
故・田中角栄氏など、実在の人物を展開に絡めているのが今シリーズの特徴と言えるでしょうか。とは言え、ぶっとんだ展開を楽しみにしたいところ。
さて本日は、doumou先生の(この名義での)初単行本『セックスのち両想い』(クロエ出版)の遅延へたレビューです。帯に“クロエのdoumou”とありますが、それだけクロエ出版さんも自身を持って推している初単行本なのだと思いますが、これば別レーベルでは他の名義があるからかもしれません。
健康的むっちむちエロボディの美少女ヒロインと織り成すちょっぴり変態でポジティブなラブ&エロが揃った1冊となっています。

1話・作当りのページ数は24~40P(平均30P弱)と書店売り誌初出としても標準を優に上回るボリューム。基本的にエロの量的満足感を追求した作品構築でありつつ、中編作を中心としてシナリオ展開で読み手を引き付ける部分もあると評し得ます。
【インモラル系からラブコメ系まで幅のある作劇】
いずれの作品でも思春期の男女の性愛を描いていることは共通していますが、作品によってその方向性は様々と言えます。
第2話では40Pを用いるなど、分量的にメインを占める中編作については、女性であることを隠していたことを責めてバッテリーの相手である美少女ピッチャーをレイプするという凌辱寄りの展開となりますが、何故彼女がそこまで主人公に対して従順であるかを明らかにしていくことで青春ラブストーリーに回帰。
ヒロインが単なるセックスの相手として弄ばれ、別の男にも凌辱されるなど重苦しい展開もありますが、主人公が過去を思い出し、自らの行いを反省・謝罪して登場人物達の間での融和が成立することでハッピーエンドに至っており、描き下ろしエピローグの爽やかなラストシーンはなかなかに白眉。

凌辱的な要素を含む中編作や、ボディペイントによる露出でお姉ちゃんを虐める短編「好き好き!お姉ちゃん」など、アブノーマルであったり嗜虐性を有したりなシチュエーションを選択する傾向にありますが、単行本タイトルに“セックスのち両想い”とある通り、それらのプレイはヒロイン側の恋愛感情故に許容されるものであるというのは一つポイントであり、行為として過激であっても最終的にハッピーエンドへと復帰できる大きな要因。
この展開はエロ漫画的なご都合主義とも評することはできますが、変態プレイでお姉ちゃんを困らせつつ姉への思慕を堂々と口にする短編「好き好き!お姉ちゃん」の主人公や、嗜虐心や嫉妬、後悔などの負の感情を抱きながらも最終的には誠実さを見せて青臭い真っ直ぐさを見せた中編作の主人公など、登場人物の行動に惰性や鬱屈さがないのは小さくない美点であり、シナリオ全体の陽性さを大きく高めていたと評したいところ。
【もっちり柔らかな巨乳ボディの美少女達】
女子高生キャラを中心としてその上下に多少の振れ幅がある年齢層という印象ですが、概ねミドル~ハイティーンと思われる美少女達で統一されたヒロイン陣。
プライドが高くて知ったかぶりをしてしまう負けず嫌いなツンデレお嬢様に、ちょっと気弱で主人公に振り回されるお姉ちゃん、ちょっぴりアホで強情張りなお兄ちゃんラブな妹キャラクターに男言葉を使うも色気が滲み出てしまう男装美少女など、比較的キャッチーでポピュラーなキャラクター属性を用いたヒロインが多いと言えます。
また、性格付けはそれぞれ異なりますが、主人公への好意は全てのヒロインに共通しており、恋心が空回りしてドタバタ模様を呈することもあれば、思いのすれ違いが苦くシリアスな展開を引き起こすこともある中で、ヒロイン達がその恋心を一途に貫き通す描き方が彼女達の魅力を高めています。

比較的オーソドックスな肢体描写と言えますが、バスト&ヒップの柔らかそうでかつ張りのある質感や、艶っぽい黒髪や唇の描写、これまたむっちりとした大陰唇とその中の粘膜のねっとりとした質感など、細部の体パーツの描写に光るものがあり、全体的な女体の官能性を的確に高めています。
絵柄は事実上は初単行本ではないこともあり単行本を通して安定しており、キャッチーなアニメ/エロゲー絵柄をベースとしつつ適度な濃度のトーンワークを重ねて華やかさ・艶っぽさを打ち出すタイプと言え、真激レーベルの中ではかなりメジャー指向の絵柄。それでいて洗練さを過度に前面に出すタイプではなく、漫画チックな素朴さも感じるので、今後、一般ジャンルからの引き抜きがかなりあるのではないかと個人的には邪推しております。
【肉感ボディが濡れて蕩けるパワフルなエロ描写】
各エピソードに十分な分量があるため、エロシーンはたっぷり長尺であると言え、また複数のエロシチュエーションを連続させたり、同時進行させたりといった構成で長尺でありつつ単調ではない濡れ場を形成しています。
前述した通り、アブノーマルであったり嗜虐的であったりするエロシチュエーションが多く、全裸に水着ペイントで羞恥プレイをさせたり、双子美少女のレズセックスがあったり、寝取られエロや凌辱シチュエーションがあったりするため、最終的には円満解決を迎えるとはいえ、甘々なラブラブHをお望みの方は要留意。
その一方で、エロシーンでのプレイの組み立ては比較的オーソドックスと言え、ヒロインのもちもち柔らかボディの感触を味わうと共にパイズリやフェラのご奉仕プレイを楽しむ前戯パートと、すっかり愛液でトロトロになった秘所に肉棒を突き込んでガンガン腰を振りまくるパワフルな抽挿パートで構成されています。
エロ描写においては、ヒロインのグラマラスボディの肉感を存分に活用しており、パイズリや乳揉みにおいて柔らかく変形し、ピストンに合わせてゆさゆさ揺れる巨乳の描写やムチムチした太腿も魅力的な結合部見せつけ構図、もちもちとしたヒップを見せつけるバックからの構図など、ストレートなセックスアピールを十分に有した描写が大きな武器。

恋愛セックスにおいては男女の肢体の密着感を重視する描き方となっており、相手にギュッと抱きついたり、舌を絡めあったりといった描写はその好例。キスや乳揉みなどでピストン描写にも一定の手数を付与していますが、むしろガンガン腰を振ることそのものに集中したストロングスタイルを取っており、2P見開きの迫力でヒロインが中出しアクメを迎えるフィニッシュまでパワフルに推し進める抽挿パートとなっております。
抜きツールとして非常に優良ですが、シナリオにおいて登場人物達の魅力を高めていく手腕にも確かなものがあり、引き出しの多さも含めて今後も強く期待できる作家さんと言えます。
個人的には、凌辱エロからラブラブ和姦まで、またシリアス展開からハッピーエンドまでヒロインの様々な魅力と痴態が引き出された中編作が抜き的もシナリオ的にも最愛でございます。