WellColoredGirl.jpg  ヨシノサツキ先生の『はんだくん』第1巻(スクウェア・エニックス)を読みました。アニメ版『ばらかもん』も大変楽しんでおりますが、このコミュ障状態から比べれば『ばらかもん』ではだいぶマシになったのかもと感じてしまいます。半田先生マジ愛され系不器用ヒロイン。
しかし、あかねキュン、あんなに可愛かったのに、どうしてあんなにごっつい野郎に・・・(泣

  さて本日は、Cuvie先生の『色めく彼女』(ワニマガジン社)の遅延へたレビューです。なお、先生の(成年向け)前単行本『Yummy』(富士美出版)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
細やかな感情描写を施しつつ青春ラブエロ系として滑らかな読書感と明確な実用性を有する作品集となっています。

  収録作はいずれも読み切り形式の短編で計11作。1作当りのページ数は全て18Pとコンビニ誌初出としては標準的な分量で固定されています。短編作品集であり、ここのページ数もさほど多くないため、コンパクトな作品構築ではありますが、適度に読ませる作りであり、またエロシーンの質の高さもあって抜きツールとしての満足感もあります

【和姦エロを中心とする青春恋模様】
  ほんわかと優しい雰囲気が終始漂い読み手を幸福な気持ちにさせるラブストーリー系から、快楽の泥沼に取り込まれていく女性の姿で悲哀や憐憫の鋭い棘を読者の胸に残すインモラル系・凌辱系まで引き出しの広い作家さんですが、今単行本はほとんどの作品が前者の系統。
アルコールに弱く、セックスに忌避感を持つ後輩の女性の本性を曝け出せて上手いこと手籠めにする短編「前後不覚」や、オナニー中毒の美少女をある意味では利用し・利用される形でセックスに至り、その爛れた関係を続けることになる短編「Physical Networking Service」の2作はインモラル系に属する作品ですが、この系統のCuvie作品としてはマイルドな部類であり、読後感もさほど悪くない様に仕上がっています。
  今単行本においてメインとなる青春ラブストーリーにおいては、作劇そのものに特段の新味があるわけではありませんが、恋愛感情や母性、嫉妬や困惑といった、特にヒロイン側の喜怒哀楽の心情を鮮やかに、かつ上質にさらりと描いている点が大きな美点。
WellColoredGirl1.jpgこれといって変わった表現や心を突き動かすエモーショナルな描写をしているわけではないですが、男女の距離の縮め方とそれが幸福に結実する流れを、ヒロインの情動を押さえつつ雰囲気良く描けているのは、恋愛系の作品として大きな強みとなっていると評し得るでしょう(←参照 思わせぶりな台詞回しの良さ 短編「電車デビュー」より)。
  適度に甘く優しい雰囲気のハッピーエンドでまとめることが多いことに加え、明確な“結論”を出さないラストでも男女間の強い縁を表現しており、性愛を介した結び付きの強さを示しているのはある種のもどかしさも含めて肯定的な描き方であると感じます。
これぞといった作品には欠ける印象が個人的にはありますが、全般的にウェルメイドな作劇であるのは確かであり、シナリオワークとエロシーンの的確な融合は双方の魅力を高めています。

【健康的なエロスを感じさせる女体】
  女子高生級と思しき美少女ヒロインも数名存在していますが、コンビニ誌初出というっこともあって基本的には18歳以上の女性キャラクターが登場しており、女子大生をメインに20代半ば程度の勤労女性が数名加わる陣容。
彼氏である主人公に近づく年上女性に嫉妬を鮮明にするやきもち焼きガールや、普段はサバサバした性格ながら告白してしおらしくなる女の子、主人公の好意を優しく受け止める母性的な年上女性、裏表なく彼女持ちの主人公に貢献する幼馴染など、各キャラクターの性格設定を明瞭に施しつつ、平凡なキャラクター属性に依存しないヒロイン描写は魅力の一つと言えます。
べたべた甘えてくる積極性とセックスの時の羞恥、ガサツさとその奥にある好意や優しさ、羞恥心と解放の恐怖と喜悦等々、ごく普遍的な二面性をヒロインに施すことで心情描写に価値を持たせ、またその魅力を高めることに貢献しているのもキャラクター描写における巧さとなっています。
1224e41b.jpg  おっぱいサイズについては、並乳~程好い巨乳程度のばらつきがあるものの、明瞭な貧乳や爆乳は存在せず、また、肢体全体の描写についても健康的な肉付きと清楚さのあるキャラデザインによってセックスアピールを過度に主張しないスタイル(←参照 短編「スパイス」より)。ただし、女体描写単体でのエロさこそ左程ではないですが、その肢体に快感による艶を出していく演出の妙と、接触や運動の中でその柔らかさやしなやかさをアピールする描写で煽情性を高めていく手腕こそがこの作家さんの真骨頂。
後述するようにエロ描写において粘膜の接触を重視するスタイルですが、性器や乳首、舌といった局所の描写においても過剰な煽情性はなく、むしろ綺麗さ・淡麗さのあるタイプでこちらも演出によって淫猥さを出していくスタイルとなっています。
  程好く密度の高い修飾を施しつつ、さらりと軽めで繊細な描線を基調とするタイプであり、一般誌での活躍と同様に健康的な色香やさっぱりとした爽やかさのある絵柄ですが、それ故にエロ描写では煽情性の強化が明瞭となる、“化粧乗り”の良いタイプ。

【適度な濃密さで組み上げるヒロインの熱っぽい痴態】
  前述した様にページ数があまり多くないため、長尺の濡れ場とは言い難く、特にピストン運動の描写には少々の物足りなさを感じることはありますが、シンプルでありながら薄過ぎず濃過ぎずの密度で組み上げたエロ演出で体感的に十分な満足感を叩き出すエロシーンとなっています。
219b0231.jpg  男性側が強引に押し込むタイプのエロシーンもありますが、基本的には和姦エロ主体であり、恋愛感情に基づく甘い雰囲気の作品から(←参照 おっぱいの柔らかさに注目されたい 短編「好き?ドン引き?」より)、ストレートに快楽を楽しむタイプのセックスを描く作品も存在。いずれにしても、男女双方の性的欲望が強烈な駆動因となっていることが分かり易く、セックス描写のエネルギー感を増す美点と言えるでしょう。
野外での拘束プレイや酔姦といったアブノーマル・インモラル系のエロシチュエーションも存在しますが、それらの特殊性を前面に押し出すよりかは、例えば嫉妬心からセックス時の積極性や充足感が増す描き方や(短編「スパイス」)、見えない故に相手を強く感じることと長年思い続けていた感情のリンケージ(短編「BOUND MIND」)など、ヒロインの感情と快感への反応を結び付けた描き方をしているのが、心情描写の良さと相まってエロとしての濃密さを生み出す要因と感じます。
  時として抽挿パートを量的に圧迫する原因ともなるのですが、前戯パートに相応の重点を置くエロ展開であり、唾液を絡ませながらのキスや、丹念な愛撫で水音を立てながら秘所をぐしゃぐしゃにする手マン、唾液や放出した精液が糸を引くフェラチオなど、粘膜の接触でヒロインの興奮と快感が高まっていく様子で前半部の盛り上がりを形成。
WellColoredGirl4.jpg抽挿パートに移行後も、淫液が溢れ出る結合部のアップ構図や断面図・透過図の多用によって粘膜の接触を強調していますが、その一方でヒロインのしなやかな肢体全体をアピールし、蕩けた表情と台詞回しで陶酔感を出すことを重んじており、和姦エロであっても適度な征服欲・嗜虐欲を喚起させています(←参照 ハートマーク付きの否定台詞 短編「前後不覚」より)。
  シンプルなコマ割りながら、動作の連続性を滑らかに表現する配置や表情アップや結合部アップと肢体全体の大ゴマとの連動など、確かな技量でエロシーンの密度を保っており中~大ゴマでの中出しフィニッシュに至るまでアタックの強さを維持。フィニッシュで特別に盛り上がりを図るスタイルではないですが、そこまでの流れを適切に受けてフェードアウトしていくエロ展開最終盤となっています。

  骨組み自体は比較的オーソドックスですが、細やかな部分に気をつかっている分、エロとシナリオの魅力が非凡なものに高まっているという印象。比較的あっさりしている様で適度な濃密さのあるエロ漫画が読みたい諸氏にお勧めです。
個人的には、嫉妬ツンデレ娘の素直な乱れっぷりが実によい短編「スパイス」と、自分をオープンにすることを躊躇う後輩ガールを(色々な意味で)無理矢理こじ開ける短編「前後不覚」が特にお気に入りでございます。