ASlaveWife.jpg岩永亮太郎先生の『パンプキン・シザーズ』第17巻(講談社)を読みました。誰しもが“英雄”たりえる存在でありながら、それでも求められる“英雄”にならんと決意する少尉は、白馬で駆けて大剣を振う姿もあいまって非常にかっこよかったですなぁ。
儀典局は大変分かり易いですが、“車軸”もまた組織の腐敗からは逃れ得ないのでしょうなぁ。


 さて本日は、まぐろ帝國先生の『奴隷妻』(茜新社)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『放課後奴隷倶楽部 二時限目』(同社刊)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
暗く淀んだ雰囲気をねっとりと醸し出しながら快楽の泥沼へ沈み込んでいく人妻の痴態を描いた長編作となっています。

ASlaveWife1.jpg 収録作は、多忙で性的に淡白な夫から性生活を放置され続け、鬱積した欲望を抱えていた貞淑な人妻が隣に越してきた青年との不倫セックスに溺れてしまい、彼の意のままに扱われる肉奴隷へと堕ちていくタイトル長編「奴隷妻」全10話(←参照 止まらぬ疼きに気付かれて 長編第1話「隣人」より)。
1話当りのページ数は16~28P(平均23P弱)と標準的なボリュームで推移。長編作として十分な読み応えを有しつつ、エロのボリューム感をメインに据えた作品構築となっています。

【丁寧な感情描写と退廃感たっぷりの雰囲気で魅せる人妻堕ちモノ】
 今回の長編作は、愛情と性的充実に飢えていた人妻・美里が、若い男の激しいセックスに溺れ、後悔と不安に悩まされながらも快楽の虜となっていくという、変わり種の作劇が多いこの作家さんとしては、非常に王道的な人妻堕ちモノ系。
当初は1度きりと思っていた不倫セックスから逃れることが出来ず、寝取り男へと強く依存し、アブノーマルなプレイや他の男性との性行為も受け入れていくことで、かつての日常への“ポイント・オブ・ノーリタン”を突破してしまうダークでインモラルな描き方は、このタイプの作品としての定番の魅力を備えています。
 その一方で、例えばヒロインの旦那やヒロイン自体への復讐心や執着などといった、寝取り行為への動機づけが一切描かれず、純粋に女性を肉奴隷に堕とすことそのものに歪んだ喜びを見出している青年の描き方がある種の怖さを作品に付与。
また、読者にとっても理解し難い存在として青年が抽象的な立ち位置で描かれる一方、欲望と愛情を狂おしく求めながら歪んでいくヒロインの心情描写が対比的に充実していることで、単に使い捨てにされるにも関わらず充足を得てしまったヒロインの悲哀が醸し出されているのも、ウェットな読書感を生み出しています。
ASlaveWife2.jpg ヒロインの人妻を落としていくための、アナルセックスや野外セックス、集団凌辱やネットへの痴態公開など、定番所を色々と用意しつつ、それらの行為の描写に下品さや露悪さをコントロールしつつも捻じ込んでおり、日常から逸脱した状況の禍々しさや奇妙な高揚感を発生させているのもこの作家さんならではの大きな特徴(←参照 温泉宿で女体神輿 長編第6話「旅行(後編)」より)。
 青年の毒牙の連鎖を示唆するラストエピソードも含め、人妻堕ちモノ系の王道を骨子としつつ、退廃感や非日常感を存分に織り込んだ作劇は非凡といえ、ヒロインの浅ましくも哀しい変容でラストまで読みを牽引してくれるストーリーと評したい所存。

【熟した色気をたっぷりまとう人妻ヒロイン】
 寝取り男である青年がヒロインに対して真摯な愛情を有していないことを示すために、ヒロインが乱交されている横で温泉宿の色っぽい女将とセックスをしている描写などがありますが、基本的には20代半ば~後半程度と思しき人妻さんによる一人ヒロイン制。
清楚な印象ではありつつ、旦那のせいで満たされない性的欲望を抱えてしまった人妻キャラクターが、その欲望を強制的に発現させられ、自ら飲み込まれていってしまう不安と喜悦に満ちた変遷が、作劇面でも実用面でも重要となるキャラクター描写となっています。
 官能小説的な細やかで丁寧さのある心情描写でヒロインの不安や渇望、喜びと悲しみを描き出しつつ、白濁液に塗れた茫然とした表情、欲望を堪え切れないことへの自己嫌悪の表情、それらと対比的な性的快楽に示す開放的な喜びの表情など、後述するエロシーン以外でも表情が内面を雄弁に物語っているのも○。
 美里さんのボディデザインに関しては、女盛りの完熟ボディとなっており、肢体全体に適度な肉感をまとわせつつ柔らかく重量感もある巨乳&安産型ヒップを有しています。比較的濃い目の陰毛や、適度な範囲で大きめの乳輪など、淫猥さのある体パーツ描写も一つの特徴でしょう。
ASlaveWife3.jpg心情描写の面でも、肉感ボディの面でも一人ヒロイン制を担うに十分な魅力のある女性キャラクターであり、羞恥プレイのためのメイド服や露出用のエロ衣装、乱交に供される花嫁姿など、衣装面で見た目の変化を付与(←参照 メイド喫茶のバイトをさせられ 長編第4話「奉仕」より)。とは言え、エロシーンでは全裸エッチが概ね主であるので、着衣セックスの充実を期待する諸氏は要留意。
 勢いはありながら細やかな描線で描かれる艶っぽい絵柄はフルデジタル作画に移行してもその魅力は全く失われれおらず、表紙絵のカラー絵と比較しても中身のモノクロ絵柄は何ら遜色が無く安定しているのは流石ベテランの技量と評し得ます。

【淫らな液体に塗れる女体と喜悦の表情】
 書店売り誌として各話に十分なボリュームのある構成であり、またセックスを通じてのヒロインの変容を描く作品でもあるため、エロシーンの分量は十分に用意されており、美女の熱情的な痴態をたっぷり鑑賞可能。
長編作であるため、ヒロインの“堕落”の様子をねっとりと描き出していくことが可能であり、徐々にエスカレートし過激になっていく性行為と、戸惑いと日常への回帰を徐々に立ち切り、快楽に対して中毒の様な依存と喜悦を示していく流れが煽情性の強化に寄与しています。
 柔らかな肢体を乱暴に弄り、こじ開けられていく激しいセックス描写に加え、見知らぬ男性達への奉仕を行わされ、それをネットで公開されていくなど、アブノーマルなプレイ・シチュエーションを多彩に揃えた禍々しい様相と、それでも愛情や性的欲望、依存心が満たされるヒロインの悲しい幸福感が入り混じる描写は、破滅的な美しさもまた醸し出しているとも評したいところ。
ASlaveWife4.jpg 女体が激しく悶え、快楽に身を反り、捩じらせる躍動的な描写はこの作家さんのエロ作画における大きな美点であり、羞恥や恐怖、抵抗感と快感や喜びが複雑に入り混じる官能の表情付けなどと併せ(←参照 涙と涎と歓喜の悲鳴を漏らす表情 長編第2話「背徳」より)、女体そのもののエロティクさを潤沢に引き出しているのが確たる美点と言えるでしょう。
元々、台詞や擬音を大量に用いるスタイルではなく、演出よりも絵そのもので魅せる傾向が明瞭なのですが、それらの音声表現やコマ感の描写の連続性を敢えて削って“写真”の様なコマを連続させる特徴的な描写は、その静けさやコマ切れ感が、不気味さや非日常感を強調する巧みな表現となっています。
 1回戦仕様のケースもありつつ複数ラウンド制が基本であり、アナルや口、秘所へと白濁液を容赦なく注ぎ込まれつつ、中出しで絶頂を迎えるフィニッシュシーンと、膣口や菊門から白濁液がこぼれ出したり、黄金水を漏らしたりな追撃描写とでオーラスの盛り上がりを適切に図っています。

 王道的な人妻堕ちモノエロ漫画であり、それとしてのシナリオ的・エロ的魅力を有しているため、このサブジャンルが好きな方には安心してお勧めできる1冊。
また、定番としての魅力はしっかり順守しつつも、不気味さや退廃感と性の狂騒が交錯する独特の雰囲気も有しており、まぐろ帝國先生らしさも相応に織り込まれていると評したいところ。