Distorted.jpg水沢悦子先生(原作:久住昌之氏)の『花のズボラ飯』第2巻(秋田書店)を読みました。花さんがご飯食べた時の官能的な表情が今回抑え気味なのはちと残念ですが、相変わらずご飯を食べる表情が幸せそうで何よりですな。お腹の減る漫画です(笑
また、花とみずきの友情のエピソードも、相変わらずの旦那さんとのラブラブっぷりもご飯のシーンと併せて読んでほっこりと出来る作品ですよねぇ。

 さて本日は、由浦カズヤ先生の初単行本『イビツナ』(ワニマガジン社)のへたレビューです。華漫で作品を読んで以来、かなり気になっていたので楽しみにしていた1冊でございます。
危うく淫靡な香りを濃厚に漂わせるシナリオワークの中で熱気が満ちる陶酔のセックス描写を描き出す作品集となっています。

 収録作はいずれも読み切り形式の短編10作。1作当りのページ数は18~24P(平均21P強)とコンビニ誌初出としてはボリューム感の強い水準にあります。
加えて、じっくりと濃密に展開させるシナリオワークの読み応えと、そこからの後方支援を的確に受けるエロの濃厚さとがあり、ページ数以上の満腹感のある作品群となっています。

【変容していく関係性の中で揺れ動く感情描写の妙】
 青春ラブコメディといったコンビニ誌的にオーソドックスなタイプの作品もあり、それらの作品では思春期ラブのドキドキ感やコメディとしての快活さを重視しており、“ベタさ”を順守しつつも程良い爽やかさや甘さでしっかり魅せるタイプ。
 とは言え、単行本タイトルが作風の傾向を如実に物語っており、寝取られ/寝取り系の作品を中心に登場人物達が背徳的な快楽の虜になっていく作品が過半数を占めています。
69d5d791.jpg性的な遊戯を重ねていた幼馴染のお姉さんがいつの間にか彼氏を作っていることが判明し、その性行為を目の当たりにすることになる短編「コイビトごっこ」(←参照 大好きなゆき姉が別の男に)、偶然互いの交際相手との性行為を露出セックスで見せ付け合うことになった兄妹がそれぞれの本当の“欲望”に気付く短編「My妹クライシス」など、既存の幸福な関係性を棄却してまで歪な性愛関係へのめり込んでいく切迫感や衝動性の描き方は実に見事。
古い男友達への友情に付け込まれて不倫セックスの快楽に蹂躙される人妻さんが、誠実な夫を裏切り続けることになる後悔と自責の念で涙する短編「フレンズ」が示す様に、この“変容”は必ずしも幸福なものでなく、時に辛さや痛み、そして歪みを内包するものであるため、読後にじわじわと苦い余韻を沁み込ませてくれる作品も目立ちます
 天真爛漫な従妹への愛情が終に一線を越えてしまう短編「スリーピングキューティ」の様に、ラブエロ系の作品においてもここらの欲望への抗し難さと、そこへの躊躇というアンビバレンツな感情の描き出し方をしており、題材そのものはシンプルであっても魅せ方が単調でないのは明暗の作劇双方に共通しています。
 ダーク&インモラル系の作品では相応の重苦しさがあり、特に序盤でお気楽ラブコメテイストを匂わせつつ淫靡な寝取られ系に鋭く切り返すといったタイプもあるため、読み手を多少選ぶのは確かですが、作品の方向性に関わらず人物描写の細かさで魅せる技巧派と評したいところ。

【スレンダー美少女から肉感ボディの人妻さんまで】
 女子高生級と思しき女の子も投入しつつ、雑誌のレギュレーションの問題もあって20歳前後~20代半ばの女子大生さんをメインとしつつそこに人妻ヒロインを加える陣容。もっとも、女子大生という設定でも幼げな可愛らしさのある美少女といった描かれ方をされていたりするので、お姉さんタイプよりかは美少女さんタイプが中心という印象。
 純真無垢でお兄ちゃん子な妹キャラクター、優しい性格で貞淑な人妻、素直になれない幼馴染などなど、割合に定番な設定を多用しつつ、無論、それらが性愛関係を通じて如何に変容していくかという流れにキャラクター描写の肝があるため、平凡さを感じさせません。余談ですが、方言ガールが二人ほど居まして、個人的にはニッコリ。
 肢体造形に関してはかなり多彩に投入されており、流石に純正ロリボディこそありませんが、スレンダーで並乳という細めのボディから、全身柔肉に覆われた巨乳&巨尻の完熟肉感ボディまで登場。
Distorted2.jpg並乳から巨乳までサイズに振れ幅はありつつも、先端に淡い色の乳首を頂く双球の柔らかさは共通しており、またむっちりと柔肉が詰まったヒップの描写もストレートなセックスアピールの形成に貢献しています(←参照 貧乳&デカ尻美少女とか、GREAT! 短編「ボコデコ」より)。それでいて肢体全体はしなやかに描き出すことが多く、体パーツの肉感を前面に出しつつもバランスの取れた美しさもまた目立つ肢体造形と言えます。
エロシーンになると顕著ですが、汗や涎に濡れる柔肌の温度感や淫液に濡れる唇や性器といった粘膜表現、艶っぽい瞳の表情など、丹念に細かい描写を添加することで肢体のエロティシズムを倍増させているのも美点でしょう。
 初単行本ながら絵柄は安定しており、作品の題材もあって華漫・失楽天系列らしい濃さ・重さを十分に織り込んだ画風ですが、垢抜けたオサレ感やキャッチーネスもあるため、作画密度を練り上げつつ絵があまりくどくならないのは大きな特長でしょう。

【快楽の熱気と陶酔に支配される濃密なセックス描写】
 シナリオ展開に性行為がしっかり組み込まれた作品が多く、十分な分量を濡れ場に割いて快楽に染め上げられてゆくヒロイン達の痴態をご提供という実用面で嬉しい構成。
b1164507.jpg エロ展開序盤は、ヒロインの性感帯を弄ったり、肉棒を頬張らせたりといった前戯の描写に相応の尺を持たせており、ここで理性や倫理の壁を喪失したヒロイン達がすっかり蕩けた表情で行為の更なる進展を希望することでエロシーンの熱気感や陶酔感をもう一段階引き上げます(←参照 この表情! 短編「リバースプレイ」より)。
 少年少女の嬉し恥ずかし初エッチにおける幸福感を出す作品もありますが、前述した通りに毒薬としての快楽に捕らわれ、それに中毒しながら抗しきれずに激しく求めあう様子をじっくり描き出しており、解放感と同時にある種の破滅の甘美さを感じさせるケースもあります。
それらの味付けは読み手の嗜好によって好悪が分かれるかもしれませんが、淫靡に濡れ光る粘膜を怒張で激しくかき回すアグレッシブさは濡れ場の熱気とリンクしており、動きの勢いを感じさせる抽送音と愛液に飛沫を撒き散らしながら抽送シーンを進行させます。
 ある程度は結合部見せ付け構図を重視しつつ、ワニマガジン系列では悪しき名物の黒棒複数本の修正を厭ってか、露骨に股間を見せ付ける構図をあまり重視せず、腰が打ちつけられて震えるヒップや揉まれたり弾んだりで柔らかく変形するバストといった描写や、快楽の仰け反り、悶えるしなやかな肢体でこそ魅せるエロ作画という印象。
1acdef8a.jpg 抑え切れなくなった快楽にぐしゃぐしゃに蕩けるヒロインの表情は、読み手の性欲中枢や支配欲を甚く刺激する要因であり、頭の中を真っ白にして言葉にならない喘ぎ声を洩らす状態になったヒロインの膣やアナルの内側を白濁液で満たす大ゴマフィニッシュは強烈な抜き所(←参照 短編「フレンズ」より)。なお、シナリオ展開の関係で、ぶっかけフィニッシュを選択するケースもしばしばありますが、これはこれで淫猥で、抜き所としての多彩さがあるのは嬉しい点です。

 初単行本ながら、シナリオ・エロの両面で技巧をしっかりと示す作品群であり、特に寝取られ系に関する好悪で評価は分かれるでしょうが、それぞれの作風にしっかりアジャストして、読ませかつ抜かせる作品構築は高く評価したいところ。
個人的には、可愛らしい従妹ちゃん(並乳ショート・ナチュラル誘惑系・方言娘とかどんだけ!)とラブラブエッチな短編「スリーピングプリティ」と、不義の快楽にずぶずぶとハマり込んで抜けられない人妻さんの痴態が悲しくもエロい短編「フレンズ」を特に推したい所存。