LinguaFranga タスクオーナ先生(原作:米澤穂信氏)の『氷菓』第10巻(角川書店)を読みました。正しく、〝瓢箪から駒“でちょっと変な校内放送からかなり大きな犯罪に結びつくかもしれない推論をやってのける折木君(と千反田さん)の考察する力には痺れました。普通、同じ放送を聞いても〝何か変だな”と感じる程度でしょうが、偶然千反田さんが仕掛けたゲームの最中であることも功を奏したのかもしれませんね。

  さて本日は、赤月みゅうと先生の『リンガフランカ!!』(ティーアイネット)の遅延へたレビューです。なお、先生の前単行本の『なつみつ×ハーレム❤』(同社刊)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
ピュアでエッチな美少女さん達とHしまくりな南国ハーレムのウハウハ感とその作品世界を取り巻くSFファンタジーが楽しめる1冊となっています。

LinguaFranga1  収録作は、操縦する飛行機が何故か吸い寄せられた南国の孤島に同乗者の幼馴染の女の子と共に不時着した主人公の少年を待っていたのは、彼を〝山神様“に与えられた特別な存在として、その子種を求める美少女達だけで構成されたコミュニティで~というタイトル長編「リンガフランガ!!」全7話(←参照 少女達に子種を求められ続ける日々のスタート 同長編第2話「性大祭」より)+後日談エピローグ(4P)。
エピローグを除き、1話当りのページ数は24~48P(平均31P強)と十二分に厚いボリュームを有しており、長編作としてしっかりとした読み応えのあるストーリーと、ハーレムエロとしてのゴージャスな満腹感のあるエロを兼ね備えています

【ウハウハハーレム展開とSFストーリーの融合】
  南国の孤島に不時着したところ、美少女だらけの集落で唯一の男性として、拘束されつつもその子種を求められ続けてハーレム三昧というストレートなハーレム願望まっしぐらのアマゾネス系棚ボタ展開を冒頭から真正面から叩きつけながらも、本作は“女性しか存在せず、しかも全員が性行為に積極的”というドリーミーな、しかして明らかに歪んだ状況が何故生じたのかという謎解きをストーリーの主軸としています。
LinguaFranga2不思議な知識や強大な戦闘力によって主人公の少年を何かと助け、村民の少女達にも愛される存在であったにも関わらず“奴隷”として扱われる少女・カルアの存在、“山神様”として島の世界を支配し、島に巡らせた触手などを用いて島民の少女達を性の快楽に貪欲な者に“調教”する少女・ペディの謎めいた言動によって(←参照 この二人の存在は島にとっての何なのか 長編第6話「レオとヒマリ」より)、この歪んだ“ハーレム天国”の謎という印象を読み手に深めさせています。
  何故主人公がこの島に呼び寄せられたのか、何故島は少女達しか存在せず、彼女達が貪欲に子種を求めるのかという謎に対して、一定の伏線を作中で示しつつ、謎を謎として引っ張る構成力、およびハーレムエロのウハウハな幸福感で読み手の推論を封じ、ストーリー終盤で島に秘められていた壮大な“背景”を明かすことで、読み手に新鮮な驚きを与えるのは、実に唸らされる作品構築です。
作中で明らかにされる島の“真実”、および上述したストーリー展開の妙味も含めて、本作はSF(すこし不思議)ではなく、正しく“SF”としての流儀を守った作品構築であると個人的には評したいところで、ネタバレは避けますが、是非ラストでの「あぁ、そうだったのか!」という驚きを楽しんで頂きたい所存。
  また、赤月先生の多くの作品に共通するテーマ性なのですが、“性愛”を何らかの目的のための“手段”として利用するために構築された歪んだ空間・世界が、その中で生きる少女達と主人公の自発的な恋心や性的欲求によって、その“歪み”が打破され、性愛そのものを“目的”とする正常な世界へと回帰するというストーリー性は本作にも明確に共通していると評し得るでしょう。
ウハウハ感の中に、ちょっとシリアス展開もあり、ラストには壮大に風呂敷を広げたSF要素をぶち上げ、綺麗なハッピーエンドを迎えつつ、エピローグで適切に風呂敷を畳んでまとめるストーリーの構成力と、それ故の読後感の気持ち良さは相変わらず高く評価したい美点であると感じます。

【初心で淫靡な理想の美少女達のハーレム】
  前述した二人の謎めいた美少女である“奴隷”のカルア、および“神様”であるペティをストーリー面での中軸に据えつつ、ちょっとツンデレ系な島の少女・マケやエロエロお姉さんタイプの族長・ワレタさんなどもエロ面での主軸として、多数の美少女島民に加えて主人公に初心な恋愛感情を有し、共に島に漂着した幼馴染・ヒマリなど多数の美少女キャラクターを擁するハーレムを形成。
  男性を知らぬ初心な存在でありながら、性的な調教を施されて快楽を貪欲に貪り男性を喜ばせるという、島のミドル~ハイティーン級の美少女達は、ハーレム的なウハウハ感を更に増強するものであると同時に、この島に形成される世界の強烈な歪みを体現したものであるというのは一つの大きなポイントでしょう。
LinguaFranga3あまりに登場人物が多いため、悪く言えば“モブ”的なキャラクターや状況の説明役に徹する女の子も多いですが、謎めいた言動で主人公を島の世界に取り込んでいこうとするペティのミステリアスな魅力や(←参照 長編第3話「大触診性体検査」より)、ヒマリちゃんの健気な恋心の純粋さ、生真面目だけど素直な可愛げもあるマケ、そしてペティと同じくミステリアスでありながら生来の“善性”で主人公を導くカルアなど、メイン~サブ級のヒロイン達個々に魅力的なキャラクター性を付与しているのは○。
  多数登場する島民の美少女達は、たわわなおっぱいなスレンダー巨乳のお姉さんタイプも居れば、低身長ボディにぺたんこバストの口リ系タイプやトランジスタ・グラマな娘さんなどボディデザインは多彩であり、また南国らしい褐色肌や日焼け肌、はたまたきめの細かい白肌などの描き分けも、見た目の印象をより多彩にする要因でしょう。また、着衣セックスはほとんどなく、それぞれの汚れを知らぬ美しい裸体を存分に曝け出してくれるの、ある種の解放感を伴って、嬉しいところ。
ぺたんこバストから巨乳まで、白肌から褐色肌まで、ピュアな仔犬系女子からエロエロお姉さんタイプまでと、男性の欲望を叶える要素を各種取り揃えた、多彩な性格設定およびキャラデザインは、勿論ハーレムエロとしてのゴージャス感を大いに高める要因であると同時に、終盤で明かされるこの島の“秘密”を知れば、その理由が理解できるのも巧みな設定として感心しました。
  適度な萌えっぽさもあり、程好くアニメ/エロゲー絵柄的なキャッチーさもありながら、繊細な描線を柔らかく引き、全体の印象を柔らかくかつ丁寧なものとする漫画絵柄であり、濃度を突き詰めるスタイルでないにも関わらず、十分な情報量と空間形成力があるのはこの作家さんのなかなか他を替え難い絵柄の魅力であり、もちろん単行本を通して表紙と完全互換で安定しています。

【熱っぽく蕩ける美少女達と溶け合うかのような快楽空間】
  各話でページ数には一定の幅がありますが個々に十分なボリュームがあり、また、ストーリーの設定そのものが物語の核心としっかりリンクしながらエロ三昧を可能にするものであるため、多数のヒロイン達とがっつり中出しセックスを満喫する主人公の状況をたっぷり長尺で提供する優良抜きツール。
主人公が状況を理解できないまま、島民の美少女達にたっぷりと子種を絞られるという倒錯的なシチュエーションもあり、また山神様であるペティが島民の少女達を男を知らぬまま淫らに調教するための触手調教エロや一時的なふたなり化によるレズセックスなどアブノーマルなシチュも用意しつつ、1on1または3P程度の和姦エロをメインとして、かつお相手のヒロインを入れ替えていくことでハーレムとしてのゴージャス感も担保。
  またファンタジー・SFならではの自由度を活かしたシチュエーションの多彩さを導入しつつ、交じり合う美少女ヒロインの肢体と溶け合う様かの肌の密着感とそれが想起する肌の温かさや柔らかさ、柔肌を濡らす各種淫液のぬめり、それらが生み出す空間を満たす熱っぽさという、肌と粘膜を重ねる行為そのものが持つ快感を十二分に練り上げた筆致こそがシンプルにして強力な武器と言えるでしょう。
LinguaFranga4ヒロインが主導権を握る騎乗位での搾精プレイや、正常位でのラブラブセックスなど、体位の変化は様々ですが、互いの舌と唾液を絡め合わせるねっとりとしたキス、柔らかい乳房や太股が男性の肢体に柔軟に密着し包み込む様子、深く挿入される性器結合部以上に互いの肌を接着するかのような豊潤な液汁描写などの描写・構図によって、双方が更なる快楽を得ようと互いを求めあう様子の濃密な官能性は圧巻(←参照 密着ペロチュー&中出し 長編第4話「奴隷と規律と友達と」より)。
  擬音表現や液汁表現、適度に投入する断面図など、十分な演出強度を有しつつ、決して質的にも量的に“やり過ぎない”範囲にとどめることで、ヒロインのエロ可愛さをエロシーンを通して着実に高めつつもその魅力を破綻させないスキルがあります。
この演出手法とも密接に関係しますが、がっつり中出しでのヒロインがキュートに悶える絶頂シーンなど、大ゴマ~1Pフルでのエロのアタックが十分にありつつも、小ゴマ連続での行為のねっとりとした連続描写や要所での表情アップなど、テクニカルに煽情性を積み上げていくテクニックが上手く、十分に用意されたページ数故に可能であると同時に、ページ数以上に行為の高揚感や熱狂感を上品かつ濃密に組み上げることに成功しています。

  読み手を徐々に引き込んでいくストーリーの面白みと、多彩な美少女とのウハウハセックス三昧という二つの魅力をハーレムエロという設定の中で両立させた手腕は流石の実力派作家と納得させられる作品ですし、それを支える全体の構成力とキャラの良さにも感心しました。実用的読書をたっぷり楽しみつつ、実はこんなSF的展開が!という心地よい驚きにも楽しませてもらえる名作です。