
もちろん、艦隊これくしょんの特別冊子が目当てで購入した提督の一人なわけですが、フルカラー冊子で内容もなかなか充実と、楽しみにしていた甲斐がありました。
さて本日は、黒岩瑪瑙先生の『イクリプス』(コアマガジン)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『インモラル』(同社刊)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
明暗様々な雰囲気の中で描かれる艶っぽい美女とショタ少年の倒錯的なセックスが魅力的な作品集となっています。

なお、短編「イクリプス」は中編作と同じ設定の作品らしく、話のつながりはありませんが、人物描写から時系列としては中編の後と推察されます。
描き下ろし短編を除き、1話・作当りのページ数は18~24P(平均23P弱)と標準的な部類。エロメインの構築であり、シナリオそのものの読み応えはさほど強くありませんが、雰囲気作りの上手さもあってじっくり読ませるタイプの作品が揃っていると感じます。
【明暗の違いこそあれ幸福をもたらすものとしての性愛】
表紙絵から推察される通り、母子相姦エロなどのアモラルな雰囲気の作品に強みを発揮する作家さんですが、明るい雰囲気の作品も得意としており、今回も両者の作風が混在しています。
すっかりおじさん&おばさんになった夫婦が、妻が昔の水着を着たことをキッカケに一戦燃え上がって夫婦愛を再確認する短編「奥様と昔着た水着」や、勝気なお姉さんタイプである妖狐さんに少年がエッチを教えてもらう短編「夏の想ひ出」などは、快活な雰囲気を有する作品であり、解放的・健康的なスタンスで性愛を描くスタイルとも言えます。
本数としてはこちらのタイプが多いとも言え、おねショタ的な受動的な幸福感を楽しみつつ、ギャフンオチ的な楽しさのあるラストも含めて概ね読書感は軽く仕上がっているとも言えます。
これに対して、幸福な家庭を持ちながら心の中に満ち足りなさを抱えていた女性が少年たちの性交の快楽に溺れていく短編「イクリプス」や、母子相姦を描く中編作および短編「母子善哉」などは、退廃的な雰囲気を有している作品群であり、官能小説的な細やかさと独特のリズムのある独白表現によって、背徳感とそれに伴う快感を高めているのも上手いところ。

明るい雰囲気の作品も含めて、おねショタや母子相姦などの性愛を倒錯的なものとして表現しつつ、それが日常を悪しく“蝕む”ものとしてはあまり描いていません。“蝕”(elipse)によって地上から天体の光が見えなくなったとしてもその輝き自体が消失したわけではないように、常識・倫理の埒外に離れた彼ら彼女らの性愛は、幸福という輝きを喪失することはないと評したい所存。
【慈愛と性的魅力を兼ね備えたアダルト美女達】
短編「夏の想ひ出」に登場する年齢不詳の妖狐さんや短編「遭遇!アマゾネス母娘」に登場する母娘ヒロインのハイティーン級程度と思しき娘さんの方など、例外もありますが、基本的には20代半ば~30代半ば程度の年増美人さんがメインであり、特に30代の熟女さんが多め。
主人公にとってのママさんや、それと同年代のお姉さん、主人公の(色々な意味で)お世話を焼く家政婦さんなど、年上の美女が登場するのが基本であり、母親であるか否かを問わずに、美しく、優しく、強さもあり、子供を慈愛で包みつつ性的でもあるという、男性のマザコン的願望を存分に充足させるキャラクターとして描かれていると言えます。
これに対し、短編「奥様と昔着た水着」に登場するヒロインの旦那さんを除けば、ショタっぽさのある少年を彼女達の相手に配置しておねショタとしての色彩を明確にしています。まだあどけなさのある端正な表情や、筋肉も徐々に目立ち始めながらもほっそりとした思春期初期の肢体、性的なものへの憧れと不安、セックスの快楽へのがむしゃらさなど、ショタキャラクターとしての魅力を丹念に織り込んだ描き方は、属性持ちの紳士淑女の皆様には垂涎の一品と言えるでしょう。
腹筋がまぶしい筋骨たくましいレスラーママさん(短編「遭遇!アマゾネス母娘」)や褐色肌のスレンダー巨乳な妖狐さん(短編「夏の想ひ出」)、昔の水着がすっかりキツくなったむっちり奥さん(短編「奥様と昔着た水着」)など、ある程度幅はありますが、駄肉たっぷりのムチムチだらしなボディというよりかは、メリハリのあるボディデザインが基本。

もっさりと股間に茂る陰毛描写や、背景を薄暗く描く中で白く艶めかしく浮かび上がる柔肌なども、大人の色香を香らせており、キャッチーさのある画風ですっきりとした描線ながらも、適度な濃さで修飾を重ねる絵柄の独特な妖艶さなども年増美女達の色香に実に親和性が高いと感じます。
【喜悦に染まる年増ボディの艶っぽさ】
語り回しの上手さやキャラクターの魅力で導入パートに存在感を持たせていますが、基本的な作品構築はエロ優先の抜きツール的なものであり、倒錯的な快楽に溺れ、興じる美女達の痴態を十分量で鑑賞可能。
童貞の少年が綺麗でエッチなお姉さんに性的な意味で搾られるショタ受けのシチュエーションが多いですが、必ずしも一方的な行為としては描かれておらず、母親への愛情や初めて知ったセックスの快楽への貪欲さなどで少年側が主導権を取り戻すケースも多く、後半では対等、もしくは男性優位の状況に変化して全体的なバランスを整える傾向にあります。
人妻や母親ヒロインなどに関しては、アナルセックスやアナルビーズの挿入など、後ろの穴関連のプレイが多かったり、可愛らしさのあるショタ少年を女装させて調教したりなど、アブノーマルなプレイもちょこちょこ投入していますが、それ以外は男女双方が相手の性感帯を愛撫する前戯パートと、熟れた秘所にち○こを出し入れする抽挿パートと基本的なプレイでエロ展開を構成。

肉感的な熟女の肉体とほっそりとした少年の体躯の対比は明瞭であり、前述の様に密着感も相応に明示される一方、女性の柔らかな体に包み込まれるという描き方は多くなく、年増美人に甘えたい願望の諸氏は要留意。とは言え、この描き方はもっちりとしたバストや憂いと喜びを混交させる美女達の官能的な表情を前面に押し出すためとも言えるでしょう。
諸般の事情で、ここのところのコアマガジン作品と同様に性器はモザイク処理を施されているので、直接的な性器描写の淫猥さに期待する諸氏には大きな減点材料。ただ、女体描写や表情描写の良さが明確な武器でありますし、モザイク修正なりのエロさは相応にあると思うので、個人的にはそこまで大きな減点材料とは感じていません。
おねショタエロとしての魅力や、母子相姦エロとしての神髄をきっちり織り込んでおり、シナリオワークにしろエロ描写にしろ確かな技術と独自性のある絵柄でそれをより魅力的なものに昇華させていると評し得るでしょう。
個人的には、銀髪褐色肌でスレンダー巨乳なお姉さんという数え役満的なヒロインにメロメロの短編「夏の想ひ出」と、優しく愛おしい母親に性的に甘えるショタ少年な短編「母子善哉」に愚息が大変お世話になりました。属性持ちはマストバイな1冊と言えるでしょう。