ShidoLsCulturalAnthropology.jpg 久保保久先生の『よんでますよ、アザゼルさん』第10巻(講談社)を読みました。あのアザゼルさんが、そんな心温まること言うわけないと思っていましたが、予想通りに酷い顛末となった佐隈さんの離職騒動でした。
今回、割と前面に出ていた鬼上司・芥返さんですが、いったい何を狙っての行動だったのでしょうかねぇ。彼についての謎が深まります。

  さて本日は、新堂エル先生の『新堂エルの文化人類学』(ティーアイネット)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『TSF物語』(同社刊)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
  過激なエロ演出で彩るアブノーマルプレイが満載のファンタジー長編となっています。

ShidoLsCulturalAnthropology1.jpg  収録作は、フィールドワークを重視する天才ショタの文化人類学教授と彼の教え子であるヒロインが様々な奇祭・奇習を研究するために各地を飛び回り、ヒロインが毎回の様に(性的な意味で)受難を受けることになる長編「フィールド・ワーク!」全7話(←参照 ポニテさんの方が正ヒロイン 同長編第1話より)。
  1話当りのページ数は32~44P(平均39P弱)とかなり多めの水準であり、また単行本としての厚みもかなりのもの。長編作としての構成もしっかりしているため、特に終盤で読み応えが増しており、迫力のあるエロの質的・量的なボリューム感も強い作品構築であると言えるでしょう。

【多彩なコンテンツの有機的な組み合わせ】
  天才ショタ少年と彼を好いている年上ヒロインという、おねショタ的組み合わせを有する作品ですが、そこらの甘い雰囲気はあまり無く、教授の研究活動のためにヒロインが異種姦やらビッチ化やら集団凌辱やらと大変な目に合うエピソードが連続するストーリー。
各地の奇祭・奇習を調査する中で思わぬエロ的事態が巻き起こされる本作は、様々なコンテンツのオマージュをかき集めた作品構成となっており、学者が不思議な現象を調査する中で人外の強大な存在と出会い、世界の危機を引き起こす事態となる作品全体の展開そのものは、クトゥルー神話系作品の定番を素直に翻案したものとも言えます。
ShidoLsCulturalAnthropology2.jpg作品タイトル通りに、神話や信仰といった点について大真面目に文化人類学的なロジックを援用して設定・展開を肉付けすると共に、前述のクトゥルー神話や浮世絵(←参照 北斎リスペクト 長編第2話より)、ゾンビ映画、アニメ作品といったエロ漫画外のコンテンツ、ビッチ化や女装少年、異種姦などといったエロ漫画において形成されてきた要素などを豊富に取り込んでいるのも大きな特徴。
  そういったオマージュ・パロディ要素を貪欲に取り込んでいる一方で、その手法に自家中毒することなく、著者なりの解釈・ロジックによって組み合わされることで各要素同士のケミストリーが発生しているのは大変高く評価したい美点。
全体のストーリー構成については難産の産物という印象が先行するものの、序盤はオムニバス形式に近い形式を取りつつ、第1話のエピソードを伏線としつつ最終話で一気に話をスケールアップして長編としての盛り上がりを生み出したのは上手いと感じます。
  登場人物が多いことによる賑やかさはあると同時に、コメディに付託せずに割合にシリアスな冒険ファンタジーともなっており、強烈なエロのパワーで作品を牽引する一方でそれに依存しないストーリー構成となっているなど、この作家さんの以前の作品に比して大きな進化を感じさせる作品と評したいところ。

【エロシーン時の淫乱変貌ぶりが魅力の正ヒロイン】
  本作の正ヒロインである女子大生さんがエロ的にもメインを張っていますが、彼女のゼミ仲間である爆乳ガールや中盤以降協力者となる東南アジア出身の女性、ヒロイン枠かはやや微妙ながら女装している英国美少年などサブヒロインもエロ面で一定の活躍を示します。
ただし、サブヒロインはエロにある程度絡むとは言え、正ヒロインの宮下さん目線でエロシーンが描かれることが多いことなどもあって、あくまで補助的な役割にとどまることが多く、キャラ立ちはやや弱めとなっています。
催淫凌辱されて処女を失うわ、食人部族の人間牧場に放り込まれるわ、巨大タコに襲われて種付けされるわと、散々な目に遭い続ける宮下さんですが、普段が割と自堕落ながらも常識人な彼女が、そういった非常識な状況下で淫蕩さを曝け出すことになる落差が一つの魅力であり、彼女のモノローグの語り回しもそれを高める一因。
ShidoLsCulturalAnthropology3.jpg  エロシーンで最も活躍する宮下さんの肢体は、健康的なスレンダーボディに乳首がツンと上向く程好いサイズの釣鐘型巨乳と桃尻が組み合わさったエロ漫画的にスタンダードなボディデザイン(←参照 憑依されてビッチ化中 長編最終話前編(第5話)より)。これに対して、ケモ耳っぽい跳ね毛ロングでずっしりとした爆乳ボディのゼミ生・桜や褐色肌で痩せぎす貧乳ボディのマシュー、ちんまりボディの女装ショタさんなど、ボディデザインは各キャラクターで差別化されています。
サブヒロインのエロ的な活躍はありますが、宮下さんの登場頻度が高く、褌・襦袢姿や海女装束、サファリスーツにホットパンツスタイルの私服など、衣装の豊富さで見た目の多彩さを確保。
  悪く言えばややバタ臭さ(死語)のあった絵柄は、そこらが薄れてスタンダードなアニメ/エロゲ絵柄としてのキャッチーさが前面に出ており、エロ描写における濃厚さやコミカルなシーンでの漫画チックな絵、ヒロインと対照的に威圧的でゴツさのある男性描写など、幅広いタッチとの使い分けなども表現力の高さに直結しています。

【確かな技術力で描く特殊プレイと過激な演出】
  前述した通りに長編全体のストーリー構築はしっかりしていますが、どちらかと言えば特殊で過激なエロを描くために各種設定を持ち込んだという印象が強く、間違いなくエロメインの構築である協力抜きツール。
奇祭のフィールドワークで催淫された上で天狗面の男達に凌辱されて処女を散らすのを始まりとして、巨大タコに凌辱された上に種付け&出産、全裸で手足を拘束された上で家畜および肉便器としての扱いを受ける人間牧場体験、ビッチ化して不特定多数の男性とセックス三昧、果ては人外の存在を孕んでまた出産絶頂を味わうなど、宮下さんの受難は壮絶を極めます。その他のヒロインも宮下さんと一緒にエロ受難に巻き込まれたり、淫乱ゾンビと化して女装少年を逆レイプしたりと、アブノーマルエロを得意とするこの作家さんの面目躍如のエロシーンが続きます
  これらのエロシチュにおいて、深刻な事態は概ね最終的に避けられるのですが、凌辱エロ的な嗜虐性の色彩も強く、またビッチ化などの催淫シチュエーションにおいても自分が変質していくことへの恐怖や不安などの心理描写があるため、陽性の抜きツールをお求めの方は要留意。もっとも、エロ展開中盤以降は、すっかり吹っ切れて遮二無二快楽貪るヒロイン達のパワフルな痴態を楽しめる作りとなっています。
ShidoLsCulturalAnthropology4.jpg  特殊なシチュエーション・プレイに過激なエロ演出を組み合わせるという図式に非常に忠実なスタイルであり、蕩け画やアへ顔といったものを含む多彩で派手な表情変化や獣じみた嬌声や呻き声、大量の白濁液が口から逆流したり口や秘所から様々な淫液が溢れ出たりといった液汁描写、肉棒が淫洞をストロークする断面図など、視覚的なアタックの強い演出を多数用いて迫力のあるエロシーンを構成(←参照 出産アクメ中 長編最終話後編(第7話)より)。
同時に、体を仰け反らせながらの大股開きや結合部見せつけ構図などのインパクトの強い構図を用いつつ単調さを排しており、絡まり合う舌やアナルや秘所などの粘膜描写に特化した小ゴマの散りばめ、2P見開きを意識してダイナミックに痴態を描いたり、枠線に依存せずに描写をぎっちり詰め込むページ構成をしたりなどと、技術的な水準の高さも安定しています
  シナリオ展開を挟みつつ複数のエロシーンが含まれるエピソードが多いため、多少小刻みにはなりつつ抜き所は豊富。必ずしもフィニッシュシーンとしての射精シーンを重視するわけではなく、ここぞと明確に抜き所を定めにくい可能性は少々ありますが、過激なエロ演出で彩られるヒロインのアクメラッシュの勢いで抜かせるエロ展開であると評し得るでしょう。

  ストーリー作りにしてもエロ描写にしても、エロ漫画としての自由度を存分に生かしていますが、筆の迸りに任せるタイプではなく、自身の特性を踏まえて非常にクレバーな作りをするタイプと言えるでしょう。エロ漫画ジャンルにおける各種の蓄積を外部のコンテンツを上手に付与して魅力ある作品に再生産したと評したい所存。
エロ演出の勢いの突出さなどもあって必ずしも万人向けではありませんが、面白いエロ漫画を読みたい方には是非ともお勧めしたい1冊です。