AsPornoGraphics.jpgツジトモ先生(原案:綱本将也氏)の『GIANT KILLING』第18巻(講談社)を読みました。アジアカップで盛り上がっている時にサッカー漫画を読むってのもなかなかオツなものですな(笑
雨の中の荒試合で守護神ドリさんが負傷退場ですが、椿の更なる覚醒につながるか否か!での見事な引きで終わります。あと全く余談ですが、クリーニング屋のお客のおばちゃん、GJ!

さて本日は、鬼束直先生の『ポルノグラフィティ』(茜新社)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『Lovable』(同社刊)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
様々な趣向への試行が認められる作劇と艶めかしいロリボディが光る良質な作劇で魅せる意欲的な4冊目となっています。

879b3c16.jpg収録作は、互いに求め合う同じ誕生年月日・同じ名前の二人の少女がある目的を持ってそれぞれに男性とセックスをする連作「Papiliones」前後編(←参照 連作後編「Papiliones~Fragment~」より)、従兄妹同士の嬉し恥ずかし初エッチな短編「好きになったらいいじゃない」+描き下ろし後日談短編、および短編6作+まいどお馴染み知花ちゃん大暴れな短編「人は愛のみで生きるものでもないわけで・・・」。
描き下ろしの後日談短編を除き、1作当りのページ数は14~26P(平均20P弱)と幅はありつつ標準的な部類。作中のストーリー展開にそこまで重さはないものの、ハッピー系からビター系まで読後の余韻が強い作品群が目立ち、エロも含めて読後の満足感はしっかりとあります。

【作品間での雰囲気の落差があるも粒揃いな作品群】
既刊の作風では、甘く穏やかな叙情性とふわっと軽やかな読書感を特長とするハッピーロリータ系が中核であり、“ロリならコレで、いいんじゃね?”という胡散臭い訴求文もあながち間違いではない、訴求層の広さを誇るスタイルを着実に積み重ねてきました。
勿論従兄妹同士がふとした会話の流れからラブラブチュッチュッと結ばれる短編「好きになったらいいじゃない」を初めとする甘ロリ系にも存在感がありますが、今単行本では作劇面に関してかなり試行錯誤を窺わせる新たなスタイルが目立ちます。
AsPornoGraphics2.jpgロリっ子達の棚ボタ誘惑Hと見せかけて少女達の絆を形作る不思議な“儀式”をほのかな耽美を込めて描き出す連作「Papiliones」、義父からの性的虐待と母親からのネグレクトに苦しむ少女が救いと地獄の合間で一瞬心が揺れ動く様が印象的な短編「ドライアウト」(←参照 哀しい“嘘”)、その短編と同一ヒロインと読むことも出来る短編「Scar tissue」の鋭く重い“オチ”などは、その挑戦的なスタイルを如実に示すものでしょう。
また、男性の名前を“○○君”と伏せ、主観構図によって男性の体の存在を徹底的に除外する作画を示す短編「girl's collection」、共にロリっ娘とのアブノーマルエッチのお楽しみを片やあっけらかんと淡々と片やゾクゾクする程倒錯的に描く短編「Fiction S」「アイワナビーPrincess'sPet」などは、エロの魅せ方の面で新規性を示す作品群。
男性(義父)が一方的に性欲を“処理”するだけで、少女側は必死に黙して快楽を否定するセックス描写である短編「ドライアウト」や、単純な快楽欲求ではなくその裏に“真意”があることをラストで明かす連作や短編「Scar tissue」などは、性の快楽への肯定とはある意味で逆の方向へ向かう趣向であるため、実用性の脇を固めるシナリオとしては難がありますが、無論、読後の余韻を含めた読みの面白さを形成する要因でもありましょう。
新たな方向性への意欲がしっかり出た最新刊ですが、決して“語り”が前面に出過ぎることなく、明暗双方を含めて表層のさらっとした肌触りを失わないのは◎。これまでのキャリアに対する自信に基づいた“挑戦”だなと個人的には感じています。

【ロリ的なキュートネスと性的な存在としての色香】
ヒロイン陣は無論ロリータ少女縛りであり、年齢層的には小○校高学年~中○生のローティーン級で統一されています。
いかにも甘ロリ的な小動物系ガールを登場させる短編「girl's collection」は、上述の作画面と組み合わされることで、男性にとっての至福の空間を形成していますが、これは敢えての造形という色彩が強く、今単行本では割合と“普通”の性格設定のヒロインが多め。
いわゆる“地味っ子”というカテゴライズも可能でしょうが、“普通”に思える彼女達の心中に存在する淡い恋心や幻想への恋慕、灼熱の憎悪に爛漫たる性への好奇をさらりと香らせてくる心情描写の巧さは特筆すべきでしょう。
等身を含めた肢体全体のバランスや肉付きの施し方は比較的写実的であり、顔の造作に相応の萌えっぽさを含めたトータルでのバランスの良さは良好。
AsPornoGraphics3.jpgぺたんこな胸や華奢な手足等を含め、ロリとしての記号的要素をしっかりと押さえつつも、鮮烈なコケットリィが放たれるキャラ描写を多数配置し、“可愛いらしい無垢な少女”の幻想を求める読み手をハッとさせてくるのは実に憎らしいところです(←参照 ロリ的キュートネスと女性の色香のバランス 連作前編「Papiliones」より)。
なお、好き嫌いは分かれるでしょうが、短編「close to you」に投入された糸目少女は、エロ漫画ジャンルではかなり珍しい造形であり、その言動で可愛らしさが強調されている分、結構印象に残るキャラクターでありました。

【快楽に対する緊張と弛緩を交錯させるエロ作画・演出の妙】
上述した通り、作劇の方向性的にやや抜きへの供し難さのある作品も存在しますが、標準並みの分量で用意されたエロシーンの密度は高くアベレージとしては上等な抜きツールとしても機能しています。
ちょい天然気味なニコニコ娘が緊縛羞恥系のプレイにすっかりハマってエンジョイな日々を描く短編「Fiction S」や、年下の少女に傅いてご奉仕致すやや被虐的なプレイが描かれる短編「アイワナビーPrincess'sPet」など、特殊性癖が絡む作品もありますが、基本的には前穴一点主義なのでエロのバラエティを求める方にはやや不向き。
とは言え、性描写の質は十二分に高く、例えば恋愛セックスに関してはヒロインの痴態をたっぷりと見せ付けながらも男女の肌の密着感を重視する画面構成を取るなど、エロの趣向に合わせた作画・演出が的確に為されているのは正しくプロのお仕事。
AsPornoGraphics4.jpg特に、行為の進展に伴ってヒロインの心身が快楽に蕩けていく描写に長けており、涙と涎に覆われた表情の緊張と弛緩の揺れ動きや、汗や体液によって次第にシズル感を増していくロリータボディの描写などは、この作家さんの小技の巧さを物語る部分でもあります(←参照 短編「Scar tissue」より)。
フェラ等の女性側の“サービス”よりも、少女達の肢体への丁寧な愛撫を中核とする前戯パートを備えるため、多回戦仕様を期待するのは避けるべきですが、じっくりとした組み立てを誇るエロ展開のフィニッシュは欲望の解放点として相応に強力。ただし、外出しやゴム付きフィニッシュも散見されるので、二次元ロリっ娘の中に生で出したいという諸兄は要留意。
強いて弱点を挙げるならば、乳首や女性器といった粘膜描写の弱さがあり、結合部見せ付け構図としての煽情性を減じていることに加え、特に断面図・透過図に関しては使用する場面に見合うインパクトを備えていないのは勿体ないところ。とは言え、直接的な性器表現をそこまで武器とする作風でもないため、気にならない読者の方が多いのではとも思います。

評者としては非常に“面白い”と感じる1冊であり、この作家さんの今後の方向性を考える上では相当重要な位置づけになる最新刊だなと思います。“一般受け”とはやや異なる方向ではありますが、実力さえあれば、それが許されるのがLOという雑誌でしょう。
個人的には、糸目ちゃんが実に可愛らしい短編「close to you」と、何とも言えぬビターな余韻が胸にひりつく短編「ドライアウト」が特にお気に入りでございます。