VenusGirden.jpg 樫木拓人先生の『ハクメイとミコチ』第2巻(エンターブレイン)を読みました。今回はハクメイと大工としてのお仕事と、その成長が比較的長い尺で丁寧に描かれていましたね。前向きに頑張るハクメイも頼もしかったですし、会長の奥様がチャーミングでありつつしっかり者でした。
14話に登場した、スライスした葡萄パンにクリームチーズを塗ったサンドイッチ美味しいですよねぇ。

  さて本日は、ほりとも先生の『ヴィーナスガーデン』(キルタイムコミュニケーション)のへたレビューです。先生の前単行本『アンリアルシンドローム』(同社刊)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
様々な人外ヒロイン達とのラブ&エッチを優しく温かい雰囲気の中で描き出すファンタジー作品集となっています。

VenusGirden1.jpg  収録作は、零落した名家の当主である病弱な青年が10年ぶりに薔薇園の精霊に再会し、その想いを彼女に打ち明ける短編「10年後また会いましょう」(←参照 荊に守られる薔薇の精)+二人のその後を描く後日談掌編4P、および読み切り形式の短編8作とそぞれの作品に対するおまけ掌編2~4P。
おまけ作品を除き、1作当りのページ数は10~22P(平均18P弱)とやや控えめな部類。短編メインということもあり、コンパクトな構成の作品が多いですが、設定がしっかりしていることもあって読み応えは相応にあり、その上でエロシーンも量的に充実しています。

【ヒロインの可愛らしさでも魅せる平和なファンタジー】
  アンリアル系列らしいファンタジー世界を舞台としつつ、戦闘ヒロイン凌辱などのファンタジー凌辱の文法にのらず、人外ヒロインとの純愛模様や健気なヒロイン達の奮闘を柔らかい雰囲気の中で描き出すことがこの作家さんの最たる特徴。
加えて、今回も登場するご主人様ラブながらついツンツンしちゃうトカゲ娘のシッポちゃんや、過去作に登場したスキュラ娘のシャムランさん、ラミア娘・エルテさんなども再登場して彼女達の交流が描かれたりと、作家さん独自の世界観がしっかりと作られ、成長していることも大きなポイントと評し得ます。
  人と人魚の悲恋を乗り越えて運命の二人が結ばれる短編「スウィートマーメイド」、思い過去があるガーゴイル娘さんと冒険者の青年によって呪縛から解放される短編「宝箱にはガーゴイル」、薔薇園の精霊が彼女を大切にしてきた病弱な少年に生きる希望と力を与える短編「10年後また会いましょう」など、人外娘とのラブストーリーは純粋な恋愛の力が登場人物達に幸福をもたらすものとして描かれています
短編作ということもあって、彼ら彼女らの不幸な過去や異種間の恋愛の困難さなどをストーリーとして強調することはありませんが、短編「スゥイートマーメイド」のおまけ掌編で語られる台詞“それでも貫かれる愛にやはり私たちは憧れてしまいます”に象徴される通りに、種族を超えて成就される恋に優しい祝福を与える作風であると言えるでしょう。
VenusGirden2.jpg  また、キルタイム系らしく触手エロをしばしば投入していますが、精霊体であるテテがイカ型モンスターに憑依してエルフのニムルさんとラブラブHをしたり(←参照 海で日焼けしたニムルさん 短編「それでもアタシはつながりたい」より)、ラミア娘さんとスキュラ娘さんが触手によるエロマッサージを受けたり、これまた再登場の女神官ナプテームさんが闇の力を浄化するために触手を自ら受け入れたりと、特殊プレイの一環程度の扱いであって作品の雰囲気をダークにすることはありません。
  ラストもハッピーエンドで穏やかにまとめており、適度にコミカルさや作品設定から示唆するドラマとしての重厚さを有しつつも、ヒロイン達のキュートな魅力とラブエロ系としての平穏さを満喫できる作品と言えるでしょう。

【人外ヒロインとしての要素を重視したキャラデザ】

  単行本のサブタイトルに“非現実乙女と出会える街”とある通り、ファンタジーヒロインが勢揃いした作品集であり、今回登場するヒロインの中で人間であるのは慈愛に満ちた武闘派神官・ナプテームさんのみでその他の女性キャラクターは皆人外キャラクター。
感情に合わせて動く大きくて敏感な尻尾の持ち主であるトカゲ娘のシッポちゃんを筆頭に、ケンタウロスや薔薇の精霊、今回は海で日焼けしたエルフさん、下半身が触手のスキュラさんや無邪気な様で暗い過去を持つガーゴイル、人の言葉を解さないけれども心は通じ合う人魚さんなど、多彩な人外ヒロイン・モンスター娘を擁するヒロイン陣となっています。
VenusGirden3.jpg  彼女達のキャラデザインに関しては、かなり人間形態に近いエルフのニムルさんやトカゲ娘のシッポちゃんなどもいる一方で、下半身がロバであるケンタウロス娘のロマコさん(←参照 おねだりポーズ 短編「私だってケンタウロスなんだからね!」より)、青肌で手が強力なカギ爪であるガーゴイルガール、マズルこそないもののケモノ鼻な獣人娘など、人外キャラクターとしてのキャラデザインをちゃんと重視したタイプであり、好事家(管理人含む)にとっては非常に嬉しいところ。
  トランジスタ・グラマーであるシッポちゃんを含め、ボディデザインについてはたっぷりサイズの巨乳を含めて肉感的なタイプで概ね統一。下半身が馬だったり魚だったり触手だったりとなケースも多いですが、その柔らかいボディには男性を受け止める母性を感じさせるのも一つの特徴でしょう。
  作風同様に、ふんわりと柔らかく優しい印象のある絵柄であることもあり、肢体描写にはストレートなセックスアピールは強くはなく、どちらかと言えば可愛らしさ優先のキャラデザイン。とは言え、スベスベさを強調した柔肌に包まれる肉感的なバスト&ヒップの存在感は前面に出しており、エロさと可愛らしさのバランスは良好と感じます。
適度に萌えっぽさを有し、デフォルメ感でも人外ヒロイン達のキュートネスを引き出すタイプの絵柄は多少のクドさはありつつも、対照的に素朴な親しみ易さがあり、適度に密度の高い描き込みもあって丁寧な絵作りが為されていると評し得ます。

【愛情と快感の幸福感に包まれるラブラブH】
  ページ数はさほど長くないものの、セックスの中で男女のラブラブ感を豊かに描き出したり、設定説明で導入パートを十分構成してしまったりといった作品構築であることもあって、エロシーンが大半を占める構成となっており、実用的読書には十分な分量の濡れ場を用意。
  植物学を専門とする変わり者の獣人ガールが暴走する植物に襲われてしまったり(短編「流されてマタタビちゃん」)、邪念に取りつかれた少年を浄化して助けるために女性神官があえて触手をその身で受け止めたりと(短編「エピカ・ドルチェ~闇の淫器~」)と、多少凌辱的なシチュエーションになることもありますが、あくまでトラブルや乗り越えるべき試練として描かれており、嗜虐性は強くありませんしいずれもハッピーエンドにまとまります
  メインのエロシチュである、人外ヒロインとのラブラブHについては、姿・形こそ人間とは異なりますが、例え言葉が通じない場合でも心はしっかりと通じ合い、相手を思いやるからこそ相手の体を受け入れ、愛の言葉を交わしながら共に快感を高めていくという描き方が非常に明瞭であり、ヒロイン達の心と体が満たされていく幸福感を豊かに織り込んでいます。
  逆に言うと、ヒロインが特殊な容姿をした人外キャラクターであることを除けば、通常?の和姦エロと大きく異なっておらず、ファンタジー系作品らしい特殊プレイや過激な行為はむしろ描かないスタイルと言えます。触手エロにおけるアナル・前穴の二穴挿入程度が過激さとしては上限であり、陶酔感は十分に打ち出しつつエロとしての過激性はむしろマイルドであると言えるでしょう。
VenusGirden4.jpgエロ演出に関しても、快感に蕩けるヒロインの表情や適度な分量で投入するハートマーク付きの喜悦の嬌声&ラブ台詞など、比較的穏やかな手法を用いていますが、前述した柔らかもちもちボディの強調と、透過図・断面図を多用して体だけでなく粘膜の密着感や深い挿入感を強調することが多いのが特徴的(←参照 ガーゴイル娘さんとラブラブH 短編「宝箱にはガーゴイル」より)。
  前後パートにパイズリフェラからのぶっかけなど、射精パートを投入することもありますが、基本的には1回戦仕様でまとめることが多く、優しくも力強いピストン運動から中出しフィニッシュで絶頂を迎えるヒロインの痴態を1Pフルでお届け。その一方で、エロ展開の途中に失禁や潮吹きなどでヒロインのアクメを複数回投入する描写で抜き所を設けており、彼女達を快感で満足させることを重視した描き方とも言えるでしょう。

  人外ヒロインとの穏やかなラブエロ作品であり、ヒロインの作り込みや様式美を踏襲しつつの独自性の追加なども含め、キルタイムレーベルだけでなく、エロ漫画ジャンル全体において、独自の作風を築き上げていると評したいところ。
個人的には、凄惨な過去を持ちつつ純正性を失わないガーゴイル娘が救われる短編「宝箱にはガーゴイル」と、相変わらずシッポちゃんが実にラブリーな短編「シッポがふてくされました。」が特にお気に入り。人外ヒロイン好きな諸氏にお勧め!