Yummy.jpg  桜井画門先生の『亜人』第4巻(講談社)を読みました。自らの身を守ることに専念するようになった主人公に対し、佐藤一味との戦いを選ぶ中野は第二の主人公的な立ち位置になっていくんでしょうかね?他の亜人たちの動向も気になります。
それにしても、計画性の高い不死身の人間が、テロという手段を選択した時の恐ろしさが強烈に印象付けられた巻でした。

  さて本日は、Cuvie先生の『Yummy』(富士美出版)の遅延へたレビューです。なお、先生の(成年向け)前単行本『Heavenly』(同社刊)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
快活なラブストーリーとドライな現実感が漂う悲哀劇という二つのスタイルでJKガールズ達の青春を描く作品集となっています。

Yummy1.jpg  収録作は、とある事情で不特定多数の男子とのセックスを試みている不感症の少女に誘われるままに性交すると、なぜか主人公だけは彼女を性的に感じさせることが可能で~という奇妙な出会いから始まるラブ&セックスな中編「トルネード」全3話(←参照 試してみる? 同中編第1話より)、および読み切り形式の短編5作。
1話・作当りのページ数は24~26P(平均26P弱)とコンビニ誌初出としては標準を優に上回るボリュームで推移。ストーリーの読書感も十分に有しつつ、短編~中編としてコンパクトにまとめながらエロの満腹感も強めに備える優れたコンストラクションを示しています。

【爽やかな青春ラブストーリーと空虚な援交ストーリー】
  明るく朗らかなコンビニ誌王道の正統派ラブコメチューンから、一方的な欲望が女性に対して牙を剥くドライでダークな凌辱劇まで引き出しの広い作家さんであり、今単行本でも両方の作風が混在しています。
不感症である故に男漁りに精を出していた女の子を、主人公だけが性的快感を与えてメロメロにできる状況設定からなんのかんので“運命の相手”として互いを受け入れることになる中編作や、主人公にメンチを切ってくる目付きの悪い女の子との誤解が解けてラブラブ和姦な短編「A WITCH IN LOVE」などは前者の系統に属しており、こちらの青春ラブストーリーが収録作の半数強を占めています。
これに対し、彼氏に振られて落ち込んでいた女性が悪い男にヤリ部屋に連れ込まれ、その体を好き放題に凌辱されることになる短編「HOLE」や、自身の意思でもしくは男性に騙される形で援助交際をすることになる少女の悲哀を描く短編「LUCK/LACK」「バイバイ。」などは概ね後者の系統。
Yummy2.jpg割合にストレートな凌辱&堕ちモノ系である短編「HOLE」に対し、短編「LUCK/LACK」「バイバイ。」の2作については、自らの居場所を探している内に援助交際に至ってしまった少女達を描いており、売春による金銭の獲得や性的快感の享受をしている一方で、満たされることのない“何か”や喪失してしまった“何か”を暗示させることで、ヒロイン達の熱狂的な痴態と鮮やかな対象を形成する空虚感を漂わせています(←参照 本当に欲しかったのはお金じゃなくて 短編「バイバイ。」より)。
  青春ラブコメにしろ、援交少女達のストーリーにしろ、セックスとその快楽を話の中軸に据えつつ、心と体のどちらが先かの順番は別にして男女の関係性の中で心身両方の充足が図られていく展開と、体は満たされながら心が満たされることのない展開の描き分けは明瞭といえ、本来であればどちらに転んでもおかしくないにも関わらず、何処かで分水嶺が生まれているという描き方は、両方の作風を得意とする故の味わい深さとも言えるでしょう。
少年と少女が自らの性と相手の異性を、裸体を見せ合いセックスすることで認識する短編「ENVY」、自らの居場所を求めセックスの快楽と金を稼ぐ充足感に包まれながら“答え”を得られないままの少女の心情を畳み掛ける様に描写する短編「LUCK/LACK」など、シナリオの骨組みを丁寧に補強する心情描写の繊細も魅力的で、幸福感なり虚無感なりの読後の余韻を豊かに生み出しています

【健康的な肉感の巨乳JKガールズ達】
  通りすがりの悪いイケメン(胡乱な表現)に傷心を付け込まれることになる20代半ば程度と思しき短編「HOLE」のヒロインを除けば、ヒロイン陣はハイティーン級程度の女子高生ガールズ達で統一。
  処女ヒロインの割合が高く、青春ラブストーリー系では正統派?の処女ヒロインですが、セックス以外の行為で“ウリ”をしていた少女(短編「バイバイ。」)や、不感症のコンプレックスを何とかするために男子と見境なくセックスしていた少女(中編「トルネード」)なども登場しているため、そこらを気にする方は要留意。
単行本タイトルの“yummy”は“おいしそうな女の子”という意味の俗語であるのですが、これは極めて男性目線の言葉であり、好色さや淫らさを内に抱えているという、男性にとって“都合のよい”女性像を踏襲させると共に、彼女達が精神的にも幸福を得られるかという点も男性側にかかっているという描き方にも合致していると個人的には感じます(とは言え、これは今単行本に限らない作風ではありますが)。
  短編「ENVY」に登場する黒髪ショートのスポーツ少女や短編「A WITCH IN LOVE」の目付きの悪い黒髪ロングガールなど、清楚な印象の女子高生キャラクターも存在する一方、援交JKなどでは比較的若者らしい華やかさ(派手さ)も備えたキャラデザがメインであり、かといって過度に派手すぎない現実的なラインに収めているのもバランスがよいところ。
Yummy3.jpg  ヒロイン達のボディデザインについては、程好い肉付きの健康的な肉感ボディにもっちりと柔らかい弾力感のある巨乳、締まったウェストに形の良い桃尻、陰毛が適度に茂る股間を組み合わせたスタイルで概ね統一(←参照 おっぱいおっぱい 短編「ENVY」より)。均整が取れ、セックスアピールを過度にしない女体描写ですが、後述する様にエロシーンになれば淫臭が濃厚に香り出してくるのが何とも魅力的です。
  トーンやベタをたっぷり織り込む高密度の作画とはむしろ逆で、さっぱりとした描線と抑えた修飾で魅せるタイプの絵柄であり、それ故にエロ演出の“化粧乗り”がよいタイプとも言えるでしょう。とは言え、背景等も含めて丁寧に作画しており、過剰さを排する一方で、エロさの源泉の勘所を押さえて軽さや薄さを感じさせない密度形成のバランス感覚は流石ベテランの持ち味。

【シンプルな手法で濃厚な陶酔感を生み出すエロ描写】
  十分な分量のエロシーンも含めて作品全体のストーリーを形成する安定した作品構築であり、濡れ場での心情描写を丁寧に施して、恋愛セックスにしろ欲望塗れの凌辱や売春にしろ、シチュエーションの盛り上げを適切に為しつつ抜きにも集中しやすい語り回しに収めています。
少年少女のドキドキ初エッチな和姦エロもあれば、男性の一方的な欲望が炸裂する凌辱エロ、変態チックな要素も絡めて少女達の肢体を味わう売春行為など、エロシチュエーションは比較的多彩であり、またドタバタラブコメ的な要素も持つ中編作ではレズセックスやビッチトリオに襲われてのウハウハな拘束逆レイプといった、背徳感よりかはむしろ少々のコミカルさも備えたシチュエーションも用意。
  シチュエーション作りこそ様々ですが、ペニスバンドを装着したレズガールを交えた上述の3Pセックスを除けば、プレイ自体は概ねオーソドックスに組み立てたエロシーンであると言え、前戯パートではヒロインの健康的な肉感巨乳ボディのあちらこちらの感触をキスやら愛撫やらで味わい、愛液にじゅんと濡れた秘所へと挿入することで抽挿パートへと移行していきます。
前戯パートに比較的長めのページ数を割り振る構成であり、バストや秘所などの性感帯を丁寧に、凌辱系ならば執拗に愛撫したり、ねっとりと舌を絡め合わせたり、素股や乳首舐め、フェラなどの女の子側からのサービスを甘受、もしくは強要したりと、両者の興奮と快感が高まった状態にしてからピストン運動が開始される分、十分なタメが形成されています。
3042ca1e.jpg  抽挿パートに移行後も、パワフルなピストン描写を軸としつつ、性感帯を刺激したり、ねっとりとしたキスを交わしたりといった手数を組み合わせており、熱っぽく蕩けた官能の表情と乱れた台詞を吐き出す顔(←参照 中編「トルネード」第2話より)、巨乳を中心にしっとりと淫らに濡れた女体、そして抜き差しされる肉棒に淫液と媚肉がねっとりと絡みつく結合部および断面図の描写をそれぞれバランスよく組み込んだエロ作画を安定した筆致で連続。
導入パートの描き方と同じく、過激で派手なエロ演出や濃厚な描き込みを用いるタイプでは決してないのですが、シンプルでベーシックな演出でありながら強烈な陶酔感を叩き出し、1Pフル~2P見開きの中出しフィニッシュでのヒロインのアクメまで勢いよく進行させるエモーショナルでパワフルな描き方は強力な武器と言えるでしょう。

  明暗いずれの作風においても、手堅くそれでいて味わい深さのある作劇となっており、それと密接に絡まり合うヒロイン達の痴態の性的魅力も高まるという理想的な作品構築と言えるでしょう。決して変に凝ったスタイルではありませんが、それでも技巧派という評は相応しいと思います。
個人的には、目付きの悪いジト目ガールの恋模様が可愛らしい短編「A WITCH IN LOVE」と、清楚な巨乳お姉さんが悪い男に蹂躙される短編「HOLE」に愚息が大変お世話になりました。