EstrusDays.jpg PEACH-PIT先生の『ローゼンメイデン』最終第10巻(集英社)を読みました。“巻いた僕”の世界の旧版も含めて長いこと楽しませて頂いた作品でしたが、終にアリスゲームが終わったことは感慨深いですなぁ。
個々のドールたちとそのマスターたちに平穏が訪れたことは、彼ら彼女らの経験してきた苦難を考えると、本当によかったと思います。


  さて本日は、左カゲトラ先生の『はつじょーでいず』(コアマガジン)の遅延へたレビューです。なお、先生の前単行本(初単行本)『らぶちゅーらいふ』(茜新社)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
黒ストッキング装備のキュートな地味系ガール達と繰り広げるちょっぴり切なくもほのぼのとした恋模様が揃った1冊となっています。

EstrusDays1.jpg  収録作は、周囲には秘密で交際している男性教師と女子中○生の二人の性愛の日々を描く中編「FOOLS」全5話(←参照 おとぼけシーンながらキーワード 同中編第2話「My Home」より)+フルカラー後日談8P+カバー裏におまけ漫画1P、および読み切り形式の短編4作。
フルカラー作品を除き、1話・作当りのページ数は16~28P(平均23P弱)と標準的な部類。シナリオ的にも一定の読み応えを有しつつ、滑らかな読書感を基調としており、そこに体感的にも分量的にも重過ぎず軽過ぎずの濡れ場が加わる作品構築となっています。

【穏やかな雰囲気の中で肯定される思春期の少女達】
  前単行本から3年の開きがあり、また初出の掲載誌も異なるも、作風そのものは前回の初単行本から大きな変化はしておらず、等身大の思春期ガール達をヒロインに据え、彼女達の心の機微を優しく静かな雰囲気の中で描き出すスタイル
  年上の男性教師と世間的には禁忌とされる恋愛関係にある少女を描く中編作は、性行為自体を愛し合う男女として当然の行為として描きつつ、性行為の中で変化していく自身へのヒロインの戸惑いやおおっぴらにできない関係への苦しさなども描かれており、アッパーなラブコメチューンではなく、思春期の少女の細やかな感情描写が魅力となる作品と言えます。
fd624cd7.jpgそういった戸惑いや悩みも描きつつ、誠実な恋愛関係や周囲の人間とのかかわりによって負の感情が解消されていく流れも中編作の雰囲気を穏やかにしている要因であり(←参照 仲直り 中編第5話「君の名前を呼んだ後に」より)、少女性愛も含めて“禁断”の関係を描きつつ、大人や社会から分断されたものとして登場人物達を描くのでなく、日常の中に幸福を見出す様に描いているのも優しさを感じさせる要素。
  短編4作においても同様のスタンスを取りながら、よりコンパクトな作品構築となっており、幼馴染との嬉し恥かし初エッチな短編「Liar! Liar!」、ツンデレ系妹ちゃんと初エッチと思いきや・・・?な短編「Loop」、JCガールコンビによる男性教師への過激なラブエロアタックを描く短編「プリズム」など、作品の骨子は割合にオーソドックスなものとなっています。
とは言え、ラストのサブヒロインの表情で、彼女の想いを感じ取らせることで作品全体の印象をガラッと変化させつつ、ハッピーエンドも確実にするという巧みな表現を見せる短編「プリズム」や、健気な仔犬系ヒロインの台詞で恋愛モノとしての甘さをたっぷり充填する短編「放課後1H」など、心情描写の良さで作品の印象を締めたり、緩めたりする技術が光っています。
  短編「プリズム」「Loop」共にラストに仕掛けがあるタイプの作品ですが、基本的にハッピーエンドでまとまっており、いずれの作品も最後まで穏やかな雰囲気を保っていると言えるでしょう。

【記号的要素で固めつつ繊細さもある地味系JCヒロインズ】
  特に年齢を明示していないこともあるものの、基本的に女子中○生で統一されていると考えてよく、思春期らしい心の揺れ動きなども含めて大人としての倫理観や性徴と子供らしい衝動や無垢さが綯い交ぜになった存在が描かれていると評し得ます。
清楚なメガネ美少女や、ツンデレ気味な幼馴染キャラや妹キャラ、健気な仔犬系ヒロインと、比較的分かり易いキャラクター属性を張り付けてはいますが、そこに全面的に依存するタイプではなく、ポピュラーなキャラクター属性を心情描写で掘り下げるなり、定番と異なる側面を付与するなりと、適切にアレンジを施すことでキャラが平板にならないのは○。
EstrusDays3.jpgキャラデザインとしては、黒髪三つ編みや黒縁メガネ、クラシカルで清楚なセーラー服など、地味系ヒロインとしての属性を明確にする要素が多いことに加え、黒のパンティストッキングの登場が目立つのもこの作家さんの特徴(←参照 長編第1話「Baby cruising Love」より)。ある意味では、非常に意図した“地味系”ヒロインではあるのですが、そこが嫌味にならないのはバランス感覚や絵柄の特性故でしょう。
  キャラクターの年齢層もあって、比較的ロリ色が明確なボディデザインではありますが、ぷにぷにとしたロリぷにテイストは控えめであり、ほっそりとした華奢な肢体にぺたんこバスト&鏡面仕様の股間が組み合わさるボディ。比較的等身も高めで、ある程度の成長を示しつつも、乳房や股間など、女性らしい体パーツが未発達であることの併存が思春期らしいボディデザインと言えます。
  約3年ぶりの単行本ということもあって、絵柄には多少の変動が認められるのは確か。とは言え、細く柔らかい描線を組み上げ、キャッチーど真ん中のアニメ/エロゲー絵柄ではなく、繊細さやオサレ感も適度に含む漫画絵柄そのものの魅力は安定しており、線の強弱や演出の濃淡の変動に収まっていると感じます。

【程良い塩梅のエロ演出で彩る華奢ボディの痴態】
  キャラクター性の掘り下げにも重点を置いていますが、シナリオシーンの描き方も味わいを含ませつつもさらっと軽やかに描くタイプなのでエロシーンの分量は十分に確保しており、地味っ子ヒロイン達がエロ可愛く乱れる様を適度なボリュームで鑑賞可能。
EstrusDays4.jpgエロシチュエーションは、和姦エロで統一されており、行為の中で少女側を中心とした感情が吐露されていくという流れもラブエロ系としてオーソドックスですが、今回では中編作で明瞭な様に(妊娠の心配がない)アナルセックスの登場頻度が高いというのがプレイにおける一つの特徴(←参照 エッチの際にストッキングを脱がさないのも特徴 短編「放課後1H」より)。
また、中編第4話における女教師さんとヒロインの絡みや、短編「プリズム」において重要な要素となる男性主人公にエロアタックをかける二人の少女の絡みなど、百合的な要素を絡めることがしばしばあるのもこの作家さんらしいポイントと言えるでしょう。
  そもそもの絵柄が、煽情性を前面に押し出したタイプではなく、エロ演出に関しても一気に派手さ・過激さを増すタイプではないものの、地味系ヒロインが性的快感に高揚し、ハートマーク付きの乱れたエロ台詞の連呼や、トロンと蕩けた瞳の表情や口の輪郭線がふにゃふにゃになるのが特徴の蕩け顔、肉棒が出し入れされる秘所やアナルのアップ構図などによって彼女達の陶酔感を十二分に強調しています。
演出面である程度の攻撃性を担保しつつ、描写の物量でハードにガンガン攻め抜くタイプではあまりなく、性的快感に震え、仰け反るヒロインの華奢な肢体をアングル変化と、反応・行為の連続性を重んじたコマ展開で魅せていく傾向にあり、小ゴマの補助を受けた大ゴマのインパクトで勝負するタイプと感じます。
  前戯パートにも十分な分量を割いていますが、ここではヒロインの未成熟な肢体を丁寧に解きほぐすことに専念することも多く、必然的に1回戦をじっくり描くパターンが目立ちます。ハートマークを散りばめた絶頂の嬌声を上げ、アナルや秘所に白濁液を受け止めながらビクビクと体を反応させるヒロインの痴態を描くフィニッシュシーンは、そこまでの流れと齟齬を生じさせない程度ながら適度な盛り上がりを図っており、抜き所として申し分なくまとまっています。

  意外にオーソドックスな要素を組み上げながら、心情描写なども含めて作家さんの個性がしっかりと生きている作品群という印象で、過剰にならないレベルでの独自性の発揮を称賛したいところ。
個人的には、ラストにしてやられた短編「プリズム」がシナリオ的に、地味系メガネっ子のアナル乱れっぷりが素敵な中編「FOOLS」が抜き的に最愛でございます。