた作家さんの一人。下半期ベストの“惜しくも選外”から復活のランクイン。
作品の構築自体は割合にスタンダードなラブコメ系ではありますが、非常にガツガツとした欲望の勢いでエロを魅せる優良抜き物件という印象があります。
それでいて、その攻撃性を包み込むラブエロ系としての甘い幸福感があり、総じてバランスに優れた1冊と感じました。→単行本レビュー

18位 石川シスケ『みだらなけもの』(ワニマガジン社)
EroticBeasts.jpgここのところ、以前ほど熱心に快楽天本誌を読まなくなってきてしまったのですが、改めてこの雑誌の持っている独特な魅力を感じさせる1冊。
初単行本故に、固まっていない部分はあるのですが、何処かすっトボケていたり、気だるい感じがしたりと、うるさくない程度のサブカル臭が漂うのが面白いです。
視覚的にも黒ベタが妖艶さを醸し出していて、白黒絵の魅力が際立っているのも特長でしょう。→単行本レビュー

17位 内々けやき『発情楽園』(ワニマガジン社)
EstralParadise.jpg『ハッピーノーリターン』(コアマガジン)とどちらを選ぶか悩んだ末に下半期ベスト“惜しくも選外”から復活ランクイン。
作風の引き出しが多く、青春ラブの叙情性からダーク系の切れ味の鋭さまで、いずれも読み手に鮮烈な印象を与える魅力も両単行本で共通。
ただ、作風が様々でありながらも性愛のもたらすものの大きさという点でこちらの方がまとまりが良かったなと思って選出。→単行本レビュー

16位 MARUTA『アマノジャクが恋をして』(富士美出版)
ContraryLove.jpg前単行本が2009年ベストで第3位であったのに比して順位をかなり下げたものの、基本的な魅力は変わりません。
今回の中編作の話の座りがちょっと悪かったかなぁとは感じるのですが、そこらのいい意味での“曖昧さ”も作劇の魅力の一つである分、なかなか判断には悩みました。
とは言え、お姉ちゃん系ヒロインの魅力がグッと高まったのは今回の大きな収穫かなとも感じております。→単行本レビュー

15位 夏庵『オトメドリ』(コアマガジン)
RobbedVirgins.jpg上半期ベスト10から順当にランキング入り。1冊目ではやや抑え気味であった寝取られエロの強烈さをむき出しにしてきたのは見事。
メガストア系列でやったことにこそ意味がある作劇であるとも言え、序盤のオードソックスなラブコメ模様から猛烈に話を切りかえしてくる鋭さはそれ故の輝きを持っています。
寝取られが苦手な方には完璧な毒薬ですが、その凄みに痺れましたねぇ。→単行本レビュー

14位 宮内由香『青の時代』(茜新社)
BluePeriod.jpg作家の強烈な個性で魅せる作品群とスタンダードなハッピーロリータが入り混じるLO系列において、前者に属しつつも両方の魅力を抑えているとも言うべき1冊。
個々の作品単体でしっかり魅せながらも、描き下ろしの後日談掌編を多数付け加えてくれたサービス精神も特長で、それぞれの作品の魅力を伸長させる構成であったと言えます。
前単行本から結構間が空きましたが、その間に高まった期待に十二分に応えてくれたのが嬉しいところ。→単行本レビュー

13位 灯ひでかず『よりどりEcstasy!!』(茜新社)
VariousEcstasy.jpg初単行本であるため、やや過大評価かなとも思う部分はありますが、同時に今後への期待感の強さもあってこの順位に。
非常に完成度の高い作画・作劇でありながら、初単行本らしい勢いを感じさせており、まずもってオーソドックス依存に陥ることはないであろうと感じさせます。
エロくて楽しくてそれでいてユニークと、基本的な魅力にしっかり忠実という印象があります。→単行本レビュー

12位 松本ドリル研究所『まマまま!』(コアマガジン)
MaMaMaMa.jpg楽しいキャラを多数配置してドタバタ劇を繰り広げ、むっちり美女・美少女が汁ダクでめろめろハードファックというこれで売れなきゃ嘘だろ的著者成人向け2冊目。
刊行までえらく時間のかかったものの、その特濃感が単行本化されることでより高まった印象です。
世界観の面白さやキャラの多さから、無理に1冊にまとめなくても・・・と思いましたが、例え放り投げジャーマンでも魅力になってしまう部類かなと。→単行本レビュー

11位 青木幹治『Only You』(コアマガジン)
OnlyYou.jpg2009年度ランキングでは17位だった初単行本から順調にランクアップしてこの順位。
絵柄がより洗練され、抜きの強度も高めた上で、キャッチーでありつつユニークなキャラクター造形の質が大きく高まってきたことを高く評価したいです。
短編「やりたい季節 新緑のさかり」の陽菜ちゃんの恋の喜びを表現する台詞は2011年エロ漫画界屈指の名台詞。→単行本レビュー

10位 SASAYUKi『魔法少女イスカ~after school~』(キルタイムコミュニケーション)
MagicalGirlIsuka.jpg最近のキルタイムは、短編中心での触手凌辱エロというイメージからの脱却が著しく、かなり多様な方向性が示されていますが、この作品は従来の方向性に近似。
しかしながら、原作脚本の支援を受けることで、闘争劇として熱いドラマ性と魅力的なキャラクターを備え、かつ作画がそれらを十全に生かし切った作品と言えます。
いわゆる“即堕ち”が特徴となるジャンルながら、メインヒロイン・イスカの圧倒的な強さをラストまで温存したのも巧いところ。→単行本レビュー

9位 無有利安『お兄ちゃんとにゃん❤にゃん❤にゃん❤』(茜新社)

NyanNyanWithBro.jpg意外な順位と思われるかもしれませんし、僕自身もそうなのですが、まさか無有利安先生の作品でほろりとさせられる日がこようとは・・・。
ヒトの心を癒す甘く優しいファンタジーが、読み手にとってだけでなく、小さな胸に悲しみや寂しさを抱える登場人物達をも救う慈愛こそが、激甘テイストに隠された魅力でしょう。
ぷにぷにしておりながら、何処か儚げでもある女の達がトロトロに蕩ける様は真に眼福。→単行本レビュー

8位 柚木N’『姉❤コントロール』(ティーアイネット)
SisterControl.jpg初単行本からいかなりレベルの高い作家さんは今では珍しくないですが、この作家さんはむしろ高い成長力でのし上がってきたタイプの人。
催眠凌辱エロとして非常にスリリングで背徳感あふれる構成を為したことを評価しての順位でもありますし、作劇の引き出しが豊かになったことを示しているのも評価の一因。
デビュー時にはやや粗かった描線・デッサンが端正に整理されており、一般進出もなるほどと頷けるものがあります。→単行本レビュー

7位 新堂エル『TSF物語』(ティーアイネット)
TSFStory.jpg昨年度16位から大幅ランクアップな著者2冊目。コミックMujinの誌風の変化を物語る代表的な作家の一人でもあります。
本来なら悲愴感があってしかるべき、肉便器への堕ちモノ展開を、快楽を貪欲に求める主人公の揺るぎない“意志”に委任することで、頼もしさにまで昇華したのはユニーク。
ストレートな過激性を追求しながら、技巧も光るエロ作画、うねる様な勢いのあるエロ演出は見事。→単行本レビュー

6位 天太郎『flower』(コアマガジン)
Flower.jpg今年も数多くの素晴らしい巨乳エロ漫画がありましたが、そのジャンルの中で2011年マイベストの1冊。
少女漫画チックなテイストを好んで投入し、感情の明暗の機微を描き込むスタイルは、好みを多少分けるかもしれませんが、定番ラブコメに安住しない意欲を感じさせます。
弾力溢れるゴム鞠巨乳好きの未来は、この作家さんが成人向けに居てくれる限り安泰であると言えましょう。→単行本レビュー

5位 岡田コウ『好きで好きで、すきで』(ヒット出版社)
AsILoveYou.jpg昨年2位からややダウンの著者3冊目。とは言え、その魅力が衰えた話ではなく、静謐ななかにひりつく緊張感のあるシナリオと陶酔感の凶悪なエロの魅力は健在。
基本的な作風を大きく変化させない一方、大ボリュームに挑戦したりキャラ描写に工夫をしたりと、著者なりの真摯な模索が伺えるのが最近のこの作家さんという印象があります。
“勝負の3冊目”で十二分に個性を確立させた上で、今後何を変化させ、何を維持するのか、非常に楽しみにしています。→単行本レビュー

4位 エレクトさわる『PANDRAⅡ』(キルタイムコミュニケーション)
PandraSecond.jpg2巻構成で魅せた長編作は、1巻(昨年度11位)と2巻それぞれストーリー展開の意図が明確であり、様々な面での切り返しにインパクトのあった作品。
正と邪を単純に割り切ること無く、その中で各キャラクターの持つ強い意志が作品に熱っぽいドラマ性を持たせていたのは、キルタイム系ファンタジーエロに重要な足跡を残すものでしょう。
しかも、体感的なボリュームが圧倒的である濃密エロが味わえるのですから文句なし。→単行本レビュー

3位 オイスター『ワタシキレイ?』(一水社)
ShoneMe.jpg毎年ランキング上位の一角を占めていますが、それもそのはず、作風が全く揺るがないのに慟哭の様なテーマ性の凄みが常に鮮烈なのです。
ストーリーの結末は、昨年度3位の『人デ無シ乃宴』(同社刊)のそれとある意味では対となるものであり、そのどちらもこれまでの作品の集大成的な要素があります。
悲愴感をこれでもかと充填しつつ、読み手の脳髄を痺れさせるエロのアタックの凶悪さもまた揺るがぬ魅力。→単行本レビュー

2位 霧恵マサノブ『魔法少女まじかるゆかたん』(ジーウォーク)
MagicalYuHuka.jpgロジカル、テクニカル、クレバーという形容詞が作品構築に当てはまりながら、それらの評に付き物でもある小賢しさを全く感じさせない激情的な生と性の咆哮は筆舌に尽くしがたい魅力。
つながっていく人と人、人と人ならぬ者、その間にある“他者”を求める業がこれまた激情的なセックス描写を形成しており、過激でありながらある種の清冽ささえ感じさせます。
著者の『海』シリーズ(最終巻は2008年度1位)ともリンクがある広大な世界観から次はどんな物語が紡がれるのでしょうか。期待しています。→単行本レビュー

1位 赤月みゅうと『少女×少女×少女』(ティーアイネット)
GirlGirlGirl.jpgその傑出した才能を以て昨年度19位から本年1位に跳躍。少女の息遣いさえ感じさせるような静けさの中に体温を感じさせる表現力の高さ、常に2P見開きを意識するダイナミックなコマ使いは、純粋に漫画表現として見事。
爛れた退廃も、孤独の悲しみも、欲望の代償も込めながらも、それを超越する生と性の喜びが上質なファンタジーとして立ち上がり、少女達に祝福を与えるラストには静かな感動が溢れます。
じっくり読ませるし、がっつり抜かせる。その“エロ”と“漫画”を共に高いレベルで協調させた手腕と、作品から迸る作家さんの情熱は激賞に値すると、一人のエロ漫画レビュワーとして確信しております。→単行本レビュー

と、以上のような順位になりました。1位・2位に関しては、これだ!と直ぐに決まったのですが、やはり順位付けというのは苦手で、選外からの復活作品も含めて、なかなかに悩んだ選となりました。いずれの作品の、心とち○こに訴えかけるものがあったんですよねぇ。
個々の単行本レビューも参考にして、是非チェックしてみて下さいな。読者諸氏のエロ漫画ライフのちょっとした参考になれば、へたレビュアーとしては大変な喜びです。

まずは、今年読んだ全ての作品達とその作者さん、関係する編集・出版者の皆様に心よりの感謝を。
作品に込められた様々な情熱こそが、へたレビュワーとしての僕を衝き動かしてくれているのだと常々感謝しております。

このブログや記事を紹介して下さる全てのサイト様にも厚く御礼申し上げます。これからも信頼の置けるレビューを書けますよう精進して参ります。

そして、当ブログの読者諸氏にも敬意と感謝を。皆さまそれぞれ、趣味・嗜好が異なり、世代も異なり、性別も異なるでしょう。それでも読者諸氏に共通する、エロ漫画というジャンルへの真摯な愛情と共にあり続けることを管理人は願っております。
来年も読者諸氏の期待に少しでも応えられますよう、より鋭く、より論理的に、より面白く、そしてより愛情の詰まったレビューを描けますよう、今年の年末に決意を新たにしております。

2011年は本当に色々なことがあった年でした。それ故に変わっていく表現は、今を生きる人間が生み出し、受け取る以上、勿論あるでしょう。しかしながら、変わらなくて良い物も沢山あります。
エロ漫画が良質なエンターテイメントとして我々の傍に存在してくれること、それそのものが不変であることを願っております。

2012年も素敵な作品に沢山出会えることと、エロ漫画を愛する全ての人に幸せな一年であることを祈りまして
一エロ漫画愛好家 へどばん拝