zen9『義母のかわき』

ThirstyMotherInLaw  大武政夫先生の『ヒナまつり』第16巻(エンターブレイン)を読みました。新田に気に入られるために若衆トリオがヒナのアドバイスに従う展開、終盤の畳みかけで大爆笑でしたが、あれをその通りにする当り、新田の言う通りにバカ揃いなんですよね・・・。
そして、ミカさんの手により、漫画界に新たな“感謝の正拳突き”が爆誕しましたな!

  さて本日は、zen9先生の『義母のかわき』(エンジェル出版)のへたレビューです。先生の前単行本『神様にお願い』(同社刊)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
豊満ボディの美しい義母との背徳の関係が続くという危うさで魅せる作劇と程好いアタックのエロ描写とが楽しめる1冊となっています。

ThirstyMotherInLaw1  収録作は、在宅仕事をしている主人公の男性はキャリアウーマンの妻と共に建てた新居に彼女の唯一の肉親である母親を呼んで同居を始めたのだが、熟れた体と性欲を持て余していた義母とふとしたキッカケでセックスをしてしまい、ぎくしゃくしてしまった関係を修復しようとするのだが・・・なタイトル長編全9話(←参照 愛妻のためにも最後のセックスにして二人の関係にけりをつけようとするのだが・・・? 同長編第3話「溢れ出す涙」より)。
1話当りのページ数はいずれも20Pと中の下クラスのボリュームで固定。長編作として相応の読み応えがあるストーリーであって、量的・質的にも程好い満腹感のあるエロシーンを各話で安定供給しています。

【義母との爛れた不倫関係の背徳感&緊張感で魅せる長編】
  愛する妻と幸福な家庭を築きながら、同居した義母と関係を持ってしまうという背徳の不倫関係が描かれるインモラル系のストーリーであり、義母ヒロイン・香と主人公それぞれが娘/妻に対する罪悪感を抱きながらも性愛関係を続けてしまうという展開
上述した様に第3話において、二人の関係に決着を一度は付けるものの、香さんが別の男性に誘惑されてしまうことで、主人公側の男性的な独占欲がもたげて再び不義密通の関係が持続されてしまうという展開のもどかしさや昼ドラ的な泥沼感は作劇全体の特徴と評し得ます。
ThirstyMotherInLaw2  主人公と義母双方が相手を求める共犯関係でありつつ、主人公の妻である香の娘である志保には何ら罪がない状態が継続された上に、彼女が愛する旦那のために用意したサプライズで早くに退勤したら両者がセックスしているのを目撃するという最悪のタイミングで浮気が露見するというなかなかにキツイ修羅場が発生します(←参照 そりゃ激怒しますよ 長編第7話「サプライズ」より)。
ここからの終盤展開は、かなりせわしない展開が連続することもあって強引さも感じるところですし、自暴自棄になった妻がナンパ男を逆に誘惑して浮気セックスをするなど好みを分ける要素もありますが、言ってみれば全員が罪を負うことで対等性を回復し、大団円を可能にするという流れとも言えます。
  最終的に志保が主人公にとっての一番に回帰することで彼女は報われますし、香さんも彼ら彼女らの関係の再構築を祝福する流れにはなっているので話としての落着はあるのですが、高まり続けた情欲のみが残った香の“その後”を示唆するラストは一転してインモラルな様相を濃くする仕掛けになっています。
不倫エロとしての緊張感や罪悪感、また離れそうで離れない、露見しそうで露見しないスリリングさで読みを牽引した巧さは着実にありつつ、それ故に終盤の“解決”の仕方はやや強引であったかなと総括したいところ。

【ともに若々しい豊満ボディの母娘ダブルヒロイン制】
  単行本タイトルでは義母である香さんの方がフィーチャーされていますが、彼女との不倫関係と並行して愛妻との夜の営みもしっかりと描かれており、作劇・エロ共に二人のヒロイン双方が同程度の重要性を有するダブルヒロイン制と評して良いでしょう。
  家事はからっきしではあるが、有能なキャリアウーマンであり勝気で自身の願望や恋愛感情をストレートに表現してくるタイプの妻・志保と、家庭的で穏やかな性格であり、自身の性的欲望や感情を押し殺してしまうタイプの義母・香という対照的なキャラ配置となっているのも、主人公が二人の間で揺れ動くという意味で作劇を盛り上げる要因。
ThirstyMotherInLaw3この対照性はエロシーンでも感じられ、どちらかと言えばセックスにおいてリードを取るタイプの志保と(←参照 搾り取り騎乗位 長編第1話「新しい家族」より)、羞恥や戸惑いの言葉を口にしながら相手を受容する誘い受けな香とで主人公による欲望の表出の仕方が異なるのも、妻への裏切り的な様相を明確化している印象があります。
 40半ば程度と思しき香さんは成熟した大人の色香はありつつも若々しさのあるタイプで、20代半ば~後半程度と思しき志保さんと並んでも母娘程の年齢差を感じさせないため、熟女感の強さはむしろ抑えてある印象。
また、二人とも程好い張りと弾力感のある巨乳、下腹部に駄肉感を少し盛りつつも締まったウェスト、ボリューミィな安産型ヒップを備えた女体となっており、整った美しさとストレートなエロアピール力がバランスよくまとまったボディと言えます。
  オーセンティックなアニメ/エロゲー絵柄に属するタイプであって、キャッチーさなりエロの濃厚感なり個々の要素を突出させるのではなく、バランスよくまとめるタイプ。悪く言えば強い個性・特徴に欠ける印象はありますが、丁寧な作画の安定感や訴求層の広さは安心感に明確につながっています。

【程好く熱っぽい陶酔感と豊満ボディの存在感が魅力】
  展開の都合上、エロシーンの分割構成を取ることもありますが、メインのシーンに集中しやすい配置にはしており、それほど長尺ではないものの抜きツールとしては標準的なページ数を有した濡れ場となっています。
  愛妻にリードされたり、逆にリードしたりなラブラブHも用意して、抜きツールとして十分な量はありますが、次第に彼女ではなく義母とのセックスの方に意識が行ってしまう男性側の罪深い意識も描かれており、義母との不倫セックスで互いの背徳的な情欲が更に盛り上がるスパイス的な役割も果たしています。
前述した通り、急展開が続く終盤では志保さんの浮気乱交セックスや、彼女の命令による妻の眼前での義母とのセックス&愛妻との仲直りセックスなど、飛び道具的なエロシチュが投入されており、そこまでのエロシチュと同様に背徳感を生み出していますが、読者によって好みは分かれると思われます。
  ヒロイン側によるフェラやパイズリ、ちんぐり返しでの手コキ責めなどで射精に導かれることもあれば、豊満バストを揉んだり股間に顔を埋めてのクンニがあったりな前戯パートは射精シーンの有無に関わらず短めにまとめることが多く、抽挿パートの比率を高めた構築が特徴的
ThirstyMotherInLaw4 抽挿パートではヒロインの豊満ボディの存在感をしっかりと見せつつ結合部アップの小ゴマや断面図を付随させたり、きゅっと快楽を堪える表情とトロンと弛緩した表情を並べたり、通常は普通のフォントで書きつつフィニッシュシーンなどの要所で乱れた描き文字を投入したりと、演出の緩急がしっかりと付いた痴態描写となっており(←参照 長編第6話「潤う義母」より)、基本を高質にというスタイルと言えるでしょう。
小ゴマが連続し過ぎて窮屈というページも散見されつつ、中出しアクメなフィニッシュシーンを含めて大ゴマの威力が強く、過度な演出に依存することなくベーシックな演出で女体のエロさと熱っぽい痴態を十全に活かしたエロ描写は、濃過ぎず薄過ぎずな水準で幅広い層にとって実用的なものと評し得ます。

  関係性としてのズルズル感と愁嘆場をテンポの良い展開で魅せていく作劇の上手さと、程好い満腹感のエロシーンとでまとまっており、ダークではないインモラル系をお好みの諸氏にはお勧めできる1冊。
とは言え、やはり母娘との三角関係というのは話としてのまとめ方は難しいし、好みの差も出るなとも感じさせられた作品ではありました。

あわじひめじ『娼学生肉便器』

JSSexualToilet 稲葉光史先生(原作:山本崇一朗先生)の『からかい上手の(元)高木さん』第5巻(小学館)を読みました。「わすれもの」のエピソードで、指を合わせてハートマークを作ってくる高木さん、ヤバかったですね。
ょぅじょなちーちゃんも可愛いですが、制服JC姿も大変眼福ですな(邪悪な目


 さて本日は、あわじひめじ先生の『娼学生肉便器』(ヒット出版社)の遅延へたレビューです。当ブログでは久しぶりのレビューとなりますが、過去作『辱育』(茜新社)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
読者の不快感を刺激する露悪的な作劇と少女が為す術もなく蹂躙されるストレートに過ぎる凌辱エロがたっぷり詰まった作品集です。

  収録作はいずれも読み切り形式の短編で10作。1作当りのページ数は16~24P(平均19P強)とやや控えめな部類。とは言え、作品としてのインパクトは強烈であり、ゴリゴリの鬼畜エロを悪意や黒い欲望で押し通すシナリオに載せて提供する分、読み口には重さがあると言えるでしょう。

【現実的な悪意や欲望とそれが生む悲劇を読者に叩き付ける作劇】
  人間のセックスを含め、外部生殖器を相手に挿入する様式の性行為は一定の他害性を含むものであって、だからこそ行動学的にも人間の道徳としてもそれを相手に受容して貰う関係性を如何に構築するのかが肝要であり、それらの前提を無視するレイプが法的にも道徳的にも正当化の余地がない、非難すべき行いであることは明らかでしょう。
フィクションにおいて暴力的な衝動を平和裏に解消する上では、禁忌感を魅力としながらもそういった非道な行いへの精神的負荷を低減させる措置が普通は必要であって、ホラー・オカルト的な文脈に当てはめたり、復讐劇やダークヒーローのルサンチマンを以て描いたり、はたまたファンタジー凌辱的な縁遠い世界や記号的な要素を用いたりという作劇はそういった措置の一環とも言えます。
  これに対してあわじひめじ先生の鬼畜エロは、ファンタジー作品である短編「お気の毒ですが冒険者の処女膜は消えてしまいました」を除き、現実的な欲望を現実的な愚かしさや狂気を以て少女に叩き付け、現実的な不幸をまき散らしていくという、そういった“措置”をほとんど用いないソリッドな凌辱エロになっています。
好きなアニメを馬鹿にされた恨みを凌辱で晴らそうとするオタク、自分より年下の男性が幸福な家庭を築いていることを許せない中年男性、自分の娘に欲情し性的虐待を繰り返す父親など、展開として漫画チックなカリカチュアはあると言え、現代日本の何処かに確実に存在しているであろう、悪意や歪み、暗い欲望や妬みとそれが生み出す悲劇が作品に塗り込められています
JSSexualToilet1凌辱モノの裏ビデオを見ながらオナニーをしている青年に、凌辱されている少女が実はある日から引きこもりになった彼の妹であることが判明する短編「JS拉致強姦-録画-」が特に象徴的ですが(←参照 欲望の矛先が自分の家族だとしたら? 同短編より)、そういった確実に存在している暗いもの歪んだものに関わらないように生きている読者の目前に敢えてそれらを突きつけ、「こういう口リ凌辱を読んでいるお前はこいつらと何が違うの?」と問いかけてくる様なスタイルは、この作家さんらしい露悪的なものと言えるでしょう。
  被害者や読み手の精神を逆なでするような、出来事に対する扱いの恐ろしいまでの軽さが表現されるラストも痛烈であって、正義の輝かしい栄光も悪の瑞々しい奔放も存在しない、“現実”を示して幕を下ろしています。

【華奢さを感じさせる体幹に膨らみかけバストの少女達】
  短編「お気の毒ですが冒険者の処女膜は消えてしまいました」に登場するファンタジー世界のドワーフ族の少女戦士や、短編「睡眠姦~暴君、寝ろ!~」に登場する中○生の姉など例外も存在しつつ、単行本タイトル通りに小○生ヒロインが主力。
JSSexualToilet2成人男性に比して華奢さや小ささが強調された肢体となっているため、口リ色は十分に高めであると同時に、膨らみかけの胸や比較的高めの等身など、成育途中の思春期ボディであることを強調するデザインと感じます(←参照 スレンダーな肢体に膨らみかけバスト 短編「トイクリGOKAN!」より)。
キャラデザインについても、私服の丁寧な描き込みや導入パートの一部でみられるチアフルな様子などもありつつ、絵柄の性質もあって、それら二次元的な華やかさよりかは地味系の可愛らしさのあるタイプという印象であって、前述した作劇における“現実感”を強化する役割も感じます。
JSSexualToilet3  これらの思春期入りたてガールの純真さや未熟さに対して、男性キャラクターについては上述した通りに現実的に底の浅い憎悪や悪意、歪んだ欲望を有する存在として描かれており、一部の少年キャラなどを除き、ここまで念入りにしなくとも・・・と思えるくらい丁寧に醜悪さを表現した犯罪者達が揃っています(←参照 萌えアニメを馬鹿にされて復讐を果たそうとするオタク達 短編「大好きなアニメを批判された結果、少女を強姦した」より)。
男性キャラの描写については明確に好みを分ける要素ではありますが、読み手に殴り掛かってくる作劇面で必須の要素と言えますし、少女ヒロインとの美醜の対比を形成することで、凌辱エロとしての様相を強調することにもつながっています。
  ベテランの作家さんであるため、絵柄としてはオールドスクールな印象が強いのは確か。丁寧な描き込みを示す作画は一貫しているものの、絵柄としては多少の変遷がある印象であり、また表紙絵と中身の絵柄に相応の差異を感じます。店頭で参考にする際には裏表紙の方が中身の絵柄と一致しているので、そちらを観ることをお勧めします。

【ヒロインの苦痛と恐怖、男達の歪みや愚かしさで満たされた凌辱エロ】
  ページ数の関係もあってたっぷり長尺とは言い難いものの、描かれているものの陰惨さもあって強烈な存在感を放つ濡れ場であることは間違いありません
  ダブル青姦凌辱や近親セックス、壁尻シチュエーションなど、エロシーンの趣向は色々と用意しているものの、一方的かつ軽薄に相手へ欲望を叩き付けていくソリッドな凌辱エロという面を強く押し出しており、バットエンドまで読み手の気が休まる要素は皆無となっています。
  前戯パートを短くまとめて抽挿パートを長尺で取るケースもあれば、じっくりねっとり感を前戯パートで打ち出すケースもありますが、勝手な品評をしながらヒロインの秘所や薄い胸などを愛撫する描写を主軸として背徳感を高めつつ抽挿パートへと移行。
JSSexualToilet4 狭い膣を無理やりこじ開けて破瓜をさせると共に、一方的なピストンを開始する抽挿パートは、凌辱されるヒロイン側が性的快感に蕩けるようなドリーミーな様相はほぼ排除し、肉体的な苦痛や嫌悪感、恐怖などを感じていることを、表情や台詞回しで容赦なく明示してきます(←参照 短編「愛娘に陰茎が挿入らない」より)。
前穴に続いてアナルの処女も奪って更に苦痛や恐怖感を与える展開や、行為の最中に苦悶や助けを求めるヒロインの言葉がまるで通じないかのように男性達の一方的な台詞が繰り返される寒々しい雰囲気粘膜の生々しい気持ち悪さを意識させる様な断面図や結合部見せつけ構図なども、好みは分かれるでしょうが、特徴的な要素。
 複数ラウンド制を基本とした展開において、フィニッシュシーンを構成的・演出的に強く盛り上げることはあまり意図されていない印象で、演出的な強烈さに対して淡々と凌辱行為が続いていくような雰囲気こそに殺伐としたものを感じます。

  作劇・エロ描写共に好みが真っ二つに分かれるタイプの作品揃いであり、凌辱耐性のない方や挑発的な作風が苦手な方は回避を推奨。賛否はともかくとして、観る者に強烈な印象を与え、特にそれをある種の鏡として自身について考えさせるという意味では、間違いなく“アート”であって、胆力のある作家性を感じさせる最新刊とも評したいところ。
個人的には、ダブルヒロイン凌辱のゴージャス感と、ラストの男性達によるあまりにも浅薄な言葉が事態の後味の悪さを更に増す短編「トイクリGOKAN!」がフェイバリット。

おそまつ『あの娘の境界線』

OverTheBorderline TVアニメ版『どろろ』第10話「多宝丸の巻」を観ました。フィニッシュは百鬼丸がきめたとは言え、民衆を指揮して土木工事をしたり、彼らを奮い立たせたりと施政者としてめちゃくちゃ優秀ですし、人格も優れた青年なんですよねぇ、多宝丸・・・。
原作とかなり異なるキャラクターなのですが、百鬼丸との因縁はどうなるのかハラハラしております。

 さて本日は、おそまつ先生の初単行本『あの娘の境界線』(ワニマガジン社)の遅延へたレビューです。妖しげな雰囲気の表紙・裏表紙絵とカバー裏のおとぼけ風味の絵のギャップが凄いのですが、それもまたこの作家さんのスタイルの複雑性を感じさせるものだなと個人的には感じました。
それはともかく、陰陽の織り交ざる若者たちの性愛の不器用さを描く作劇と強烈な快楽に浸るアブノーマル感が特徴的な作品集となっています。

OverTheBorderline1  収録作は、片思いをしている少年に誘われたために真面目な委員長であるヒロインは彼の仲良しグループと共に夜の校舎での肝試しに参加したのだが、そこで少年と別の女子がセックスをしているのを目撃してしまい、彼女自身も別の少年に犯されてしまうことで罠に嵌められていくのだが・・・な連作「あの子の夏の思い出に」「あの子の冬の温もりに」(←参照 無理やりさせられたフェラの写真を片思いの少年に送ると脅迫され 同連作前編「あの子の夏の思い出に」より)、明るくサバサバとした姉と大人しそうな清楚眼鏡な妹がそれぞれ漁家の跡取り候補をゲットする様を描く連作「手繰り網」「海路の日和」、および読み切り形式の短編5作。
1話・作当りのページ数は18~26P(平均的21P強)と標準的なボリュームで推移。読ませるシナリオワークであって作劇面の存在感がしっかりとあり、エロシーンも質的な濃厚感を高めて抜きツールとしての満足感を形成しています。

【強烈な性的快感と絡まり合う性愛の複雑な情念】
  社会の荒波に疲れたおじさんが浜辺で女の子と出会う連作後編「海路の日和」といった作品等もありますが、それらを含めて基本的に若い男女の性愛を描いており、その方向性は様々でまた複雑。
 オカルト大好きな男性教師に天真爛漫なラブ&エロアタックを仕掛ける女の子との棚ボタエッチに意外な仕掛けをラスト1コマで投入するラブコメディな短編「僕たちのヒエロガミー」といったカラッと明るい作品も存在しつつ、性愛にまつわる陰陽・正負の感情が入り混じる作品がメインと感じます。
普段は女王様然として振る舞っている女の子が実は主人公の気弱な少年の前では従順な姿を~という短編「君のなすがまま」や、“恋愛禁止”なアイドルの女の子が主人公のことを大好きで~という短編「セルフィッシュ」など、エロ漫画的にご都合主義的でポピュラーな題材でも、男女の関係性の背景を描き出し、歪みが生じている関係性を作劇として如何に整えるかという丁寧さがあることで読ませる作りとなっています。
OverTheBorderline2  若人の性愛関係が素直に報われる作品もある一方で、互いに明確な信頼関係と恋愛感情を有しながら幼馴染の男女が乱暴な言動を交わし、無理やりなセックスに突入してしまい、本心を互いに打ち明けられないすれ違いが継続する短編「ほんとのきもち」(←参照 セックスをしても踏み込み切れない心 同短編より)、男性への好意を利用され、性的に搾取をされ続けながらも揺るがなかった彼への献身が本人によって踏みにじられ、心が壊れた少女を描く連作「あの子の~」シリーズと、感情のすれ違いや一方通行が痛みや重苦しい余韻を残すラストへとつながる作品にも強い存在感があります。
セックスの中で、登場人物達の願望や欲望が吐露されるシークエンスにおいて、そこに解放感の気持ち良さがあるケースもあれば、歪みや苦しみを絞り出したり素直になれなさが持続したりするケースもあって、それらの感情と強烈な身体的快感が入り混じることで独特で複雑な雰囲気を形成しています。
  もどかしさや歪み、アンビバレンツな感情などを含む分、重苦しい読書感の作品もあるため、明朗快活なラブコメ系をお望みな諸氏には不向きな面はありますが、性愛における複雑な情念を織り込んだ作劇に存在感のあるエロ“漫画”と総括したいところ。

【女子校生ヒロインをメインとした思春期ガールズ】
 JC級でもおかしくない妹キャラや女子大生クラスの女の子なども登場しつつ、人数としての主力は女子校生ガールズとなっています。
 敵対的・挑発的な言動と気の弱さや依存的なものを含む恋愛感情がミスマッチな幼馴染ガール、献身的な恋心や真面目さを持ちながらそれを踏み躙られることで狂気の様相を示していく委員長キャラ、高圧的な女王様キャラと服従的で引っ込み思案な本性を使い分けざるを得ない少女に妖しく淫猥な雰囲気をまといながら根は意外に素直でピュアな女の子などなど、キャラクターの二面性を人物描写の奥行きにつなげており、前述した作劇の陰陽の複雑性とも密接に関わらせています
また、ラブコメ的な展開に振り回される年上男性や、シンプルに下衆な凌辱展開の竿役といった男性達も存在しつつ、ヒロインに対する二律背反の感情、特に愛情と嗜虐性の行き来であったり、表の顔とどす黒い本性のギャップであったりと男性達にも上述の二面性を持たせるケースがしばしば認められます。
OverTheBorderline3  連作前編「手繰り網」のヒロインの様にもちもち触感の巨乳をお持ちな肉感ボディのヒロインも数名存在しつつ、一定の華奢さを感じさせるスレンダー並乳ボディが主力となっており(←参照 短編「僕たちのヒエロガミー」より)、ぷるぷる柔らかく揺れるバストや程好い量感のヒップに十分なエロさを持たせつつ、儚さや未成熟感も感じさせるのは彼女達の心理描写などと合わせて思春期の揺らぎの様な印象に結びついています
  表紙絵との印象の差こそ大きくないものの、初単行本ということもあって絵柄には一定の変遷があり、また初出時期によっては絵柄の不安定感や粗さを多少感じるところはあります。その一方で細やかな描線を丁寧に紡いだ上で、ベタを含めて画面に重さ・濃さを持たせる作画は雰囲気の妖しさや不穏さを表現することに長けていて、クドさは抑えつつ印象の強さがあるのは絵柄としての長所・武器であると言えるでしょう。

【濃厚な陶酔描写で魅せる濡れ場で滲み出る複雑な感情】
  概ね標準的な分量を有する濡れ場でありつつ、強い情念が激しい行為と感覚を生じさせるセックス描写の勢いは非常に強く、複数ラウンド制を基本として双方が強烈な性感に身を委ねていく様子をパワフルに活写しています。
  棚ボタ的なラブラブHやストレートな凌辱エロも存在しますが、エロシチュの雰囲気は作劇の流れの通りに明暗が混じり合っており、自分を受け入れてくれる相手だからこそまるで愛を試すように激しい言葉や行為をしてしまうハードなセックス、普段はいじめている相手から責められ、それでも関係の持続を懇願する依存的な恋心が発露される調教シチュなど、登場人物の不器用さが強調される描き方が多くなっています。
OverTheBorderline4  前述した様にこれらの感情描写と強烈な陶酔描写の組み合わせが作劇面でも特徴であって、アヘ顔チックな表情付けや歯をくいしばる息み顔、涙や涎でぐしゃぐしゃになった火照る頬、叫び出すような悶絶ボイスに蕩けた実況台詞やおねだりボイスなどなど、強烈で濃厚な陶酔感を形成しています(←参照 全然大丈夫ではない 短編「セルフィッシュ」より)。
強引にヒロインにしゃぶらせたり、はたまた悪戯な笑みを浮かべながらのフェラであったりとヒロイン側の奉仕プレイか、秘所を丁寧に愛撫してむわっとした熱気や香りを感じさせる描写や性玩具での秘所やアナル責めなどで前戯パートを形成しており、射精シーンやヒロインのアクメなどで前半の抜き所を投入。
  前戯パートと抽挿パートの量的バランスは良好で、後述する濃厚な陶酔表現を前面に押し出してくる抽挿パートでは中出し連発展開を取る場合でも、淫靡な水音を立てる汁気たっぷりの秘所へのピストンを射精シーンまで十分な量的蓄積で投入しています。
勢い重視のあまりにややラフさを感じたり、コマ割りに単調さがあったりすることはあるものの、無言のキスの熱情感やぷるぷると局所的に震える乳揺れ描写、結合部見せつけ構図に子宮口をノックする断面図等、描写としての手数の多さと演出の濃厚感もあって、質的な満腹感も強く図られた抜きツールになっています。

 表帯に“魅せる個性派”との売り文句がありますが、正しくその通りでエロの濃厚感と明暗織り交ぜた作劇のケミストリーが魅力的。
個人的にはもどかしい二人の関係性で魅せた短編「ほんとのきもち」が最愛でございます。
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