flanvia『性のマモノ』

InfiniteLibido TVアニメ版『シャドーハウス』第1話「シャドーと生き人形」を観ました。他に類を見ない設定で、それだけでも感心したのですが、自分を“生き人形”と認識しているエミリコのあり方からすると、自己認識としての“人”とは何かというテーマ性に通じるのかなぁと感じます。感情は確かにあるけど、表情がない、それでも感情は伝わるという構図も面白いなと思いますね。

 さて本日は、flanvia先生の初単行本『性のマモノ』(ワニマガジン社)の遅延へたレビューです。帯に書かれている、“ちょっぴり人外娘”アクメ連発全8編!!、声に出して読みたい売り文句ですな。
それはともかく、お馬鹿でドスケベでキュートな人外ヒロイン達とのにぎやかなコメディ&無様アクメ連発のハードコアエロが楽しめる作品集となっています。

InfiniteLibido1 収録作は、某甲子園っぽい球場に住み着く酔いどれ&童貞好きの謎存在“魔物”さんは1回性的絶頂する度に味方したチームに得点が入る試合展開を引き起こす能力を有しており、彼女に気に入られたワニゼロ工業の選手は彼女とのセックスに奮闘することになるのだが…な連作正続編「夏のマモノ」「春のマモノ」(←参照 やっぱり甲子園には魔物が棲んでいるんだな~ 連作正編「夏のマモノ」より)、亡くなった祖父の代わりに小さな稲荷神社の掃除をすることになった主人公は、そこでオナニー大好き弱小稲荷神と出会い、なんのかんのでセックスバトルをすることに!?な短編「おいなりさん」+描き下ろし後日談(4P)、および読み切り形式の短編4作。
描き下ろし作品を除き、1話・作当りのページ数は20~32P(平均24P強)と中の上クラスのボリュームで推移。ストーリー性こそ強くないもののハイテンションに駆け抜けていく読書感の魅力があり、十分量でアタックの強い濡れ場にも強い満腹感があります。

【漫画チックの楽しい設定の勢いで突き進むコメディ】
 作劇の方向性としてはギャグエロ寄りのエロコメ・ラブコメ系統であって、漫画チックに楽しいファンタジー要素が絡むのが特色。
 チームの勝利のため、球場に巣食う魔物さんをイカせまくるべく奮闘することになったり(連作)、見栄っ張りなドスケベ処女の稲荷神さんとセックスバトルになったり(短編「おいなりさん」)、お月見文化を盛り上げようとする月兎さんの謎理屈によって激しいお尻打ち付け音を奏でることになったり(短編「おつきみ」)、部屋に住み着くオナニー大好き幽霊(処女)さんを成仏させるべく激しいプレイを敢行したりと(短編「自縛霊」)、お馴染みなネタからユニークなものまで、コメディとしての楽しさ・いい意味での馬鹿馬鹿しさのある展開が揃っています。
InfiniteLibido2愛用のオナホが実は魔女の呪いで姿を変えられ異世界から飛ばされてきたお姫様であったという衝撃の事実が明らかになる短編「オナホのおひめさま」を例外としつつ、ヒロイン側がセックスに対してかなり積極的であることが多く(←参照 主人公のち○こに高まる期待 短編「おつきみ」より)、彼女たちの性欲や性的好奇心が引き起こす騒動に巻き込まれる形でのドタバタ模様が描かれているといえます。
 人外ヒロインを中心としたファンタジー要素は、これら楽しい設定やエロへのイージーな誘導を可能にするためのものであって、それほど深い掘り下げがあるわけではありませんが、それぞれの設定を話やエロの展開にどう活用するかという点では個々に工夫が感じられるのが個人的に高く評価したいポイント。
ほんのりダークな印象のオチもあれば、しょーもない(褒めてます)オチになることもありますし、ほのぼのハッピーエンドになることもありますが、基本的には明るく軽快な読み口を最後まで維持しています。一方で、短編「おいなりさん」の描き下ろし後日談は、作品の設定をしっかりと踏まえた上での、切なくも優しいラストを用意していて、今単行本においては異色ではありつつ、作者の多才さを感じさせています。

【多彩な設定&柔らか巨乳ボディの人外ヒロインズ】
 球場の魔物、PCの付喪神、お稲荷様、幽霊(地縛霊)、異世界のお姫様(オナホ)、月兎とファンタジーヒロインが勢揃いであり、大半は人間でないためかなり長命だったりしますが、見た目としてはハイティーン~20歳前後程度の美少女系といった印象。
 前述した通りに、ドスケベなヒロインが多いのですが、ビールが大好きな魔物さん、見栄っ張りなお稲荷様、クールな様でポンコツなパソコン付喪神など、人間臭さのある人外ヒロインというキャラクター造詣がコメディとしての楽しさに寄与しているとも感じます。
 なお、衣装やケモ耳などで、それぞれの設定らしさを感じさせるキャラデザインに仕上げていますが、外見や体型などはほぼ人間のそれと同様であって、人外ヒロインとしての人と異なる体という造形を指向していません。
ちなみに、計6名のヒロイン中3名のヒロインが三白眼の持ち主であり、好きな人(管理人含む)にはうれしいポイント。
InfiniteLibido3 ボディデザインとしては、健康的な肉付きの肢体にむにゅんと柔らかな質感の巨乳&桃尻を組み合わせたタイプで固定されており、エロシーンでは液汁描写の添加によってシズル感を増し、スベスベとヌルヌルのコンビネーションによる煽情性を打ち出しています(←参照 濡れおっぱいの柔らかな変形 短編「つくもがみ」より)。
 初単行本ということもあって、特に描線の濃淡のまとめ方には時期による変化を感じますが、絵としての華やかさと漫画チックな親しみやすさのある絵柄で、十分な作画密度を維持する方向性自体は一貫しており、表紙絵との差異を感じることはほとんどありません。

【攻撃的で程好くお下品さもある演出を高密に重ねる痴態描写】
 性欲任せかつ軽快なテンポでエロシーンへと突入していくため、ページ数の多い作品では多少小刻みに複数のシチュエーションを投入することもありますが、総じて抜きツールとしてのボリューム感は強い構築となっています。
 エロ展開としては、序盤~中盤にかけてヒロインが積極性を示す前戯パートを形成し、中盤以降は性欲にスイッチが入ったり、騒動への怒りの感情を覚えたりな男性側が主導権を握ってち○こパワーで圧倒するという、いわゆる“分からせ”的な様相を呈する抽挿パートを軸とするパターンがメイン。
 ドスケベ魔物さんがち○この臭いと味を堪能するねっとりフェラ、幽霊さんが三角巾(天冠)を使ってのローション手コキ、PC付喪神によるリモート会議中の机下パイズリ、お姫様をオナホ扱い的イラマチオ等々、サービスプレイを投入する前戯パートは射精シーンを完備していますし、先走りが顔に塗り付けられたり、ちん毛が顔面に付着したりと淫猥さを感じさせる描写を付随させているのが特色。
InfiniteLibido4 また、激しい水音や打突音を奏でながらのピストン運動では、ぐちゃぐちゃに乱れた表情や濁音メインで言葉にならない喘ぎ声など、ヒロイン側が完全に快楽に圧倒されている痴態描写に仕上げており、ある種無様で下品さのある方向性でありつつ、ヒロイン達のお馬鹿&キュートな印象も同時に維持していて、両者の不思議な融合が魅力(←参照 アクメでぐちゃぐちゃな無様キュート 短編「おいなりさん」より)。
加えて、力強さのある男根描写が印象的であり、これが秘所をずぼずぼと出入りする結合部見せつけ構図や断面図の多用、柔らかボディをがっちりホールドしての腰の叩き付けといった要素もマッシブな印象を強めるものとなっています。
 これらのハードコアな演出を、抽挿パートにおいて次第に高めていき、勢いが頂点に達したところで、上述の演出全部盛り的な中出しフィニッシュを大ゴマ~1Pフルで叩き込む仕様となっており、動きや演出が重なり合ってパワフルさを盛り上げていく流れの良さも抜きツールとしての魅力と言えるでしょう。

 お馬鹿テイストで楽しく読めるシナリオワーク、ドスケベでわがままだが憎めないヒロイン達、パワフルなセックス描写と個々の魅力がしっかり噛み合った作品が揃っており、今後が非常に楽しみな作家さんと感じました。
個人的には、描き下ろし後日談の魅力も含めてポンコツ助平お稲荷さんが大好きなため、短編「おいなりさん」が一等お気に入りでございます。お勧め!

柚十扇『どげぱこ』

DogezaForSex TVアニメ『SSSS.DYNAZENON』第1話「怪獣使いって、なに?」を観ました。ガウマ、登場時の印象や風貌から危険な人物かと思いましたが、素直な好漢で、どことなく忠犬的な可愛さがありましたね。特に強い関係性があるわけではなかった4人で登場するという設定は面白いですし、変形合体のシーンは、これぞ!という描写で大変熱かったです。あと、ちせちゃんがカワイイですね~。

 さて本日は、柚十扇先生の初単行本『どげぱこ』(ジーウォーク)のへたレビューです。帯の“乳カマー(ニューカマー)降臨”という文言には笑わせて頂きました。
たっぷりサイズの柔らか巨乳をお持ちな美少女ヒロインとのエロコメディ&パワフルHが楽しめる作品集となっています。

DogezaForSex1 収録作は、過剰な性欲を持て余す主人公・下土は土下座でエッチを懇願するという方法で次々と同じ学校の女の子達とのセックスを成功させていくことになるタイトル中編「ドゲパコ!」全5話(←参照 彼女の言う通りなのだが、この後…? 中編第2話「日焼けギャルと体育館裏えっち」より)+描き下ろしのフルカラースピンオフ掌編(4P)、および独立した短編3作。
 描き下ろしのおまけスピンオフを除き、1話・作当りのページ数は22~28P(平均24P)と中の上クラスのボリュームで推移。基本的に軽めの読み口にまとめた作劇であり、分かり易くエロメインの構築で安定していると感じます。

【強引さもありつつ平和な読書感にまとめるエロコメ系】
 レ○プ被害に遭った女性が犯人捜しを探偵に依頼し、彼女と容疑の掛かった二人の男性の前で探偵は真相を明らかにしようとするのだが…という導入から意外な決着へとつながるミステリー風味の短編「おもいあい」を例外としつつ、その他の作品は概ね軽い調子で、エロ的幸福感をお届けなラブコメ・エロコメ系で統一。
 中編作では、土下座でセックスを懇願するという、男性側が下手に出ることで逆に強引に迫るという構図になっており、なんのかんので受け入れられたり、状況を利用したり、相手の弱味を握って嵩にかかったりと、事態がイージーに好転していくことで各ヒロインとセックスできてしまうという展開と言えます。
主人公は単にセックスしたいという一念で、悪辣さをあまり感じさせないものの、相手の善意や弱味を利用したり、生意気な後輩ちゃんへの分からせHという凌辱寄りのシチュがあったりしますし、個々のヒロインとの恋愛関係は構築されないことには留意が必要ですが、基本的に男女双方が性的に大満足し、関係性の持続を望んでいるというまとめ方で、多少強引でもポジティブ&マイルドな読後感にしています。
DogezaForSex2 アシスタントに来たギャル系美人さんが大好きなエロ漫画家さんのためにエロ漫画資料(お察しください)製作に実地で尽力な短編「ギャルアシ❤Coming」(←参照 先生のちんこにも興味津々なのだ! 同短編より)、不運続きの男性が厄除けが有名な神社で美少女巫女さんにエッチな厄除けサービスをして貰う短編「凶運 pick up」などは、より分かり易い棚ボタ展開のラブコメ・エロコメ系と言えます。
 上述した短編「おもいあい」はエロ漫画的になかなか珍しい展開ではあるのですが、ミステリー・推理モノとしての詰め方を期待するのは避けるべきというか、それらのジャンルとしては禁じ手に近い真相となっていますが、こちらも凌辱寄りのエロシチュでありつつ、最終的にはヒロインの思惑通りにハッピーエンドという軌道修正でまとめられています。

【もっちり弾力な巨乳の存在感が強い女体デザイン】

 中編作は5名の全ヒロインが女子校生さん、短編群では「凶運 pick up」の巫女さんが女子校生級であって、残り2作では20歳前後と思しきギャルさんと20代半ばの会社員さんが登場。
 穏やかで優しい性格のメガネ美少女、強気でツンツンしているが中身は純情な黒ギャルさん、厳格な性格ながら実はむっつりスケベのオナニー好きな風紀委員長、ちょっぴりSっ気のある先輩ガール、元気で生意気でマッドサイエンティストな後輩キャラと、中編作ではキャッチー&ポピュラーな属性を盛り込んだ多彩なヒロインを毎回投入しています。
短編群についても、お淑やかな印象のある美人会社員さんに明るくエッチなギャル系漫画アシスタントさん、清楚な見た目ながらエッチに積極的な巫女さん(でも処女)と、キャラメイクのキャッチーさは共通しており、基本的にセックスに対して積極的なヒロインを用意しています。
DogezaForSex3 清楚系から派手系まで、キャラデザインを様々に描き分けていますし、身長の高低などにバリエーションもありつつ、マッスたっぷりの巨乳が強い存在感を有した女体であることは共通しており(←参照 風紀委員長のたっぷり巨乳が! 中編第3話「真面目!?風紀委員と呼び出しえっち」より)、バスト程は視覚的に強調されないものの、ヒップや太股にも十分な肉感を持たせています。
程好く大き目の乳輪&乳首で淫猥さを打ち出しつつ、過剰でない分、美巨乳としてのまとまりのよいおっぱい描写は帯の訴求文通りに魅力であって、エロシーン全体を通しておっぱい描写が重視されているのもポイント。
 初単行本ながら絵柄の安定感は十分に強く、表紙絵とも完全互換。絵としての濃淡などに若干の変動はあるものの、修飾性の高さ故の華やかさと漫画チックな親しみ易さが無理なく共存するタイプで訴求層は広いと言えるでしょう。

【アタックの強い演出を高密に織り込むことでのハードコア感】
 上述した様に、明確にエロメインの作品構築であり、サクサクとエロシーンに突入することもあっていずれのエピソードも抜きツールとしての満腹感は十分です。
 中編作においては、土下座でお願いした結果、合意の上でセックスとなることもあれば、前述した様にヒロインを強引に犯す展開であったり、逆に先輩美少女に主導権を握られたりな展開も存在。短編群でも棚ボタ的なウハウハHにすることもあれば、明確に凌辱色のあるエロシチュもあって、話としては最終的には平和にまとめますし、ヒロインの性的快楽の充足を軸とした描写にしつつ、エロシチュの雰囲気には作品によって幅があると言えるでしょう。
 十分な尺を用意した前戯パートでは、弾力豊かな胸を揉んだり吸ったり(授乳手コキもあるよ!)、はたまたパイズリをしたりされたりとおっぱい描写をたっぷりと用意すると共に、フェラご奉仕や大人玩具での性感帯愛撫、手コキされながらの手マンなどのプレイも投入しており、射精シーンであったりヒロインの潮吹きアクメであったりと抜き所も用意。
この時点ですっかり蕩け始めたヒロインは、自ら挿入を誘導したり、言葉ばかりの抵抗になったりで、すっかり汁だくの秘所に挿入しての抽挿パートへと移行してがっつり中出しフィニッシュへと力走しており、特にこの後半においてヒロイン側の強い陶酔感・充足感を基調としていると言えるでしょう。
DogezaForSex4 顔を真っ赤にして、瞳を潤ませ、舌を突き出したりもする濃厚な蕩けフェイス、清楚フェイスから時に漏れ出る言葉にならない獣めいた喘ぎ声や呂律の回らない台詞(←参照 中編第5話「お騒がせ後輩と理科室えっち」より)、瞳や吹き出しを彩るハートマークの乱舞、悶絶しながらの仰け反りポージングに、子宮口をマッシブに圧迫する断面図等々、演出面ではアタックの強さと密度の高さを前面に押し出しています。
 コマ割りが多少窮屈・雑然と感じられることが初期作にはあるものの、ピストンしながらの乳首弄りでの手数の打ち出しや、前述した断面図などのカットインなど、近作ではインパクトと情報量を両立させた画面構成にシフトしてきたと感じます。

 エロシチュ・エロ演出の面で一定の攻撃性の高さを発揮しつつ、話としてはエロコメ・ラブコメにまとめることで暗い雰囲気を取り除いたスタイルと言えるでしょう。初単行本ながら、時にキャラデザ面の多彩さやおっぱいの迫力ある描写は明確に強みと感じます。
個人的には、振り回してくる系な後輩ちゃんの巨乳ボディを分からせファックな中編5話に愚息が大変お世話になりました。

大波耀子『女王様に恋してる』

FallingLoveToMyQueen 里見U先生の『八雲さんは餌づけがしたい。』最終第11巻(スクウェア・エニックス)を読みました。“餌づけ”という単語が用いられていましたが、自分の手料理を糧としてその相手が立派に成長し、それを一番近い存在として見届けるという本作の構図、未亡人であり愛する旦那さんとの子が無かったヒロインにとって、叶えられなかった母性を叶えるための物語であったのかなと最終的に感じた次第です。

 さて本日は、大波耀子先生の『女王様に恋してる』(ゲネシス)の遅延へたレビューです。先生の前単行本『おねえさまの愛と我儘と欲情と』(海王社)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
美しい女王様に身も心も支配されるラブ&エロ模様をそれぞれのカップルの形で描く作品集となっています。

FallingLoveToMyQueen1 収録作は、副業としてSMバーで女王様をしている国枝(源氏名:陽南)はある日正業の上司である課長がそのSMバーに得意先と一緒にやってきて、しかも課長は陽南に一目惚れしてしまうのだが…な中編「女王様と呼ばれたい」前中後編(←参照 昼とは真逆な二人の関係は…? 同中編作前編より)、そのSMバーの店主である美熟女・宙琉様と彼女のプレイを覗き見してしまったニート君の不思議な縁を描く中編「覗かないで Newbie」前中後編、および短編4作。
なお、全ての作品は同一店舗に勤務している(していた)女王様達とその豚(客)達の話であり、全てのエピソードに話としてのつながりがあるオムニバス的な形態となっています。
 1話・作当りのページ数は16~24P(平均19P強)と平均値としては中の下クラスのボリューム。中編群を中心としてストーリー性に重点を置きつつ、エロシーンの量的満足感を適度に図った構築となっています。

【信頼関係とプレイとしてのSM的関係性の妙】
 女王様と豚としての関係性は個々のカップルにおいて様々ではありつつ、いずれも信頼関係に基づくSMとしての関係性として描かれており、基本的には性癖の開示とその充足の面においてポジティブな様相を呈するものとして描かれています。
 ニートの青年がSMバーの店主でもある女王様との出会いである種の成長を果たしていく中編「覗かないで Newbie」、店に勤めていた女王様達のその後の円満な夫婦生活を描く短編群は、相互認証・相利としての関係性が描かれており、特に短編群についてはプレイとしてのSM的関係性を越えた個人と個人の信頼関係として表現されています。
FallingLoveToMyQueen2 一方で、中編「女王様と呼ばれたい」は、国枝としての自分、M性癖に目覚めた課長が恋い焦がれる陽南としての自分という二つの顔にヒロイン自身が揺らいでいくストーリーでもあって、女王様と豚という非日常の解放感のある関係と、そうでない“素”の自分における関係との対比が重要になっています(←参照 陽南ではなく国枝として 中編「女王様と呼ばれたい」後編より)。
 いずれの作品においても、女王様であるヒロインも豚である男性も、プレイにおける立場を楽しみつつ、それぞれの個人としての人生があるという点がフォーカスされておりSMにおける非日常の倒錯の快楽に熱狂しつつ、個々の人生がそれぞれの関係を左右するという描き方と言え、特に中編「女王様と呼ばれたい」ではそれらを単純に使い分けられないものとして描いています。
 円満なポジティブなものとして、また理想像と個としての私との間のギャップが生み出す切なさとして、快楽を生むプレイのその先を描く作品群とも言え、SMエロとしての明確にエロシチュ重視でありつつ、“プレイ”というものの人生における意味合いが描かれた作品群とも感じます。
 プレイにおける女王様との幸福な関係性という、ある種の幻想を無責任に肯定するのでも厳格に否定するのでもなく、そこはそれぞれの現実としての人間次第であるという、現実的な優しさでまとめたストーリー群と総括したいところ。

【美しく圧倒的な存在としての“女王様”ヒロインズ】
 シリーズを通して全部で4名の女王様が登場しており、年齢層としては20代半ば~30代後半程度と思しきアダルト美人さん達。
FallingLoveToMyQueen3 オーナーの宙琉さんのように根っからの支配者タイプも居れば(←参照 確たるドミナとしての宙琉さん 中編「覗かないで Newbie」後編より)、陽南さんのように普段は大穏やかな性格ながらプレイにおいては豹変するタイプも居ますが、いずれにしてもプレイにおいては男性の性癖を充足させ、愛し崇拝するに値する“女王様”としての役割を明確に果たすキャラクターとして確立されていると言えます。
また、“豚”である男性キャラクター達も、最初からドMな分かり易いタイプもいれば、ヒロインとの関係性においてそれを自覚・受容していくタイプも居ますが、彼らがヒロインを唯一無二の女王様たる存在として位置付けること自体に関係性としてもストーリーとしても重点があると評し得るでしょう。
 並乳寄りから巨乳までとおっぱいサイズに多少の変動はありつつ、美脚も含めて等身高めのスラリとした肢体に適度なボリューム感のあるバスト&ヒップを組み合わせた女体であって、その整った美しさとエロさが男性を圧倒する女王様としての魅力を伸長させています。
 また、皮やラバーのボンテージ、さらさらとした絹の衣装、はたまた看守的なコスチュームなど、女王様らしい衣装のチョイスを基本としており、この点も“プレイ”としての興奮を高める要素。
 キャッチーな親しみ易さや描線の細やかさに由来する淡さもありつつ、女王様としてのキャラ性を明瞭に打ち出す画としての圧力も適度に感じさせるバランスで絵柄は安定しており、ヒロイン達や様々なタイプの男性キャラクターの描き分けも良好です。

【程好く濃密な演出で彩る倒錯的な高揚に包まれたSM】
 ページ数の関係もあって濡れ場の尺には一定の幅があり、ページ数が多い作品でも男女の関係性を描く導入パートを丁寧に形成する分、全般的にボリュームの強いエロシーンとは感じませんが、抜きツールとして一定の水準には達しているとも言えます。
 プレイとしての行為であっても、夫婦の営みとしても、女王様に主導権を握られる男性側が豚(M)のSMシチュエーションがメインであって、緊縛されたり目隠しされたり、騎乗位で搾り取られたりと、男性側が性的に支配、従属させられることでの倒錯的快感を得て、女性側がそのリアクションを含めて喜悦に浸る様相になっています。
一方で、絶対的な主従としての関係性ではなく、プレイとしての解放感や信頼関係をベースとする行為であるため、男性側が攻め手に回るシチュエーションも複数存在し、本作の方向性には明確に合致していますが、男性にとっての被虐シチュのみをお求めの諸氏には相応の減点材料足り得ることには要留意。
FallingLoveToMyQueen4 ほんのりとサディスティックさを感じさせる喜悦の表情を見せたり(←参照 普段は穏やかな妻のこの表情 短編「馬乗りハニー」より)、逆に攻められて激しく乱れたりと、シチュエーションによってヒロインの表情を巧みに描き分けていますし、結合部の汁だく感や擬音や台詞描写での盛り上げなど、濃厚な陶酔感と描写としてのアタックの両立は盤石の仕上がり。
 ハイヒール脚コキ、言葉責め、羞恥プレイや放置プレイなど、男性側の被虐性癖を刺激するプレイ、シチュを用意しつつ、それらの特殊プレイに傾倒することなく、男女いずれかの攻め手が激しい腰遣いで性的快感を貪っていくストレートなセックス描写に力点があるのは、倒錯性を重視しつつ抜きツールとしての間口を広げている勘所と言えるでしょう。
女王様にいじめられる男性側のリアクションをしっかりと描く一方、フィニッシュシーンを軸に射精描写そのものはあまり重視しておらず、ヒロインの恍惚のアクメやビクビクと震える肢体など彼女達のリアクションの方を重視した描き方となっていると感じます。

プレイとしてのSMの真髄を示しつつ、単にプレイの内に留まらない関係性を描いた個性的な作品であり、非常に面白く読みました。綺麗なお姉さんヒロインとの倒錯的でありつつ確かな愛情の通い合いを感じたい諸氏にお勧めしたいところ。

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