CircumstanceOfUs.jpgTVアニメ版『はたらく魔王さま!』第10話「魔王と勇者、いつもと違った日常を過ごす」を観ました。ちーちゃんのビックマクロバーガー級のおっぱい、圧倒的!胸囲の格差を目の当たりにしたエミリアの生気の抜けた表情も印象的でした。
しかし、腕を前で組んでおっぱいアピール&もじもじ、そこからの腕を放して乳揺れという一連の動きは、ちーちゃんは狙ってないのでしょうが、(性的な意味で)破壊力抜群でしたなぁ!

 さて本日は、楓牙先生の『兄と妹の事情』(ティーアイネット)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『先生を見てください』(同社刊)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
サスペンスの緊迫感と兄妹の恋愛模様の誠実さとで魅せるストーリーが味わえる1冊となっています。

91b9f075.jpg 収録作は、両親をとある事件によって失い、学校でも凄惨なイジメに遭い、度々記憶を失うという状況ながら、温和な性格と兄への思慕によって日々を穏やかに過ごしているヒロイン・里奈の秘められた過去が明らかになっていく長編「死んだ私の物語」(←参照 制服を便器に捨てられ 同長編第2話より)。
1話当りのページ数は30~50P(平均42P強)とボリューム重視のTI勢の中でもかなり多くなっています。ストーリー性重視のスタイルを貫いているため、読み応えは十分に強い一方、エロの分量はページ数の割には標準的な部類と言えるでしょう。

【不幸の中から“本当の私”を再獲得する物語】
 学校でのいじめも含め、不幸な状況にありながらも健気で純粋さを失わない妹と、彼女を大切に想い何に変えても守ろうとする兄との恋物語が作劇の軸を形成しつつ、彼らの両親に対する“親殺し”の真実が本作にサスペンスとしての暗さ・シリアスさを付与しています。
 里奈に対して苛烈なイジメを繰り返し、兄による反撃に対しても更なる妨害を次々と繰り返してくるもう一人のヒロイン・美咲も、“悪人”としての立ち位置を見せ付けつつ、彼女なりの真摯な目的を以てその苛酷な行為をやり通しているのが、本作を単なる善と悪の対立構造にしない一つの要因と言えます。
CircumstanceOfUs2.jpg兄と美咲は、共に里奈を強く愛する故の行動という点で共通しつつ、失われてしまった“過去の里奈”の取り戻そうとする美咲(←参照 彼女にとっても里奈は特別な存在 長編第5話より)、大切な家族であり恋人としての“現在の里奈”を守ろうとする兄という点で複雑な対立構造を形成しています。また、妹を守る者でもあり、妹に守られる者でもある兄、冷酷な“悪人”としての一面と優しく一途な一面を同時に持つ美咲、自分を失い続け、定まらない里奈と、それぞれ表裏のあるキャラクター造形も話の展開に魅力を持たせています。
“里奈”という存在をそれぞれが守るために行動する中で、“親殺し”の真実が明らかになり、三者三様の想いを打ち明ける終盤は、決して派手な表現を用いないものの、拭い去れない悲しみの中に3人が喪失していたものを取り戻す温かみが滲み出ているのが何とも素敵。
 作中で重要な役割を担うサブキャラクター“占い師”の立ち位置が、作品の構成の変更によって浮いてしまい、単なる便利キャラクターに近くなってしまったことや、最終盤での展開の唐突感などは、優れたストーリー性の教をやや削ぐものである感はあり、読み手によっては減点材料となるかもしれません。
 とは言え、不幸な過去とその清算に囚われ続けた登場人物達が、そこから解放され、自身の人生を歩めるように生まれ変わったことは爽やかな感動を生むものであり、実にあっさりとしながらも読み手に希望を抱かさせるラストシーンの描写なども、実に巧いと感じさせます。

【黒髪ロング巨乳な妹ヒロインの外見的・設定的魅力】

 美咲の策略によって兄と性交することになるサブヒロインが一人登場しますが、彼女はストーリー展開にほとんど関与しておらず、また美咲はエロシーンこそ1回ありますが、兄妹の関係を変容させる役割に徹しており、実質的には里奈をメインヒロインに据えた兄妹関係が軸となっているとも言えるでしょう。
a69538b8.jpg過酷な状況の中でも優しさや穏やかさを失わない里奈、彼女を大切に扱う兄、逆に冷酷な仕打ちを何食わぬ顔で続ける美咲と、割合に静的なキャラクターでありつつ、3人とも激情的な一面を有しており、それが激発し、交錯して行く様子が終盤の話の盛り上がりを生み出していると評し得ます(←参照 “現在の里奈”ではない“里奈” 長編第5話より)。
 また、いくつもの“私”を抱えることになってしまった里奈のキャラクターは、ヒロインの多面性とそれ故の理解不能性の描写を得意とするこの作家さんの真骨頂とも言え、またそれらを打破し、愛情によって位置づけられる“本当の私”を獲得する流れも実にこの作家さんらしいと感じます。
 ヒロイン造形に漫画チックな修飾や誇張をあまりしないスタイルの作家さんですが、その分、シンプルでありつつ健康的な色香のある美少女キャラクターとなっており、清楚で可愛らしい印象の妹キャラクター・里奈と、不良少女的な尖った印象もありつつ根っ子の優しさも要所で感じさせるクールビューティーの美咲は共に魅力的なキャラデザイン。
黒髪ロングで巨乳の里奈と、茶髪ロングで並乳の美咲で肢体造形は差別化していますが、共に等身高めでスレンダーな女体であり、肢体の肉感を追求するよりも比較的しなやかさを重んじたボディデザインと感じます。
 TI/クロエ勢旧来のネオ劇画系でも、近年そこでも勢力拡大中のキャッチーなアニメ/エロゲー絵柄とも異なり、少年~青年漫画で見ても違和感のない健康的なタッチの漫画絵柄であり、派手さ・キャッチーさはないものの幅色い層にすんなり受け入れられう絵柄。表紙絵に比べるとやや地味な絵柄に感じるかもしれませんが、ベテラン作家らしい絵柄の安定感を示しています。

【比較的穏やかな演出で行為の熱っぽさを高めるエロ描写】
 上述した通り、各エピソードの大ボリュームはストーリー展開をしっかり形成するために用いられており、エロ最優先の作りではありません。といっても、そもそもページ数が多いので、濡れ場の分量は標準からそれを多少上回れる程度は確保しています。
 里奈の失われてしまう記憶に自身を刻み込みたいという強い想いと、その全てを愛したいという愛情からアナルセックスを行うことはあるものの、兄妹に関しては愛し合う二人のセックスを描いており、特殊なシチュエーションやプレイは明確に忌避する傾向にあります。兄の側に焦燥が滲み出ながら妹側がそれを優しく受け入れるという描き方も二人の関係性を象徴するもの。なお、記憶を失うというギミックもあって、里奈の反応に初々しさが維持されるというのは一つのポイントでしょう。
里奈以外の女性キャラクターのセックスは、抜きツールとして同等の描写はされている一方、作中でも語られている様に恋愛感情を伴うものではなく、特に美咲とのセックスに関しては互いの体を通じて“里奈”の存在を感じ合う行為として描かれているのは特徴的。そのため、何処となく冷めた雰囲気も漂っており、作中における意味付けとしては重要ですが、読み手によっては実用性を下げる可能性はあります。
cedf5ee3.jpg エロの演出に関してはかなり大人しいスタイルを現在でも貫いており、快楽と羞恥に紅潮したり、瞳をキュッと閉じたりといった大人しめの表情付けや、漏れ出す様な矯正・息遣いとでセックスの熱っぽさを醸し出していきます(←参照 長編第1話より)。悪く言えば地味なタイプではあるのですが、シナリオパートで高められるヒロインの視覚的魅力をしっかり維持させる点は長所でもあり、とかく過激一辺倒に偏りがちな近年のエロ演出に食傷気味の諸氏にはむしろ好材料となるでしょう。
要所で大ゴマを十分量用いて女体の存在感を打ち出しつつ、割合に詰め込む画面構成であり、表情や結合部などのアップ構図を配置して適度に密度を高めています。性器描写に強い煽情性があるわけではないですが、結合部見せ付け構図も多用しており、ストレートなエロさもちゃんと確保。
 概ね複数ラウンド制のエロ展開となっていますが、射精連発のドライブ感とはむしろ無縁なタイプであり、どちらかと言えばじっくりとエロのシークエンスを重ねていくスタイル。フィニッシュまで適度なアグレッシブさで快楽曲線を押し上げていきますが、中出しフィニッシュに関してもこれまたド派手な演出とは無縁であり、1Pフルの分量を用いつつ、フェードアウトする様な控えめな描き方となっています。

 苛烈なイジメと親殺しの悪夢という導入が生む強いアルコールの様な刺激、登場人物達の優しさと切なさが絶妙なブレンドで混じり合う中盤の味わい、それぞれの思惑と感情が一気に高まる終盤展開の喉をカッと焼く様な感覚、そして温かく爽やかな香気が鼻腔を抜けていく様なフィニッシュと、上質なウィスキーを味わうかの如き1冊。
あとがきに拠れば、構想段階ではより暗く、シリアスな終盤展開を考えていた様ですが、個人的にはこのラストを大変気に入っています。ストーリー性重視のエロ漫画を読みたい諸氏にお勧めでございます。