SheFoundHerself.jpgTVアニメ版『ゆゆ式』第12話「ノーイベント グッドライフ」を観ました。あぁぁ、このまったりと楽しい空間にずっと浸っていたかったのですが、ついに終わってしまいましたなぁ。
メインの3人の可愛いというか、素っ頓狂な掛け合いはラストまで楽しかったです。語感・言葉遊びとテンションの組み合わせの妙というべきでしょうか。2期があるといいですなぁ(ブルーレイをアマゾンでポチりながら

 さて本日は、たけのこ星人先生の『カクセイ彼女』(ワニマガジン社)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『ゴーイン乙女』(コアマガジン)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
鋭い切れ味を誇るシナリオのインパクトとエネルギッシュに駆け抜けるエロ描写の熱量で魅せる作品集となっています。

SheFoundHerself1.jpg 収録作は、金持ちの御曹司である少年は、彼と長い間過ごしてきたメイドさんに執着し、借金とセックス調教で彼女の恋愛を阻止しようとするものの~な連作「君はメイドでしかない」前後編(←参照 主人公の純粋な恋心と我儘な独占欲 同連作前編より)+メイドヒロインと同様にやはり借金を背負ってメイドになった彼女のお姉さんがメインの幕間劇8P、色々と無茶をする不良な彼氏君のために“しっかりしなきゃ”と頑張る彼女さんの平和な日常な連作「シッカリしなきゃ」前後編、および読み切り短編4作。
前述の幕間劇は除き、1話・作当りのページ数は16~38P(平均25P)と幅はありつつ、平均すれば中の上クラスのボリューム。短編・連作メインですがシナリオの存在感はしっかりと強く、エロの満足感もページ数相応の強さがあるため、読み応えのある1冊と評したいところ。

【各種の王道展開を敢えて逆手に取る鮮烈なシナリオワーク】
 一癖も二癖もありながら、単に技巧に執着することなく読み手の胸にズバッと切れ込んでくるストレートさも有するシナリオワークは今回も健在。
巻末の短編「不器用な彼女」は、ラストの爽やかな余韻や男女の立ち位置の反転など、十分に技巧的と言えますが、割合にオーソドックスな恋愛ストーリーと言え、これはこれで魅力的な作劇ではあります。
 それでも、不良少年に振り回されながら健気に頑張り、なんやかんやで幸せそうな少女の日常を、ラストでどんでん返し的に崩壊させ、そこから再び平穏への回帰を示す連作「シッカリしなきゃ」、ケンカ別れした彼女に再会したものの彼女は他の男に徹底的に調教されて肉便器と化していた短編「その後の話」など、ラストでの強烈な切り返しや、序盤での衝撃といった仕掛けの面白さはこの作家さんの大きな特徴。
1d6af14b.jpg 今単行本で存在感を発揮する短編「君はメイドでしかない」は、金の力とセックスで愛する少女を支配し独占し続けながら、彼女の心を支配することは出来ないことを主人公が痛感し、悔しさと自己嫌悪と未練を噛み締めながら彼女を解放するという(←参照 好きな人の幸福を願って 連作「君はメイドでしかない」より)、寝取り/寝とられ展開や調教エロ、不器用な純愛が絡んだ非常にインパクトのあるストーリーを展開。
この展開は、性的快楽が男性の他の不利な条件を覆してヒロインを奪わせるという寝取りエロの常道を明確に覆すものと言え、主人公の少年が相対するのは“寝取る”相手であるヒロインの想い人ではなく、自分自身の感情であり、好きな少女の気持ちであるというのも面白いところ。
 のほほんとしたエロコメ模様を根底から覆す連作「シッカリしなきゃ」や、エッチで可愛い彼女さんという理想の存在への疑念と不信とある種の恐怖が主人公を暴走に駆り立てる短編「信じてるから」、ある意味では最悪の“ゴール”である、肉便器となった女の子のその後と“リスタート”を描き出す短編「その後の話」など、エロ漫画的に定番な設定や展開を踏まえた上で、それにユニークな捻りを存分に効かせることで新鮮さや面白さを生んでいると評し得ます。

【もっちり柔らかボディの一筋縄ではいかない美少女ヒロインズ】
 ヒロイン陣の年齢層は大まかには女子高生~女子大生クラスの美少女さん達であり、一部20代前半~半ば程度の働くお姉さん達も登場。
 クールなメガネっ子や従順なメイドさん、健気に頑張る女の子や、エッチで可愛い彼女さんと、キャッチーなキャラ設定と思わせつつ、いずれのヒロインにも表層とは異なる影や裏、本音が存在しており、シナリオ展開や主人公との関係性の捻りに貢献しています。
また、男性キャラクターに存在感があるのも特徴的であり、叶わぬ恋心への絶望感や無力感に苦しみながら彼女を解放した連作「君はメイドでしかない」の主人公や、散々汚され嬲られ、快楽だけが全てになってしまったヒロインに怒りや悔しさをむき出しにしながらそれでも手を差し伸べる短編「その後の話」など、弱さや虚しさを抱えながらそれ故に人間味のある人物になっているのが◎。
6cc4c762.jpg ヒロイン陣のボディデザインに関しては、可愛らしさ重点のメイド衣装や地味なメガネっ子などキャラデザには比較的明確な印象の違いを形成する一方で、健康的な肉付きのある体幹にもっちりと柔らかい巨乳&桃尻を備えた肉感ボディで概ね統一(←参照 幸せ“そうな”セックス 連作「シッカリしなきゃ」後編「私の幸せ手段」より)。
アナログ作画的な荒さや勢いを重視するスタイルと、比較的オールドスクール寄りの絵柄であることもあって、キャッチーな可愛らしさ・美しさはしっかり有しつつ、程良い肉感の強さや、もっさりとした陰毛描写などがモンゴロイド的に泥臭い色気を生み出しているのが特徴的です。
 表紙絵はずいぶんと綺麗なデジタル絵柄に仕上げていますが、前述した通りに中身はい意味での荒さや勢いの強さを有している絵柄で、適度な泥臭さや濃さを有するスタイル。決してクドサがあったり、アクのあるタイプであったりするわけではないので、訴求層は十分に広いと感じます。

【相手を求めるがむしゃらな激しさとそれが生む陶酔の強烈さ】
 エロシーンにおけるエスカレーションと、シナリオワークにおける人物関係の変化がリンクする技巧的な作品構築であり、エロシーンが分割構成になりがちではありつつ抜きツールとしては十分な分量の濡れ場をご用意。
 メイドさんの心を必死に支配しようと恥辱プレイやアナルセックスを強制したり(連作「君はメイドでしかない」)、彼女への不信から甘い恋愛エッチがどんどんとアブノーマルセックスへと発展したり(短編「信じてるから」)、好きな男子のために催眠術にかかったふりをするうちにスカトロや輪姦など、ドンドンと行為が変態的・過激になっていったりと(短編「弱虫と嘘つき」)、アブノーマルなシチュエーションに徐々に染まっていく展開が多いのは一つの特徴。
それでいて、単に過激さ・変態性を競っているわけではなく、それらの強烈な行為において、男性主人公、もしくはヒロインが相手を信頼し、理解しようと必死にもがきながら相手を求める焦燥が、行為の激しさを生み出しているのが大きな特徴と言え、それ故に性行為への能動性や没入感が高められる描き方と言えるでしょう。
SheFoundHerself4.jpg ヒロイン側の羞恥心や嫌悪感などは相応に打ち出しつつ、それが快楽とない交ぜになりながら存在しているのは、シナリオ的な深みを形成。演出面では、この全能ではないながらも強烈な快感を十二分に打ち出しており、結合部から濁った水音が激しく鳴り響き、蕩けた表情を曝け出しながら半狂乱の嬌声を連呼する美少女達の陶酔描写は(←参照 短編「不器用な彼女」より)、欲望や感情、快感が剥き出しに叩き付け合わせられるトリップ感を下支え。
 比較的小ゴマが多かったり、意図が分かり難い引きの構図があったりと、画面構成はすっきりとしたスタイルではなく、やや好みは分かれるかもしれません。とは言え、例えば画面にヒロインの柔らかボディが押し付けられるかの様なコマ配置&構図や、股間をがっつり開いての“くぱぁ”シーンや結合部見せ付け構図など、要所要所でしっかりと“狙った”画作りが効果を上げているのは美点でしょう。
 ヒロインのお口に白濁液を注ぎ込んで飲ませる前戯パートと、じゅぽじゅぽと膣の最奥まで怒張でほじくり返すパワフルなピストンを繰り出てからたっぷり生中出しを強行する抽送パートによって複数ラウンド制を形成しており、前述の分割構成もあってやや早漏展開気味ではありますが、抜き所の豊富さは十分に加点材料と言えるでしょう。

 今回もシナリオ面で唸らされる点が多く、突飛なのではなく、テンプレ的な展開をしっかりと踏まえているからこそユニークな魅力を生み出せていると感じます。熱量たっぷりのエロにも大層お世話になりました。
どれも印象的な作品ですが、単純な善悪・強者/弱者の対立構造に収まらない主人公の描き方が素晴らしかった連作「君はメイドでしかない」が最愛でございます。お勧め!