Sweethearts.jpgTVアニメ『花咲くいろは』第3話「ホビロン」を観ました。一体なんのこっちゃと思ったサブタイトルですが、観れば一応納得でございました。変に律義なツンデレ?民子さん可愛いよ民子さん。
緒花ちゃんの緊縛シーン(ただし不完全)には大層胸が熱くなりましたので、次回は菜子さんを是非にッ!次郎丸先生もなんだかんだで長逗留になりそうですしね。

さて本日は、如月群真先生の『Sweethearts』(コアマガジン)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『舞FAVORITE』(同社刊)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
ご都合主義フルスロットルで爆走する棚ボタ式学園エロががっつりと味わえる1冊となっています。

Sweethearts1.jpg収録作は、特殊な性教育の一環と言われ、学園のアイドル二人とのセックスを出来ることになった主人公の流されっぷりを描くタイトル中編「Sweethearts」全4話(←参照 同中編第1話より)+描き下ろしの番外編10P、運動部と文化部が予算獲得のために鎬を削るミスコンにおいて候補者達が票獲得の為にエロ賄賂な連作「ミスコン狂想曲」前後編、および読み切り短編3作。
上述した描き下ろしの番外編を除き、1話・作当りのページ数は16~26P(平均23P強)と十分なボリューム。語り回しが多いために、意外にシナリオ的な読み応えもありつつ、基本的にはエロの量的飽和感で満足を生むタイプの1冊と言えましょう。

【良くも悪くもいつもの如月シナリオ】
この作家さんのシナリオワークについてとやかく論じるのは野暮であると重々承知はしていますが、今単行本においてもエロ漫画的ご都合主義を大量に投入した作風を堅持しつつ、今回はボーイ・ミーツ・ガールな学園モノで統一。
良くも悪くもコメディに逃げず、自身の恋愛感情と若い性欲に戸惑いを持ちながらも前向きに進もうとする姿を真摯に描いている分、ご都合主義感の悪い面が目立ちやすいのは初単行本以来、不変の悪癖とも言えるでしょう。
性教育の一環という名目が与えられることによって校内全男子が羨望する2大マドンナ(死語)を一人占めという、実にウハウハな設定で開始される中編作は、実習という名分と恋愛関係という実の間で葛藤する主人公を描いているものの、他のカップルが実習そっちのけで恋愛関係になっているため、シナリオ展開に不自然さを覚えるサブキャラ配置になっていたのは△。
Sweethearts2.jpgまた、中編作中でも言及されている通り、主人公の主人公の優柔不断さがシナリオのテンポの悪さに拍車をかけているのですが、その分ヒロインの積極性が引き出され、“棚から牡丹餅”が最初から最後まで徹底されているというのは、むしろ潔いとも感じます(←参照 安心の両手に花エンドへ 同中編最終第4話より)。
恋人にはなれないがセックスフレンドの境遇に主人公が納得してしまう短編「好奇心が止まらない」のラストが示す通り、基本的に野郎連中はヒロインの痴態を引き出すための装置以上の役割を担っておらず、その存在感の無さ故にヒロイン達の好意が読者によりダイレクトに伝わり易い感覚があるのも面白い点でしょう。
辛辣なことを言ってしまえば、シナリオ面で特に注目すべき点はないと個人的には思うのですが、ストーリーの介在すら拒絶した上でセックスの全能性が肯定されるという、一種不条理でさえある桃源郷を形成する術は流石の一言であって、実用性という側面に特化した中で、洗練さを保ちつつ、大胆に“何か”を切り捨てたスタイルと評したい所存。

【瑞々しい肢体の健康的な色香】
短編「DOKIDOKI交際チェッカー」では20代半ばと思しき、心優しき女性教諭が登場していますが、学園モノということもあってその他の作品では登場ヒロインは女子高生さんで固定。
短編作では一人ヒロイン制を選択していますが、連作や中編作など続きモノの形式においては多人数ヒロイン制を取ることに長けた作家さんであり、多彩なタイプの美少女達がそれぞれの痴態を見せ付けてくれると言うエロのゴージャス感を生み出しています。
上述した通り、シナリオが弱いためにヒロインのキャラクター性をあまり掘り下げることはなく、また漫画チックな喜怒哀楽の表現といったことも行わないため、ヒロイン陣のキャラとしての個性は弱いのですが、そこは元気なロリっ子に無邪気なお嬢様、妄想ジャンキーな委員長等、造形面と密接に関連する分かりいい属性を付加することで単調さを回避。
Sweethearts3.jpg中編作に1名貧乳娘がサブキャラとして登場しますが、その他のヒロインは適度なサイズの巨乳、程良く締まりつつ柔らかさのある桃尻、比較的等身高めでしなやかな体幹を備えるボディデザインで統一(←参照 着衣セックスの比率がかなり高いのも特徴 中編「Sweethearts」第4話より)。
艶やかな黒髪や、比較的写実寄りでコテコテのアニメ色が薄い表情作りなどがヒロインの肢体に健康的な瑞々しさを生み出しているのが、この作家さんの肢体表現の強い武器であり、エロシーンも含めて女体のしなやかさを生かすポージングがしっかりとキマっているのは見事。
4冊目ということもあって、絵柄は単行本通して安定。アニメ/エロゲー/漫画的な絵柄の中では、一種異色の絵柄であり必ずしも現代的なキャッチーネスとは一致しないのですが、肢体の瑞々しさが生む健康的な色香と、直接的なセックスアピールを両立できる稀有な絵柄でもあるでしょう。

【派手ではないが実に的確なエロ作画・演出】
如月群真作品においては、セックスはその非日常性を喪失している(もしくは、してゆく)事象であって、作中の諸所でひたすら連発されていくエロシーンの設け方は、良く言えば飽和感が強く、悪く言えばやや締まりのない印象。
これは、多人数ヒロイン制の作品において特によく目立つのですが、シチュエーションやヒロインを比較的短めの尺で次々と入れ替えていくスタイルによって端的に示されており、個々のシーンの濃密さやよりも、作品1話・1本単位でのエロの濃さを生み出すと言うかなり特殊な形式です。
Sweethearts4.jpg描き文字をほとんど使用せずに小さく目立たないフォントでエロ台詞を描写したり、構図において結合部描写をあまり重視しないスタイルは、上述した女体そのものの圧倒的な官能性を活かすスタイルと密接に関連しており(←参照 短編「好奇心が止まらない」より)、躍動感をある程度殺しながらもヒロインの肢体の身じろぎにエロティックさを感じさせるような描き方も◎。
また、アヘ顔や断面図といった演出もほとんど用いませんが、ヒロインの羞恥と陶酔を地味ながらも細やかに描きだす表情付けは小さくない長所であり、美少女達の整合性の取れた美しさを減衰させずに、官能性を積み上げていける能力も高く評価したい点。
上述した様なエロ展開であるため、射精シーンは多数設けられていますが、場合によってはそこまでのタメが少ないことには要留意。また、ぶっかけ・中出し混交型ではありますが、ヒロイン達の絶頂をある程度の強度を以て描きつつ、液汁描写に量を期待できるスタイルではありません。
エロシーンの実用性を高める上において、台詞回しや性器描写等でアタックの強いエロ演出を大量に持ち込んでくるスタイルを機関銃の連射に例えるならば、決して派手でも強烈でもないながら、的確かつ穏やかに煩悩へのクリティカルヒットを重ねてくるスタイルは、ボルトアクションライフルでの狙い撃ちといった例えが相応しいかと思います。

マンネリを感じないわけではないですが、ご都合主義のパワフルさ、そして意外に大人しい絵面ながらもかなりハイカロリーであるエロを、あまり意識させることなく読み手に飲み込ませることで、その脳髄を麻痺させるスタイルは凄まじいことであり、一種の職人芸によってのみ可能となることでしょう。
管理人も毎度シナリオ面にはあーだこーだ胡乱なことを言ってますが、今単行本においても中編作と連作「ミスコン狂想曲」の多人数Hにマイサンを大層酷使させて頂きました。